今の仕事を手放さずに暮らすための準備も
── 現地に知り合いがいるのは心強いですね。渡英されてからも日本での仕事を続けられるそうですが、そのための準備も大変だったのでは?
竹内さん:
今はほとんどの作業をデジタル化しているので、荷物は皆さんが想像されているよりは少ないかもしれません。仕事道具としては、ノートパソコン1台、机で作業する用のタブレット1台、作画用のiPad1台、資料確認用のfireタブレット1台、取材用の一眼レフ、といったところです。
これらをまとめてバッグに入れて運ぶとなると、重くて背骨が折れそうになりますが(笑)、過去にもこの仕事道具だけで数か月間、海外に滞在したことがあるので、今回も「なんとかなる」と思っています。
メインはそれくらい。今回は半年滞在する予定で、前回の海外より少し長めの滞在になるので、資料や作画用のモデルカー、文房具の予備も厳選してパッキングしました。
生活環境が変わる前に「体のメンテナンス」を
── コロナ以降の海外滞在ははじめてかと思いますが、これから海外生活をはじめるうえで不安なことはありますか?
竹内さん:
特に大きな不安はありませんが、もともと体が強くないので、滞在中に具合が悪くなったりした際の対応は考えています。常備薬を持参する、補償が手厚い長期滞在用の保険に入るなど、基本的なことはもちろん、日本にいるうちにできるメンテナンスはしておきました。
── 例えばどんなことですか?
竹内さん:
数年ぶりに歯医者さんへいき、虫歯を削ってもらいました(笑)。あとは現地で元気に過ごせるよう、今から毎日規則正しい生活を心がけています。
目標を見失わなかったから一歩ずつ前進できた
── せっかく夢が実現したんですから、万全の体制を整えたいですよね。竹内さんのように自分の夢を叶えるために邁進したいけれど、一歩踏み出す勇気がない…という方にはどんなふうに声をかけますか?
竹内さん:
私は普通の会社員でしたが、退職して2015年にはじめてロンドンに留学しました。そのとき、「学生としてではなく、いつかここで自分の仕事をしたい!」という気持ちが芽生えたのですが、気づけばそれから7年もの月日が過ぎていました。
でも、その間も日英を往復し、新しい仕事に注力しながら夢を叶えるために貯金もしてきました。努力や準備を怠っていたわけではなく、それがあっての「気づけば7年も経っていた」だったんです。毎日を楽しく過ごしながらも、目標さえ見失わなければ、少しずつ前進していけるのかなと思います。
かつてはイギリスに知り合いはいなかったし、学生時代に留学したことやYMS(一時的な就労を許可するビザ)の経験もありません。ただ、ずーっと「いつか行きたいなあ」と考え動き続けたことで、今回の滞在が実現したのだと考えています。
いつか夢を叶えたいと動き続けていれば、どんな年齢や境遇の方でも、少しずつ自分が望む環境に近づけていけるはず。一度にぜんぶ夢が叶わなくても、目標のためにできることがきっとあると思うので、楽しみながら夢に近づけていけたらいいと思います!
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働き方の多様化が叫ばれる今、竹内さんからのお話に勇気づけられる方もたくさんいるのではないでしょうか。夢の実現のため、一歩ずつでも進んでいけるといいですね。
取材・文/望月琴海 画像提供/竹内絢香