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そこが知りたい!「時短勤務」いつまで続ける?誰でもできる?

仕事

2020.03.11

出産を控えフルタイムで働く女性の中には、育休後は「時短勤務」での職場復帰を検討中の人もいるでしょう。

 

それまでフルタイムで働いていた場合、時短勤務になると、働き方やお金の面などでどのような違いがあるのか気になりますね。

 

そこで、意外と知らない人も多い、制度利用の条件やみんなはいつからいつまで時短で働いているのか、ハラスメントなどの問題点についてまとめてみました。ぜひ参考にして下さいね。

 

まずは確認!時短勤務の条件とは

時短勤務とは、正式には「短時間勤務制度」といい、育児のために1日の労働時間を6時間に減らしつつ、社会保険などはフルタイムのときと同じように扱われる制度です。

 

同じ職場に時短勤務で働いている人がいれば、いろいろ教えてもらうこともできますが、聞ける相手がいない・今まで時短制度を利用した人がいない…という場合、そもそも「自分は利用できるのか?」というところから迷ってしまいますね。

 

時短勤務については「育児・介護休業法」という法律に「育児のための所定労働時間短縮の措置」という記載があります。

 

規定は子どもの年齢で分かれていて、3歳以下の子がいる従業員から時短勤務の申し出があれば必ず許可するよう義務付けられていますが、3歳以上入学までは「努力義務(できる限り許可する)」となっています。

 

制度を利用できるのは正社員だけではなく、契約社員・派遣社員・パートでも以下の条件に当てはまればOK。

 

【短時間勤務制度を利用できる人】

1.3歳未満の子どもを養育している
2.1日の所定労働時間が6時間以上
3.日々雇用(日雇い労働)ではなく、継続的に勤務している

 

以前は、配偶者が育休中や専業主婦(主夫)の場合は対象外とされていましたが、現在では配偶者の状況に関わらず時短勤務を申請できるようになっています。

 

ただし以下の場合は、入社時に結んだ「労使協定」に明記してあれば、時短勤務が認められないこともあります。

 

  1. 1.入社後1年未満
  2. 2.週の出勤日が2日以下
  3. 3.業務内容から考えて難しい場合

 

なお、3は少し定義があいまいですが、

 

「いや~人手不足だし忙しいから時短なんて困るよ、無理」

 

というような理由ではなく、国際線の客室乗務員やエリアが固定された営業職、部分的に交替できない製造ライン作業などが該当するそうです。

 

企業は「こういう制度がありますよ」と従業員に周知する義務があり、従業員は1か月以上前に申請する義務があります。

 

「制度があるのを誰も知らない」というのは会社の義務違反になりますし、「明日から時短勤務にして下さい」は法的に認められません。

 

と、ここまでは法で定められている内容ですが、会社が独自に福利厚生の一環として法の範囲より手厚い時短制度を定めているケースもあります。

 

みんなは「時短勤務」を利用できている?

すべての会社に時短勤務制度の設置義務があるとはいえ、実際にみんなはどのくらい利用できているのでしょうか?

 

2010年に短時間勤務制度の設置が義務付けられてから、年々利用者は増えています。

 

2000~2004年に生まれた第1子の親で短時間勤務制度を利用した人は21.0%でしたが、2005~2009年には25.7%、2010~2012年には43.9%と、10年間で倍増しています。

 

しかし上記は正社員のデータであり、さまざまな働き方の育児中の女性を対象に行われた2017年の別の調査では「短時間勤務制度をすでに利用できている」という人は4.8%にすぎませんでした。

 

さらに、男性の短時間勤務制度利用率はどうかというと、2017年時点で正社員が2.9%、非正規のパパではわずか0.4%にすぎませんでした。

 

育児休業の6.16%(2019年)よりもさらに低い数字で、現実に時短勤務ができている男性は非常に少ないことが分かります。

 

時短勤務のデメリットは?「時短は迷惑」の声がつらい…

時短勤務で労働時間が減れば、ボーナスや昇給・退職金などのカウントが変わるので、トータルで減収になるのはデメリットの1つだといえます。

 

しかし、それは事前に承知の上で、時間や心身の負担を減らす・子どもとの時間を確保するといったメリットと引き替えに選択しているため、そこを不満に感じる人は少ないでしょう。

 

それ以外のデメリットとしては、やはりキャリア構築や仕事内容に関するものがあります。

 

育児のための時短勤務を希望するのは、パートナーが激務・実家を頼れないなど、残業や出張などが難しい状況の人が大多数。

 

そのため、一部の専門職などをのぞき、必然的に以前よりも責任が少なく突発的な事態に対応しなくても済むような仕事内容にシフトすることが多くなります。

 

それが一時的な状態で、フルタイム復帰時には徐々に元の職務に戻れれば問題ないのですが、子どもが成長しても補助的な業務から抜け出せないことがあり、これを「マミートラック」といいます。

 

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ただ、すべての働く女性が(男性も)残業してバリバリ働きたい人ばかりではなく、仕事を時間内できっちり終わらせてプライベートを充実させたい人もいます。

 

「マミートラック」がデメリットになるかどうかは、その人の価値観によって変わると言えるでしょう。

 

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フルタイムでも時短勤務でも、子どもが小さいうちは保育園のお迎えもあり、急に熱を出すこともしょっちゅう。

 

2人・3人と小さい子がいると時間差で熱を出すことも多いので、毎週のように休みが続き肩身が狭い人も多いと思います。

 

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基本体には、時短(短時間)勤務制度の利用自体や、子どもの病気で仕事を休むことを理由に仕事の評価を下げるのは法律で禁じられています。

 

ただ、法的には守られているとはいえ、実際の現場がうまく回っていないこともままあります。

 

特に、時短勤務の人の退勤後に取引先や他部署から問い合わせの電話が入ると、残った人が対応するしかなく業務量が増えてしまいます。

 

また、チームで行っている作業の締め切りが早まったような場合、時短で帰宅した人がどこまで進んでいるのか不明だったり、資料やファイルが見つからず困ったり…という可能性も。

 

時短勤務中は、得意先へ「時短勤務中のため、ご連絡は15時までにいただけますと当日中にお返事できます」と案内したり、自分の仕事の進捗や、必要なデータが誰からも分かるようにしておくなどの対処を徹底しましょう。

 

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これらの工夫により、時短・フルタイム問わず仕事がやりやすくなるため、長期的にはデメリットではなく、メリットとなるはず。

 

「時短ハラスメント」って?

職場でのハラスメント(いやがらせ)は、近年、「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」「パタハラ」などさまざまな名称で呼ばれています。

 

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そして、そこに加わりつつあるのが、2018年度の流行語大賞にもノミネートされた「ジタハラ(時短ハラスメント)」だといわれています。

 

「時短ハラスメント」は、ぱっと聞いたところ

「育児で時短勤務を希望する従業員に、希望通り時短勤務をさせない」

「時短勤務で早く帰る社員に”君のおかげで残業だよ”などの発言をする」

などのいやがらせが思い浮かびます。

 

しかし、現在「時短ハラスメント」と呼ばれているものはそれとは少し違います。

 

2019年から本格的に法案が施行されている「働き方改革」。

 

そのひとつである「長時間労働の改善」は、仕事の効率化をはかり、定時で帰ってライフワークバランスをめざしましょうというものです。

 

しかし、実際には「仕事の量はそのままで残業だけを禁止する」という現場が続出。

 

もともとの業務量が多過ぎる場合、強制的に社員を定時で帰らせても、けっきょく自宅やカフェなどで仕事をすることになり、その分の残業代は支払われないことに…。

 

これが現在言われている「時短ハラスメント」です。

 

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しかしよく考えると、育児で時短勤務をしていたり、保育園のお迎えで定時に帰らざるを得ない人というのは、以前からずっとこの問題と向き合ってきたといえます。

 

社会全体がこの問題に目を向けている今、適性な仕事量と勤務時間のバランスが見直されるようになれば、育児中のママ・パパにとっては追い風になるかもしれませんね。

 

いつ時短からフルタイムに戻る?戻れる…?

時短勤務からフルタイムに戻る時期に迷う人も多いでしょう。

 

冒頭でも紹介した通り、育児・介護休業法の規定では、子どもが3歳になる誕生日の前日までは従業員の短時間勤務を許可するよう義務づけられています。

 

また、小学校入学までは「努力義務」となっていて、会社ごとに独自の制度が利用できるところも。

 

しかし、保育園や家庭の状況・仕事の展望などにより、3歳を待たずにフルタイム復帰しようと考える人もいるでしょう。

 

反対に、第2子・第3子が生まれて、制度上は10年近くも時短勤務が可能になる人や、実際に時短を続ける人もいます。

 

さらに、時短勤務ならなんとか働き続けられるものの、子どもの人数が多い、子どもに持病がある、パートナーから家事育児の協力が得られないなどの理由でフルタイムでの復帰を断念する人も。

 

それぞれの立場のママに話を聞かせてもらいました。

 

早めにフルタイム復帰したママ

育休が終わり、お子さんが1歳半の時に時短勤務からフルタイムに切り替えたYさん(当時31歳)。

 

「4月から保育園に入園し、最初は9時から15時までの時短勤務で働いていました。でも、やはり15時だと仕事がこなせないことが多く。私も効率化は心がけていましたが、他の部署から業務に必要な資料が回ってくるのが、日によって朝いちばんだったりお昼過ぎだったりバラバラで、量も日によって違うんです。遅いのと量が多いのが重なると、どうしても15時には終わらず、同僚・上司に託すか、持ち帰って子どもを寝かしつけたあとに作業するかになります」

 

持ち帰りで作業して、給与は少ない…というのでは意味がないと考えたYさんは、予定を早めて年末で時短勤務を終了し、育休復帰後8ヶ月でのフルタイム復帰となったそうです。

 

「わが家は幸い夫の出勤が遅く、朝の子どもの準備と保育園の送りは任せられましたが、これが朝も夜も私のワンオペだったらこの時期のフルタイム復帰は難しかったかもしれません」

 

第1子・第2子連続で時短勤務のママ

第1子の育休後に時短勤務を1年続け、第2子を授かったため再度育休→復帰後時短2年目のMさん。

 

「もともと女性が多い職場で、出産しても時短を利用して働き続ける人も多く、周囲からも”また?”みたいな反応はありませんでした。ただ、時短コースの人とフルタイムコースの人とけっこう仕事がはっきり分かれていて、いったん時短を選ぶと、なかなかキャリアアップは望めないですね。」

 

職場で復帰直後からフルタイムで働く女性社員はどのように仕事と家庭をやりくりしていたか聞いてみると、

 

「仕事時間の融通が利くパートナーにお迎えを任せる、祖父母に近所に移り住んでもらう、延長保育やベビーシッターを雇って残業できる日を作る、病児保育など、あらゆる手段を駆使していた印象です」

 

とのことでした。

 

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時短終了時に転職したママ

最後に、時短勤務の終了とともに転職を決めたSさん(当時34歳)は、次のように話します。

 

「時短で職場復帰後も、なかなか業務時間内で仕事が終わらず、持ち帰ることもしばしば。上司に相談しましたが、時短ということで仕事量は減らしている、あとは自分の能力の問題だと言われました」

 

Sさんの夫は家事育児を妻に任せきりにするタイプではなく、週末は朝から掃除や洗濯など進んでやってくれましたが、ちょうど部下ができてマネージメントに手が抜けず、平日は帰りの遅い日が続いたそうです。

 

「お迎えは夫には頼めないし、フルタイムに戻ってさらに業務量がふえれば残業は必至。思い切って転職先を探してみたところ、幸運にも、2駅自宅寄りの会社に転職できました。少しだけ給与は下がりますが、時短勤務に比べれば多いですし、残業がほぼゼロなので安心して育児ができるのが何よりです」

 

キャリアはいったん中断したものの、週末や深夜に働くことがなくなり、時間的にも精神的にもゆとりができたため、仕事に生かせる資格の取得も計画しているそうです。

 

おわりに

時短(短時間)勤務は、条件を満たせば、正社員に限らず利用できる制度です。

 

パパ(男性)も利用できるのですが、実際に時短勤務するのはほとんどが「働くママ」。

 

しかも、徐々に定着しているとはいえ、社内の環境が整っていないと利用しにくかったり、トラブルのもととなったり、予想以上にキャリアの妨げとなってしまうという実情もあります。

 

まだまだ解決するべき問題はありますが、復帰時には「なんとなく時短がいいのかな…」で決めるのではなく、どのようなメリットとデメリットがあり、いつまで利用するか、金銭面やキャリアプランなどをよく考えてベストな選択をして下さいね。

 

文/高谷みえこ

参考/厚生労働省「H29.01 育児・介護休業制度ガイドブック」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h27_12.pdf

両立支援策の利用が女性の賃金に及ぼす影響|日本労働研究雑誌2019年特別号(No.703) https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2019/special/pdf/093-103.pdf

2017年社会保障・人口問題基本調査「生活と支え合いに関する調査」 http://www.ipss.go.jp/ss-seikatsu/j/2017/seikatsu2017_kekka.pdf

 

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