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最低就業時間は1日4時間 細切れな勤務を認めたカオナビの「スイッチワーク」

仕事

2021.11.17

共働き時代に合った生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

今回は、タレントマネジメントシステムでシェアNo.1※を誇る「カオナビ」を提供するHR tech企業、株式会社カオナビ(柳橋仁機社長・東京都港区)の「スイッチワーク」を取り上げます。スイッチをON/OFFするように自身の裁量で細切れに働くことのできる制度で、社員のワークライフバランスの向上に大きく影響しています。コーポレート本部長・杣野祐子さんにお話を伺いました。

ITR「ITR Market View:人材管理市場2021」人材管理市場:ベンダー別売上金額シェア(2015~2020年度予測)

 

杣野さま

杣野祐子さん

リモートで家事育児と両立目指しスタートした「スイッチワーク」

── そもそも「スイッチワーク」とは、どのような制度なのでしょうか?

 

杣野さん:

スイッチワークは、始業から終業までの間、連続して仕事し続けるのではなく、スイッチをON/OFF するように細切れな働き方を認めた制度です。1日の最低就業時間「4時間」を確保すれば、目的を問わず誰でも利用することができます。就業時間は1か月間で調整すれば良いというルールになっているので、一人ひとりが柔軟に時間を活用することができます。

 

もともとリモートワークにおいて、育児や家事と仕事の両立を想定して作った制度ではありますが、兼業や資格取得の勉強に活用している社員もいます。

 

自己申告制で、事前申請は必要ありません。弊社が利用している勤怠システムで、「出勤ボタン」「退勤ボタン」をまさにスイッチのようにON/OFFすることで、利用できます。

 

このスイッチワークは、当社の新しい働き方制度「MY WORK STYLE」のひとつの施策として位置づけています。「MY WORK STYLE」は、新しい時代に対応した働き方で、社員のパフォーマンスを最大化し、組織としてこれまで以上に高い生産性を実現することを目的としています。スイッチワークのほかに、社員の裁量で出社か在宅勤務を選択し働く場所を選べる「ハイブリッド勤務」や、コアタイムを廃止した「スーパーフレックス制度」があります。

 

── どうして「スイッチワーク」を導入することになったのでしょう?

 

杣野さん:

コロナ禍を受けて、弊社は2020年の3月に完全在宅勤務の措置をとりました。しかし、緊急事態宣言発出され、学校や保育園の臨時休園・休校など頻発するようになりました。長期の休校もあり、育児しながら業務を行う社員の負担が増えたことが背景にあります。

 

そのような状況のなか、リモートワークに関するアンケートを取ったところ「子どもが在宅していると、仕事にならない」というような声が多く挙がってきたんです。また「未就学児の子どもが在宅している日は、仕事を休ませて欲しい」という打診も…。

 

確かに、小さなお子さんに「一人で遊んでいてね」と言っても限界がありますし、お昼ご飯を作って食べさせて後片付けをしてとなると、昼休憩の1時間ではたりませんよね。私も子どもがいるので、その状況が痛いほど分かりました。

 

それなら、「休憩」の時間を限定せず、かつフレキシブルに取れるようにすることで、家事育児との両立を実現できないだろうかと考えたのが導入のきっかけです。

 

── お子さんのいらっしゃる社員の方は、多いのでしょうか?

 

杣野さん:

はい。当社の平均年齢は3233歳で、小さなお子さんがいる社員も多いですね。また、HR Tech企業ということもあり、以前より働き方改革にはこだわりを持って進めてきました。そのため効率的な働き方を意識している社員も多いと思います。

 

新制度は「使ってもらってなんぼ」運用しながらPDCAを回す

── スイッチワークを運用していくうえで、工夫されていることはありますか?

 

杣野さん:

スイッチワークに限らず、新しい制度は、ある意味「使ってもらってなんぼ」だと思っています。なので、遠慮せずどんどん活用してもらえるよう社員に声けしています。多くの人が使うことで、問題点や改善点が見えてきます。それを随時取り入れながらPDCAサイクルを回すことで、より社員のニーズにあった制度に進化させられると思っています。

 

── スイッチワークはリモートワークで活用されることの方が多いのではないでしょうか実際の働きぶりが見えないなかで、不安はありませんでしたか?

 

杣野さん:

おっしゃる通り、リモートワークになったことで全員の動きが見えにくくなりました。

 

そこで、改めて「人事評価」のポイントを変えたんです。それは「成果」。当社は以前から成果主義ではありましたが、社員が自身で設定した目標の達成度を、より注視するようになりました。

 

また、リモートワークの場合、社員同士でのコミュニケーションも取りづらくなります。そうすると、業務に関する情報量が絶対的に不足しがちです。それを上司や同僚と積極的にコミュニケーションして、取りに行けているかどうかも見ていますね。業務に主体性を持って取り組んでいるかついては、特に重視して評価するようになった項目です。

 

オンラインでのコミュニケーションを見ていると、自身で考えて行動しているかどうかが、はっきりと見えてくるようになったと感じています。

月間勤務表

スイッチワークを利用した場合の月間勤務表

「生産性向上」が71%!時間の使い方を社員自身で工夫したことが奏功 

── スイッチワークは、2020年春に運用を開始されて1年半が経過しています。社員の方々からの反応はいかがですか?

 

杣野さん:

スイッチワークを導入して、1年後にアンケートを取りました。そうすると、65%の社員が活用してくれていることが分かりました。結果も好評で「業務の生産性が向上した」と回答した社員も71%いました。

 

また、スイッチワークをはじめ、HR tech企業として、自ら働き方改革のロールモデルとなるような制度構築にも積極的に取り組む社風に共感して、採用の門を叩いてくださる優秀な人材も増えたように思います。

 

社員からも、「通院する場合、これまでは混雑している土日にしか行けなかったけれど、気兼ねなく平日に通えるようになった。」「事前承認のハードル無く仕事のオンオフができるので、家事や育児と仕事の両立がしやすくなり、心に余裕ができた。」などの嬉しいエピソードも報告されました。

 

印象的だったのは「家族に、表情が明るくなったと言われました」という社員がいて…私まで嬉しくなりましたね。

 

── 昼間の時間を活用すると、逆に、夜に業務が残ってしまう…という事はありませんでしたか?

 

杣野さん:

確かに、スイッチワークを多用すると、夜の残業時間が増えてしまうのでは…という懸念は持っていました。しかし、いざふたを開けてみると全体的に残業時間は増えていなかったんです。

 

皆、スイッチのようにプライベートと仕事のメリハリをつけることで、自律的に「どうやって時間を捻出するのか」ということを工夫しながら、時間を調整していたようです。そうやって日々自分自身で考えて取り組んだことが、生産性の向上にも繋がったのでは…と思っています。

社員の考えをタイムリーに把握しアウトプットしていく

── 最後に、今後の働き方改革のビジョンについて教えてください。

 

杣野さん:

当社では、ビジネス規模が大きくなるとともに、社員数も増えてきました。

 

平均年齢は3233歳でが、最近では20代の若手社員も増えています。社員の分布や、組織構造が変わってきているなと感じています。

 

そんななか、若い世代はどのような点に働きがいを感じるのか、給与体型や制度の面に関しても、その世代の価値観を把握しながら検討し直しているところです。

 

現代は変化の激しい時代。それに伴い、人の考えや価値観も変化するでしょう。私たちは、社員がどのように考えているのかをタイムリーに把握し、柔軟に考え、今後もアウトプットし続けていきたいと考えています。

カオナビ新オフィス

2020年12月に移転した新オフィスの様子

取材・文/三神早耶 写真提供/株式会社カオナビ

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