「トレたま」の現場ではさまざまなハプニングも!

── 番組づくりのなかで、ハプニングもあるのでは?

 

片渕さん:
WBSで、新しい製品やサービスの「卵たち」を体験する「トレンドたまご」(以下、トレたま)のリポーターをしていたときは、紹介する製品が試作段階のことも多かったです。取材先でいざカメラを回したら「動かない!」となることは、しょっちゅうありました(笑)。試作品なので「じゃあ代わりに別のものを」というわけにもいきません。

 

テレビ東京・片渕茜アナウンサー
取材現場では「肝心の製品が動かない!」なんてトラブルも…

以前、味噌汁の匂いと包丁のトントントンという音で、起こしてくれる目覚まし時計を取材したことがありました。撮影中、試作品の回線が切れて、どうしても包丁の音が鳴らない──トレたまは、その日取材したものをその日に放送するので、このままだとコーナーがオンエアできなくなります。

 

その状況で、切れた回線を見たカメラマンさんが「ハンダづけ、できます!」と、直してくれて…。ちゃんとトントントンと包丁の音も鳴って、無事に放送できました。

 

3年半のトレたま担当では、そうした経験がかなりありましたね。取材先の方やスタッフさんのがんばりで、ギリギリのところを攻めつつ、切り抜けてきた感じです。

 

毎回ハラハラしますが、「みんなで乗り越えた!」という、一体感や充実感がたくさんありました。

メインキャスターで再確認した準備の大切さ

── 4月からはBSテレ東の報道番組プラス9で、金曜日のメインキャスターになりました。キャスターとして、メインとサブでは大きく違いますか?

 

片渕さん:
自分自身がメインで、周りを引っ張っていかないといけないというのは初めてで、さまざまな課題を感じているところです。

 

プラス9では、メインキャスターにかなり裁量があります。具体的には進行しながら、「このコーナーはもう切り上げて、その分を特集にたっぷり時間を取ろう」とか、尺を切ったり、延ばしたりして、番組内の時間配分をコントロールするんです。

 

生放送の限られた時間で、伝えるべきハイライトをきちんと詰め込んで情報をお届けするには、スタッフの方々としっかりコミュニケーションを取り、全体を把握して対応する力が求められます。

 

ときには、「自分の判断で切ってしまったけど、視聴者は、もう少しあの話を聞きたかったかもしれない…」とあとから反省することもありますし、責任が大きいですね。

 

テレビ東京・片渕茜アナウンサー
メインキャスターを務めるBSテレ東『日経ニュース プラス9』で、解説の高井宏章キャスターと

── プロデューサーやディレクターが判断するイメージだったので、そこまでの裁量があるというのは意外でした。

 

片渕さん:
やはり最初は、“指示待ち”してしまうところもありました。ですが生放送だと、待つことで微妙な間が空いてしまうこともあるので、自分で考えて判断するようになりましたね。

 

解説者や中継先とのやりとりのなかで、話が広がる場面もあるので、その日のニュースに付随した情報も含めて広く調べておくことの重要性も感じています。メインキャスターになって改めて、綿密な準備が、対応力や正しい情報を伝えることにつながると実感していますね。

 

PROFILE   片渕茜さん

佐賀県生まれ。2016年アナウンサーとしてテレビ東京に入社。多くの番組を担当し、「出没!アド街ック天国」で井ノ原快彦宣伝部長に振られる佐賀弁トークや、Instagramの「佐賀弁お天気」も話題になっている。

取材・文/鍬田美穂 写真提供/テレビ東京