必要なのは貯金と家族の理解
── 転職のたびに異業種の専門職に就いています。新しいスキルを身につけるコツはありますか。
海老澤さん:
個人的には、どっぷり没頭できる環境に身を置くことが、ひとつの近道なのかなと思います。
ひとつのことにがむしゃらに取り組んで、一定の期間集中して勉強やトレーニングを繰り返すと、いつの間にかスキルが身についている。「わからない」と思いながらも集中してやることが、大事なのかもしれません。
── 勉強するにはお金も必要です。
海老澤さん:
本当に大事だと思います。それは本当に強くお伝えしたい。そのためには、計画的に貯金するのも重要かなと思います。
私自身は決して計画性のあるタイプではないのですが、ロースクールに行くにあたって、弁護士になるまでに必要なお金をざっと計算したりしました。幸い、節約すれば何とかなるかなという程度のわずかな貯金があったので、仕事をすっぱり辞めて司法試験の勉強に全振りすることができました。
もうひとつ言えば家族の理解・協力はマストですよね。お金と家族の理解がなければ、勉強する環境は整いません。
私は独身なので、その点で身軽だったことは大きいと思います。
── 行動力も必要でしょうか。
海老澤さん:
これだと思ったら飛び込む勢いは大事だと思います。もし「24時間ファッションに関わりたい」といった熱量があるならば、まずは動いてみるといいのでは、と思います。
同時に、いろいろな人に話してみるのもおすすめ。すると、誰かが手を差し伸べてくれたりします。
私にファッションローの道が開けたのは、周囲の方々が声をかけてくれたり、引っ張ってくれたおかげ。しみじみ周りの方に恵まれているなと思いますし、大事にしなくてはと感じます。
PROFILE 海老澤美幸さん
弁護士・ファッションエディター。1975年生まれ、慶應義塾大学法学部卒。自治省(現・総務省)を経て、1999年宝島社に転職し、『SPRiNG』編集部所属。2003年渡英、スタイリストのマルコ・マティシック氏に師事。帰国後の2004年よりフリーランスのファッションエディターとして活動。2012年一橋大学法科大学院入学。2017年に弁護士登録。
取材・文/鷺島鈴香 本人写真提供/海老澤美幸