このまま小学校に入ったら…「不安でしかない」

その話を夫に伝えましたが、夫は「素直でいいじゃないか!」と答えたそう。このままだと小学校に行ったとき、周りから嫌われるのは目に見えています。

 

「この前は、夕飯何にしようかと言ったら、『僕、餃子が食べたい。でもママが作る餃子はおいしくないから、お店のものを買ってきて』と。

 

少し前に食べに行った中華料理店の名前を出すんです。夫は“よく覚えているなぁ”と笑っている。私はちょっと寒気がするくらい、怖かったですね」

 

のびのび育てることとわがまま一直線の違いを、夫は理解していない様子。このままだと“子どもの将来が不安でたまらない”と、ヒロミさんは憂鬱な気分に。

 

「どこかで誰かがガツンと言わないと変わらない。夫の両親はすでにいないし、私の親は遠方にいるので頼れない。

 

私はつねに息子に厳しくしているし、夫にも訴えているんですが、息子は『父親が絶対的な味方』と、わかっているからわがまま放題。保育園でも、先生がいるところではいい顔をしているようで」

 

ヒロミさんは現在、地域にある子育て関係の役所に相談しているところだそうです。同時に、父親としての教育もしてもらいたい、と彼女は真顔で言いました。

 

 

文/亀山早苗 イラスト/前山三都里

※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。