この夏は帰省しないことを決意

“単なる習慣”なので、今やそこに心がこもっているかどうかは別の話なのです。実は食事も男女別。

 

男はリビングで食べて、その間、マサミさんはお給仕をしたり酒のお代わりを作ったりお酌をしたり。

 

「それが終わると、義母や義妹が食べているダイニングテーブルでやっと食事。お給仕やお酌はいつまでたっても私の仕事。

 

『ふだん一緒にいないのだから、このときくらいサービスしなさい』と言われますが、釈然としません」

 

夫は「親ともめたくない」と見て見ぬふり。先日は小学生の娘に義父がお酌をさせようとしたので、そのときだけは毅然と夫婦で抗議したそうです。

 

「土地柄、男尊女卑なのかもしれませんが、今どき、あんな習慣があるのは夫の実家だけだと思います。

 

それでいて、義母は義父が体調を崩しても、義妹に面倒をみさせて自分はさっさと遊びに行ってしまう(苦笑)。誰も習慣を改めようとしないのが不思議です」

 

今年は息子が中学生になって忙しいを言い訳に、マサミさん一家はこの夏、夫の実家に帰省はしないつもりだそうです。

文/亀山早苗 イラスト/前山三都里

※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。