2018年9月15日に75歳で亡くなった女優・樹木希林さん。この世を去って4年が経ってもなお、樹木さんの才能や名言は私たちに多くのことを教えてくれます。

 

押切もえさんも、生前の樹木さんとの思い出を大切にしている一人。押切さんに、樹木さんとの対談を振り返っていただきました。

空気を一気にほぐす樹木さんの存在

樹木さんが残された偉大な功績や影響力は言うまでもありません。

 

私自身も、樹木さんの映像作品での演技の素晴らしさと、テレビなどのインタビューやエッセイに発せられるシニカルながらもまっすぐで愛溢れる発言の数々に心打たれ、とても憧れていました。

 

そんな樹木さんと、一度お会いさせていただいたことがあります。

 

私が雑誌『AneCan』で対談連載をしていた時のことでした。

 

樹木さんが主演を務めた河瀬直美監督の映画『あん』(2015年)の公開を前に、対談にご協力していただけることになったのです。

 

対談が行われたのは、都心の真ん中にある、広くておしゃれなご自宅。「大女優・樹木希林」を前に緊張で固まっていた私たち撮影スタッフへ、樹木さんがあの不思議なほどのあたたかさ、親しみやすさを込めてご挨拶をしてくれて、一気にその場が和みました。

 

押切さんの横顔

残念ながらも最後の主演作となってしまった『あん』ですが、対談ではまず、作品に描かれた「生きること」や人の心について、そして樹木さんが映画にかけた思いなどを聞かせていただきました。

 

河瀬監督のことを、「いい映画撮るのよ」と讃えた後に、「安いんだけどね」と付け足して私たちを笑わせるところがとてもチャーミングで、でもそんなひと言からも、樹木さんのお仕事に懸ける情熱が伺えました。