ロケ地・長野県のみなさんに感謝
── 役とご自身の切り替えは得意とのことですが、二役の切り替えはいかがでしたか?
蓮佛さん:
仁美は失踪中という設定もあって、シーンとしては有美のほうが圧倒的に多かったのと、仁美の日、有美の日と撮影が別れていることも多かったので、割と自然にできました。
── 台本で感じたワクワクは、撮影に入ってからも感じていらっしゃいましたか?
蓮佛さん:
「私たちはこの先どうなるんだろう」という不安は、より強くなりました。
もちろん、台本を読んでいるので結末は知っているのですが、キャストのみなさんがとても個性的だったので「絶対何かある」と企みを勘繰ってしまうような感覚がありました。
でも、現場でみなさんのお芝居を見ているだけでも楽しかったです。
あとは、個人的に本作の美術にとても惹かれました。嵐が過ぎ去ったあとの話なので、いろいろなところを汚したり荒らしたりする演出が必要なのですが、「ここまでするんだ」と驚かされたシーンは数多くあります。
そういうロケを許可してくれた長野県のみなさんにも心から感謝しています。元に戻したとはいえ、本当に荒らしまくったので(笑)。
落ち込む気分を救ってくれたもの
── 冬のとても寒い時期に長野でオールロケだったと伺っています。
蓮佛さん:
山の中だったので、とにかく寒かったです。
役との切り替えはうまくできるタイプだと思っていたのですが、ずっとホテル生活だったし、楽しいシーンのない作品だったので、気分はどんどん落ちていきました。
だけど、綺麗な景色と綺麗な空気のおかげで、撮影後にはお散歩にハマり、毎日リフレッシュしながら30分ほど歩いていました。
ホテルの裏に田んぼ道があったのですが、田舎育ちの私にはすごく懐かしく感じられ、ホッとできる場所になっていましたね。
あとは、おいしいパン屋さんやイタリアンのお店を見つけて、通っていて。食事のおいしいお店が多かったです。パン屋さんはほぼ毎日通っていて、撮影終盤の頃にはパン屋さんに通う撮影スタッフさんも増えて、道ですれ違うこともよくありました。「今から行くの?売り切れてたよ」という会話が増えたりして(笑)。
ロケ地に救われて、気分転換しながら過ごすことができました。