豊富なオンラインコンテンツで自発的な学びを促す「ライオン・キャリアビレッジ」
──思考回路のギャップが埋まれば、チームワークも高まりますね。最後に「ワークマネジメント」についてはいかがでしょうか?
渡部さん:
「ワークマネジメント」では、「能力開発支援」と「能力発揮を可能とするステージ提供」の2方面からのアプローチが必要と想定しています。そこで、ライオンが活用しているのが「ライオン・キャリアビレッジ(LCV)」と呼ばれている学びの仕組みです。
LCVには2000を超えるコンテンツを揃えた「eラーニング講座」と、社内外の講師がファシリテートする「ケース討議」があります。従業員は自分のキャリアパスを考え、所属や階層、勤務地を問わずに学びたい分野をいつでも自由に学ぶことができます。ただし少人数制のケース討議は誰もが参加できるわけではなく、指定されたeラーニング講座の事前受講や、事前課題提出などの条件があります。
──2000コンテンツも!それだけ多くのコンテンツがあると、何を受講するか迷ってしまいそうですが…。
渡部さん:
「eラーニング講座」はスキル的なものが中心で、隙間時間での学びを想定しているため、1コンテンツ当たりは10分以内とスマホからでも気軽に受講できる設計にしています。約300は自社の歴史や商品など当社独自の学びコンテンツで、全従業員が自社について理解し、説明できるように作られたものです。逆に「ケース討議」はeラーニング講座の基礎知識を学習していることが前提になるので、「地震で物流がストップした場合、どこから復旧させる?」など、実際の事態を想定して考える内容としています。
「ライオン・キャリアビレッジ(LCV)」の過去のケース討議の様子(20年からはリモートで実施)
ライオンは部門ごとに大きく仕事内容が異なっているのですが、そもそもそのことを知らない従業員も多いです。今やっている仕事とは別の仕事にも興味を持っているのに、自社でもその仕事ができると知らないケースは勿体ないですよね。
──確かに「この分野に興味がある」と思っても、初めての分野だとどこから学べばいいか手探りになってしまいます。手軽に勉強できる仕組みがあると、自身のキャリアについて考えるきっかけになりますね。
渡部さん:
その通りです。LCVは全てオンライン講座なので、誰もがフラットな立場で学ぶことができます。言い換えれば「やりたいのにやれなかった」ということがありません。これまで研修内容に興味があるのに勤務地が遠いため参加できなかった従業員、開催時間の制約で参加できなかったママ従業員や営業職なども、自分の好きなタイミングで勉強できます。あくまでも一選択肢ですが、たとえば異動希望を出す際のきっかけにもできます。
LCV受講自体は強制ではありませんが、7割の従業員がLCVの利用経験があります。コロナ禍の2020年4月では新入社員を中心に通常時の3倍以上、視聴数は約5倍の利用がありました。利用者アンケートでも88%が今後の活用意向があり、「新しく学んだ知識を仕事に活用した、または活用予定」が40%、「将来この知識を活用できそう」も49%と回答しています。