「自信を持って彼の隣にいたい」原動力となった夫の存在

── ニートだった当時、夫の都倉さんとはすでにお付き合いしていたそうですね。何か言われたことはありましたか。

 

村上さん:
私が就活に失敗してどん底だったときに、夫はすでにプロのサッカー選手だったので、移籍のタイミングで「こっち来る?」と1回だけ言われたことがあったんです。今思えば、全部やめて一緒に住めばいいじゃんってことだったかなと思うんですけど…。

お子さんが撮影したご夫婦のツーショット

夫と一緒に歩いていてファンの方に会うと「彼女はどんな人かな」と見られることが多くて。当時の私はとにかく自分が嫌いでコンプレックスの塊だったので、「こんなのが彼女だと思われたくない、見ないでほしい」とずっと思っていました。

 

自信を持って彼の隣にいたいと思ったので、まずは自分が社会に貢献できる形を見つけたいと思えたのも原動力になりました。

 

それに夫は、平日は練習で土日が試合というスケジュールで、オフの日程も合わないというのは当時の私には深刻な問題でした。それで、「会社員になったら彼のサポートするのは無理だ」と思ってしまっていて。出会って1か月で他のチームに移籍したのですが、将来を考えたときに、自分のキャリアがそのたびにリセットされるのはきついなと。

 

それなら自分で何かをして、螺旋階段のように登っていくしかない。今ほどフリーランスの方は多くなかったんですけど、会社をつくりたいというより、どうしたら自分のしたいことを実現できるかを考えて起業しました。

 

── その後結婚され、実際に何度も引っ越しがありましたね。

 

村上さん:
私は学生で、夫が川崎フロンターレに在籍していたときに出会って、群馬、神戸に引っ越して2年目で結婚しました。そこから札幌、大阪、去年から長崎に住んでいます。自分だと旅行で行くくらいですが、夫のキャリアとタイミングにはまったところに住めるので、私はその土地をめいっぱい楽しもうと思っています。

 

住んだ場所で役に立てることが多くあって、県庁や市など自治体とも仕事をさせてもらっています。例えば今住んでいる長崎は、海もすごく透き通っていて綺麗なんですけど、地元の人に聞くと「当たり前でしょ」って。他の場所から来たからこそ見えるものもあると思うので、それの視点も活かしていけたらいいなと思っています。

 

PROFILE 村上萌さん

(株)ガルテン代表取締役、「季節の楽しみと小さな工夫」をコンセプトに掲げるコミュニティメディア、NEXTWEEKEND代表。ウェブサイトの運営をはじめ、連動した雑誌の刊行や週末イベント、ECストアの運営、その他空間や商品などのプロデュースを手がける。

取材・文/内橋明日香 写真提供/村上萌