猫は「答えのわからない問いを投げかける人生の師」
── 猫は山本さんにとってどんな存在ですか。
山本さん:
人生の師匠ですね。どこまでいってもかなわない存在で、ただただ尊敬しています。猫って裏表がなくて、意思がはっきりしている。それでいて優しくて、甘え上手です。ジャンプ力だってすごいですからね!(笑)
「よく猫はのんびりしていていいね」なんて言う人もいますが、猫ちゃんに言わせれば「猫の世界もいろいろ大変で、楽なことばかりではないで」というところでしょうね。猫ちゃんからは、一生答えのわからないクイズを出され続けている気がします。
── 猫への深いリスペクトが伝わります。
山本さん:
「人が人を癒やす」のは難しいことですが、猫ちゃんは一瞬ですっと人の心をやわらげてくれます。
猫たちが生きる世界には過酷な面もありますが、ケガや病気のある猫ちゃんも、優しい気持ちを持って労りあい、一生懸命生きています。競い合ったり争ったりするのは好きではなくて、それぞれがマイペースに好きなことを貫いている。
そんな猫ちゃんたちは、どんな理由でも人と人がお互いを攻撃しあうような状態を求めていないと思うんです。猫ちゃんから僕ら人間が学ぶことはとても多いと、写真を撮り続けながら思いますね。
僕は写真展などで、猫の写真を見ながら泣いたり笑ったりしてくれている人を、横からこっそり見させてもらうのが好きです。(恐縮です…!)
これからも「猫ちゃんの助手」として、猫ちゃんからのメッセージを代弁していきたいですね。
PROFILE 山本正義さん
写真家。二本足で立つ猫の写真がインスタグラムで人気となり、2019年に写真集『立ち猫』(ナツメ社)を出版。瀬戸内海の島や大阪の自宅付近で出会う猫を撮影している。写真展には全国から「立ち猫(R)」のファンが集まる。視点コンテスト入選、岩合光昭アサヒカメラコンテスト入選2回、
取材・文/林優子 写真提供/山本正義