キャスターはもう「やりきった」

── 過去そんなすごい華やかさがあると、今華やかさを求めたくなることはないですか。

 

多田さん:
いや、もうないですね。まったく。

 

個人的には「やりきったな、もういいかな」というのがあったんです。「やりきった」なんて言ったら前職の先輩方に怒られちゃいますが、私の中では、これだけやったんだからもういいだろうと。年齢を重ねて、これからも仕事を通じて成長し続けていくには、私の場合は環境を変えないとと思ったんです。

 

よくびっくりされるんですけど、局のアナウンサーさんも、ある程度年齢を重ねて広報や総務、人事など他部署に移られる方も多いので、そんなに珍しいことでもないと思うのですが、私はフリーからの会社員と、脱サラの逆をいったので、珍しがられたのかなと思います。

 

── 今もめざましテレビはご覧になっているんですか。

 

多田さん:
そうですね。朝は早いので、見ています。当時のメンバーで今も出演しているのは軽部さんだけですね。でもスタッフさんは当時の方が今も結構残っていらっしゃるので、フロアやサブはばたばただろうなと想像したり、若いお天気キャスターの方が朝早くから頑張っているのを見て、「頑張れー」って応援する気持ちで見ています。

 

今から戻りたいという気持ちはないですね。あのときはあのときで楽しかったけれど、年齢を重ねた今、子どもがいる今、選んだ環境がベストかなと思います。

 

── キャスターのご経験はどんなところに今いきていますか。

 

多田さん:
前職と変わらないようなこともしています。弊社スポンサーのラジオ番組のパーソナリティーや、記者発表時の司会、社外向けに発表するときや社内イベントの司会業、ナレーションの声入れなどですね。前職の経験をそのまま活かせます。

バラエティー番組でアシスタントを務めていたキャスター時代の多田さん

── これからはどうなっていきたいですか。

 

多田さん:
今は子育てに重きを置きたいので、もっと成長した自分をなかなか思い描けないんですけれど、現状このままというわけにはいかないので、牛歩の歩でも成長していかないと会社に置いていかれるという気持ちはあります。

 

会社に貢献できるよう、広報としてまだまだ学ばなければならないことも多いので、成長していきたいです。

 

社内チェックでなんの修正も入らない完璧なリリースを書けるとか、リリースネタになる企画を生み出すとか、大きなバラエティー番組やドキュメンタリー番組を取ってくるとかですね。

 

最近、広報のインスタ投稿を始めました。これだけメディアの仕事に関わってきたのに、実は今まで経験がなかった動画編集も試行錯誤してやってみています。なかなか難しいですが、時代に置いていかれないように、若い世代が当たり前にできることはできていたいし、未知の領域、新しいことに挑戦しようという気持ちは年齢を重ねても持ち続けていたいです。