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上にはペコペコ、部下にはガミガミ。役職や立場で態度を変える人に耐えられない

仕事

2021.06.02

上にはペコペコして下にはガミガミうるさい面倒な人

自分には上から目線で話をしてくるのに、上司や隣の部署に人にはやたらと愛想がいい。相手の役職や立場で態度を変える人が周囲にいると、嫌な気分になる…。そんな時、どう対応したらいいのでしょう。ここはアドラー心理学で解決しましょう!アドラー派の心理カウンセラー・小倉広さんに話を聞きました。

相手の態度は自分に関係ない。アドラーなら受け流す

—— 職場の同僚Aさんが、人によって態度を変えるのを見て、イライラする場合、どのように関わったらいいのでしょうか。

 

小倉さん: 

相手によって態度を変えるAさんに「あなたが」イライラするのですね。さて、この場合、Aさんの課題は何で、「あなた」の課題は何でしょうか?切り分けて考えてみましょう。

 

まずAさんの課題です。Aさんが相手によって露骨に態度を変える。それによりAさんは上司に媚びを売ることはできますが、同僚に嫌われるかもしれません。そして、そのプラスとマイナスを引き受けるのはAさん自身です。つまり、これはAさんが結果を引き受けるAさんの課題となります。

 

では、あなたの課題は何でしょうか?

 

それは、Aさんを見てイライラするか、しないか、という課題です。この場合、本当の課題はAさんがどう振る舞うべきかではなく、あなたがどう反応するか?だけなのです。

 

「あなたの許可なくして誰もあなたを傷つけることはできない」 No one can make you feel inferior without your permission”. というエリーナ・ルーズベルト(ルーズベルト大統領夫人)の名言があります。私たちは、自分の意志や判断に基づき、主体的に人生を選ぶことができます。

 

しかし、中には周りの言動に振り回され、自分の気持ちが乱れてしまう人もいますね。実は、主体的な人も振り回されると感じる人も、共通しているのは自分で自分の行動を選んでいること。

 

もし、誰かに傷つけられたと感じたとしても、自ら“傷つけられるという選択”をしているに過ぎません。対人関係のスキルは、自分の受け止め方次第で大きく変化するのです。

 

—— そもそものアドラー心理学の概要について教えてください。

 

小倉さん:

深層心理学の三巨頭としてフロイト・ユング・アドラーと、3人の有名な心理学者がいます。フロイトやユングの理論は、病気にかかってしまった人を治療する心理学ですが、アドラーの理論は健康な人が病気にかからないように予防する教育の心理学です。

 

また、前者は一人一人の内面を探求していきますが、アドラーは対人関係、コミュニケーションについて解決を考えます。ですから、同じ心理学でもフロイトやユングの理論よりは、アドラー心理学の方がビジネス現場の問題解決に有効と言えるのではないでしょうか。

不良はなぜ学校では荒れて、仲間には優しいのか?

—— 人間関係で苦手な人は、タイプわけするとたくさんいる気がします。人によって態度を変える高圧的な人、病気や弱さをアピールする人、ルーズでいい加減な人、無口でコミュ力のない人とか。どんなタイプでもアドラー心理学での対応は変わらないんでしょうか?

 

小倉さん: 

対人関係で問題を起こしがちな人は、自分の「強さ」や「弱さ」を利用して、人間関係の課題から逃げている人たちです。「高圧的な人」は、“自分は偉いから尊敬しろ”とか、“自分のような立場のある人間はこんな仕事をやる必要がない”と課題から逃げています。強さを使って本来は助け合うことから目を背けているのです。

 

「病気や弱さをアピールする人」も、“自分は大変なんだ”、と弱さをアピールすることで、無意識にしろ意識的にしろ、自分の身に降りかかる面倒を避けている。アドラーはこのように考えたのですね。

 

強さを使う人も弱さを使う人と同様、対人関係が苦手で劣等感を抱えながら必死に生きているのです。だから「強さ」を使って課題を解決しようとして、逆効果になっています。これをアドラー心理学では「勇気」の不足による「優越コンプレックス(強さを使って課題から逃げること)」と呼びます。

 

たとえば暴走族の人たちは、家でも学校でも人間関係が上手くいかず、強い劣等感を持っています。人間関係がスムーズにいかないから、ああいった行動に出てしまう。しかし、不思議なことに不良仲間が集まる場では、ルールを守って助け合うんです。

 

それは、彼らが不良仲間の中では「自分はみんなの役に立っていて、みんなは仲間だ」と感じ、勇気を持つことができるからです。勇気がある時にだけ人は対人関係を円滑にしようと努力します。だから、彼らは不良仲間といる時にだけ、彼らと仲良く助け合って過ごすのです。

 

そんな彼らの問題行動を減らすためには彼らを勇気づけることです。「あなたがいてくれるお陰で私は助かっています。私はあなたの仲間ですよ」と合図と送ること。すると、相手は勇気が満たされて「優越コンプレックス」を手放します。問題行動が減るのです。

 

一方で「彼らを勇気づけるなどしたくない、する必要を感じない」という人もいるでしょう。それもごもっともです。その場合は、彼となるべく関わらないようにして、できるだけ離れます。そして、自分の課題である「イライラするかしないか」だけに向き合うのです。

 

——しかし、困っている人がいると、つい色々手伝ってしまう人もいますよね。

 

小倉さん:

ここで難しいのが「過干渉」です。「私が何とかしてあげるわよ」と、お節介を焼く人です。これは「勇気づけ」ではなく「勇気くじき」になってしまいます。

 

たしかにアドラー心理学はは、どんな相手でも仲間として助け合おうとします。しかし、それは相手を「能力がないかわいそうな人」だと上から目線で保護しようとするのではなく、相手を「能力がある一人の自立した人間」として協力することを大事だとしているんですよね。

 

たとえば、外食時にお皿を配ってくれたら「ありがとう」でいい。それが、「あなた凄いわよ、気が利くわね」となると余計なお世話になります。相手との適切な距離感を保ち、人の言動・行動に流されることなく自分の人生を主体的に選択できると、今よりもっとストレスフリーに近づくはずです。

職場の困った人との人間関係を解決するアドラー心理学

 

PROFILE  小倉広さん

組織人事コンサルタント、アドラー派の心理カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ。株式会社小倉広事務所代表取締役。大学卒業後、リクルート入社。事業企画室、編集部、組織人事コンサルティング室など企画畑を中心に11年半過ごす。その後、ソースネクスト(現東証一部上場)常務取締役、コンサルティング会社代表取締役などを経て現職。「もし、アドラーが上司だったら」(プレジデント社)ほか著作44冊、累計販売100万部。

監修/小倉広 取材・構成/松永怜 イラスト/タテノカズヒロ 

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