まだまだある!カビが繁殖しやすい場所
── 梅雨どきにカビやすいキッチン道具といえば、木製や竹製のもの。これらの手入れ方法も教えてください。
藤原さん:
素麺を食べようと思って竹ザルを出したら、カビの黒ずみが…ということ、ありますよね。木製や竹製のものは変色してしまうので、漂白剤の使用はおすすめできません。熱湯をかけて消毒するのがいいでしょう(製品によっては熱湯NGの場合もあるので、お手入れ方法は確認を)。
水洗いできれいにした後、熱湯にさらして、その後しっかり乾かします。濡れた面ができるだけ接触しないように置き、「よく乾かす」のがポイントです。
── 気をつけなければいけない場所がたくさんありますね…!
藤原さん:
水筒やお弁当箱のパッキンも見落としがちな場所。ゴムのような触感の樹脂製品というのは、目に見えないぐらいの細かな穴が開いていると思ってください。その奥深くにカビの菌糸が入り込んでいるので、カビが目に見えるほどなら、パッキンの買い替えをおすすめします。
土物の食器や、土鍋なども、水分や汚れを吸い込んでしまう特徴が。毎日使っているぶんには問題ないのですが、しばらく使っていないときこそ要注意です。日光によく当ててから収納しないと、カビが生えてしまうこともあります。
水栓のレバーも、生肉を触った手などで触れてしまいがちなので、細菌がつきやすい場所。洗い物が終わったら軽く拭いて、消毒用エタノールスプレーをシュッシュとかけておくだけでも違います。
細菌を過剰に怖がる必要はない
── キッチンの除菌術についてたくさん教えていただきましたが、除菌ポイントが多くて、日々の家事のなかでどこまでやればいいのか迷いますね。
藤原さん:
そうですね。細菌やカビは、過剰に怖がるのではなく、ふだんの生活のなかでの、正しい除菌の仕方のポイントを抑えることが重要だと思います。
細菌やカビはカラダに一定量以上入ると健康被害につながる可能性がありますが、一方、住空間の細菌がゼロになるというのは現実的に不可能。また、あまりに細菌に接しないと、今度は私たちの免疫力がなくなってしまうという面も。いま現在、ほどほどの除菌対策で体調を崩していないのであれば、あまり徹底的にしなくても許容範囲といえるかもしれませんね(笑)。
ただし、細菌の温床をつくってしまうことで食中毒につながったり、無自覚すぎてカラダの不調を放置したりするのは避けたいところ。あまり神経質になりすぎず、ある程度は割りきって、バランスよく「除菌」と向き合ってみてください。
PROFILE 藤原千秋さん
住生活ジャーナリスト、ライター。「家のなか」のことをテーマにWeb、雑誌、新聞、書籍などで活躍。大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAbout「家事・掃除・子育て」ガイドを務める。 『人生が整う 家事の習慣』(共同監修 西東社)、『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著・監修書多数。
取材・文/大野麻里 撮影/北原千恵美