14歳で芸能界デビューし、俳優として活躍の幅を広げている市川由衣さん。2人のお子さんの母親として、仕事との両立で工夫していることや、夫で俳優の戸次重幸さんと夫婦で大切にしている子育てのモットーについて伺いました。

 

市川由衣
背中にもたれかかるお子さんと嬉しそうな表情の市川さん

コロナ禍で妊娠中の仕事が相次いで延期に…

── 2人の息子さんがいらっしゃいますが、産休・育休はどのくらい取ったのですか。

 

市川さん:このお仕事は、自分で決めるしかないんです。たとえば、「妊娠中に撮影した映画が公開になるこのあたりで人前に出なきゃいけないな」とか考えて。1人目のときは妊婦さんの雑誌などもさせていただいていたので、妊娠9か月くらいまで働いて、産後は、4、5か月くらいのときに舞台挨拶で復帰しました。

 

まだ母乳もあげている時期だったので無理なダイエットは響きます。できる限りという感じで体型を戻していきました。

 

市川由衣── 2人目のお子さんの妊娠中にコロナ禍となりました。

 

市川さん:第2子の妊娠中にも仕事を続けるつもりでいたんですが、コロナ禍で相次いで仕事が延期になって。そうなると、お腹が大きいからお断りする仕事もたくさんありました。誰も予期できないことだったので仕方なかったんですが、かなり心苦しかったです。

 

上の子がいて、時間的な制約がある中でオファーしていただいているのに…。申し訳ない気持ちでいっぱいでした。次にまたオファーが来るかと言ったら、まったく保証もないです。でも、私の中での優先は家庭で、そこが整わないと何もできないと思っているので、常に葛藤しながら両立をしています。

夫・戸次重幸さんは「私より家事が上手」

── 家庭と仕事の両立はどのようにしているのですか。

 

市川さん:基本的には日中、子どもたちが保育園に行っている間に仕事をします。台本も子どもがいたら読めないので、保育園に行っている間や夜寝た後に集中して。

 

でも、ドラマが入ると、夜にしか撮影できないシーンのロケもあるのでそうも言っていられません。そういうときはまず夫婦で調整して、姉など家族の力を借りてなんとかやっています。

 

── 夫の戸次重幸さんも同じく俳優として活躍していますが、どう分担しているのですか。

 

市川さん:うちは何でも夫婦2人でしている形です。できることをできる人がするので、特に役割を作ってはいないんです。夫は、料理も洗濯も掃除も、できないものがなくて。なんなら私より家事は上手だと思います。料理も私より品数を作りますし、子どもも父親のことが大好き。

 

私が仕事でいなかったら夫が全部してくれるので、私が事前に何かを用意しておくということもなくて、かなりありがたいです。夫が舞台をしているときは地方に行っていることが多いので、その時は私ひとりで全部しますし、仕事のときはお互いさま、ということにしています。

 

市川由衣

夫婦で大切にする子育てのモットー

── お子さんが生まれて夫婦関係に変化はありましたか。

 

市川さん:うちは何かあったら、まずは話さないとわからないと思っているので、とことん話し合うことにしています。特に子どもに関することは、同じ気持ちでいたいので。お互いの愚痴に関しては冷戦状態のときもありますけど(笑)。子どものことに関してはなるべく早く解決しようとします。

 

── どんなことについて話し合うのですか。

 

市川さん:最近だと子ども同士のトラブルについてどう思うか。子どもたちが寝た後に夫婦で話すのですが、私はとにかくまずは子どもの話を聞いてあげて、本人がどうしたいか意見を聞くのを大切にするようにしています。

 

長男は5歳ですが、もうしっかり自分の意見もありますし、「こんなことを考えているんだ」って驚くこともあります。

 

── 子育てのモットーは何ですか。

 

市川さん:夫婦で大事にしているのはとにかく愛情を伝えることです。「大好きだよ」と言ってギュッ。息子は毎晩、「お母ちゃん、お父ちゃん大好き」と言って眠るんですけど、どんなに1日の中で喧嘩をしたり、怒ったりしても夜寝る前には仲直りするようにしています。

 

「そんなのわかるでしょ」ではなく、スキンシップをとってしっかり愛情表現をしたいなと言っていますね。

 

兄弟で抱き合うほど仲良しの市川さんのお子さんたち

私自身が大切にしていることは、家庭がいちばん安心できる場所であってほしいということ。母親は港で、どんなに彼らが乗る船がボロボロになっても、帰ってきたら絶対に安心できる場所でありたいなと思うんです。

 

私は幼少期に、親が離婚して母親と別々に暮らしたり、悲しい思いをしてきたりした経験があって。私にとっての港は祖父母だったんです。精神的にも辛かったんですが、祖父母がいたから自分のしたいことを見つけてここまでやってこられたので、子どもにとってもこの人だけは味方でいてくれるというような存在になりたいですね。

 

市川由衣
薄紫色の着物姿で2人のお子さんを見守る市川さん

でも実際は、長男は反抗期かと思うほど、ああいえばこういう、という感じで言い返してきて、次男はイヤイヤ期。私もそれに対して大人気なく言い返してしまうこともあって。本当は、もっと優しく見守って、どんなことも包み込むような姿勢でいたいなと思うのですが…。

 

でもある意味でお芝居にも影響があって。人とここまで関わることって今までなかったので、気づくことが多くて勉強になります。自分の人間力を試される日々ですが、自分の幅を広げていかないとと思っています。

 

── お子さんに望むことは何ですか。

 

市川さん:物事を自分で考えて、自分で決めて、それに向かって努力してもらえたらいいと思います。親が何か思っても、その通りにはいかないと思いますしね。ある程度サポートはするけれど、子どもの人生なので決めるのは自分。挫折しても、家に帰ったら両親がいて、次また頑張ろう!と思ってもらえたらいいですね。

 

PROFILE 市川由衣さん

市川由衣

1986年生まれ。2001年女優デビュー。2015年結婚、2016年第1子男児、2020年第2子男児を出産。FODにて出演ドラマ『昼上がりのオンナたち』が配信中。現在「Artistspoken」内ポッドキャスト番組『I.M.A』にて、金曜パーソナリティーをつとめている。Instagramでも情報発信中。

取材・文/内橋明日香 写真提供/市川由衣