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終活を支える資格「生前整理士」と「遺品整理士」とは

仕事

2019.12.03

少子高齢化が進む今、「終活」は当たり前のように使われる言葉となりつつあります。

働く世代にとっても、親の終活は身近な問題。自分自身の持ち物であれば自己判断で処理することができますが、親のものとなると片づけがスムーズにいかないということも多いそうです。最悪の場合は、親子間で重大なトラブルになってしまうことも。

 

そんな悩みを抱えている人が増えているからこそ、「終活」に関わる資格や仕事も増えてきています。

今回は終活に関わる資格である「生前整理士」と「遺品整理士」の二つについてご紹介したいと思います。


生前整理はただの“片づけ”じゃない

人が亡くなったあと、遺された人たちは様々な形で遺品の整理をします。

思い出のものを残したり、使わないものを処分したりしていくなかで、故人がどうしたかったのかわからないものが出てきてしまうと、遺族としては非常に困ってしまいます。

またスムーズに遺品の整理ができればよいですが、誰が何を相続するのかが曖昧になっていたせいで、きょうだいや親戚間で財産分与トラブルが起きることも。

 

生前整理は、そうした問題を未然に防ぐ手段として注目を浴びているのです。

 

人生を気持ちよく終える手伝い

遺族に面倒ごとや揉め事を残さないために行うという目的で行われることが多い生前整理ですが、本人が物の整理を通して自分自身の心を整理するという意味合いも持っています。

物を片づけていくということは、その物にまつわる思いや思い出を片付けるということ。心配事や執着心を手放して穏やかな最期を迎えるために生前整理を行うという人も少なくありません。

 

また、物の片づけだけでなく、自分に介護が必要になった時はどうしてほしいか、葬儀はどうするかということを明文化して残すことも生前整理のひとつ。

生前整理に関わる仕事は、ただ片づけを手伝うのではなく、最期まで自分の人生を気持ちよく生き抜きたいと思っている人の手伝いをするものと考えるとよいかもしれません。

 

終活を手伝う「生前整理士」の資格とは?

仕事として生前整理に関わりたいと思っている人だけでなく、働く世代にとっては、自分の親や親戚の生前整理はけっして他人事ではない問題です。

そこで、生前整理に関する資格をいくつかご紹介していきたいと思います。

 

生前整理に関する資格は「一般社団法人 生前整理普及協会」によって認定される民間の資格です。

現在は5種類あり、なかには生前整理に関わる仕事をするうえで役立つものもあります。

講座を受講することで認定を受けることができるものが多く、受講はスカイプでも可能というものも。仕事や育児が理由で直接講座に出向くことが難しい場合にも便利です。


・生前整理アドバイザー

生前整理アドバイザーは自分自身の生前整理をする場合や、身近な人のアドバイスに乗るケースを前提とした資格。

レベルは、自ら生前整理が行えるようになる2級、法律を踏まえた遺書作成の方法や遺産相続に関することなど、ふみkんだアドバイスができるようになる準1級・1級の三段階になっています。


しかしあくまでも自分の生前整理をしたり、身近な人にアドバイスをすることができるようになることを前提とした資格なので、この資格を直接仕事に結び付けるというのは難しいかもしれません。


・生前整理アドバイザー 認定指導員

生前整理アドバイザーの資格を仕事に結びつけたいのであれば、資格取得後に「認定指導員」になるための講座を受講するのがおすすめ。

講座を受けて認定試験に受かれば、指導員として整理生前に関する講座を開講することができるようです。

 

生前整理アドバイザーの認定指導員は生前整理のやり方を教えるだけでなく、生前整理の意味や大切さを伝えていくことも重要な目的のひとつ。

 

・生前整理相談士

生前整理相談士の資格を取得すると、介護や葬儀、相続、片づけといった様々な悩みに対応する基本的な知識を得ることができます。

生前整理で困っている人の相談に乗り、解決の糸口を一緒に見つけていきたいと思っている人にはぴったりの資格です。


・生前整理診断士

生前整理相談士より、さらに専門的なことを学ぶことで得られる資格。

 

生前整理を本格的に行おうとすると、役所などでさまざまな手続きをしなくてはいけない場面も出てきます。そんなときに、法律的なことをはじめとした幅広いアドバイスをするのが生前整理診断士です。

高齢者向けのサービスや事業に携わっていたり、今後携わる予定がある人は取得しておいて損のない資格ではないでしょうか。

 

・生前整理認定作業士

この資格はこれまでに紹介した資格とは少し異なり、実際に片づけてほしい人の家に出向いてお手伝いをすることができる資格です。

 

資格取得の過程で、訪問作業におけるマナーや作業の流れ、清掃について学ぶことができます。アドバイスをするだけでなく、一緒に作業もしながら生前整理を手伝いたいと考えている方に向いているかもしれません。

 

生前整理士の資格を取得するメリット

生前整理に関わる資格を取得することのメリットは大きく分けて二つではないでしょうか。

 

メリット① 体系的な知識を身につけられる

すでに説明したように、生前整理はただ身の回りの片付けをするということではなく、相続などの法律的な面についてもクリアにしていく必要があります。

どのような手続きを、いつどこですればいいのかを理解するためには、幅広い知識を身につけなくてはいけませんが、独学で学ぶのには限界があります。

 

また、仮に知識を得ることができても、依頼する人の心にどのように寄り添っていくかなど、精神面のフォロー方法についても理解していなくてはいけません。

資格の勉強を通して幅広い知識を身につけ、生前整理に関わることに対する心構えを学ぶことができるという点は、資格取得の大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

 

メリット② 新しいキャリアに繋がる

高齢化社会が進んでいくなか、高齢者を対象とした事業やサービスは今後さらに増えていくと予想されます。その際、生前整理に関する資格を持っているということは、キャリアの可能性を広げてくれるはず。

資格を持っているということは、自分の能力を客観的に証明することができるということになります。現在福祉の分野で働いていたり今後福祉に関係する仕事に就きたいと思っている人は、注目したい資格のひとつです。

生前整理に関わる仕事って?

生前整理に関わる資格を仕事に生かしたい場合、どのような業界に目を向けるとよいのでしょうか?

 

現在では、生前整理を専門としている業者はもちろんのこと、清掃業者や遺品整理会社などでも生前整理を行っている場合があります。

生前整理に関する知識を広めるセミナー業の分野でも資格を生かすことができそうです。

また、介護などの職場でも生前整理に関するアドバイスをしたり、実際に生前整理の手伝いをするなど、資格取得を通して得た知識がプラスになるはずです。

もちろん、自分で開業することもできます。

 

もう一つの資格「遺品整理士」とは

生前整理という形で亡くなる前に自分自身で身辺整理をできる人もいれば、突然のことで生前に整理することができずに亡くなる人も数多くいます。

その場合は、遺された人が故人の大切にしていたものを整理するというケースがほとんどではないでしょうか。そんなとき、「遺品整理士」という資格を持っていると心強いかもしれません。

 

遺品整理士が求められる社会的背景

遺品の片付けと言えば、かつては家族や親せきなどが集まって行うことがほとんどでした。“形見分け”という言葉もあるように、故人と縁のあった人々が思い出話にふけりながら思い出の品を分けあったり、必要なくなったものは相談しながら丁寧に処分したものです。

 

しかし、現代の遺品整理は様変わりしてきつつあります。

核家族化が進んだことやライフスタイルの変化で、人手不足や時間をなかなか取れないといったことから、遺族だけの力で遺品整理をすることはなかなか難しくなってきたのです。

 

2030年問題と言われるように、これから先超高齢化社会という時代に突入すればますます人手不足となり、個人で遺品整理をするのは一層難しくなる可能性もあります。

社会的な事情だけではなく、遺品整理というのは心理的にもハードルの高い行為です。

故人との思い出が詰まっていると、必要ないものだけどどうしても処分できないといったことも起こり得ます。

 

そんなとき、遺族の心に寄り添いながら遺品整理のお手伝いをするのが「遺品整理士」の仕事。自分の身の回りで遺品整理をしなくてはいけないときに役立つのはもちろん、キャリアとしての可能性もある資格です。

「遺品整理士」の資格は必要なのか

実は、遺品整理に関する職業は以前からありました。しかし、遺品整理業に関する法整備というものは現時点でもほとんど整っていません。そのため、引き取った遺品を不法投棄したり、高額な費用請求など不誠実な営業をする業者が多いのも実情です。

 

信頼できるかどうかの指標になる

遺品整理業社が増える一方で、こうしたモラルの低下は利用者に不安を与えることになります。そこで業界の全体的なモラル向上のため「遺品整理士」という資格ができたという経緯があります。

 

遺品整理士の資格を取得する際には、講座を受講したり、資格試験を受ける必要があります。そのため、遺品整理士の仕事内容だけでなく、廃棄するもの、リサイクルするものそれぞれの取り扱いに必要な法規制について学んだり、命の大切さについてあらためて理解を深めることができます。

行政としても、遺品整理士の資格を取得している人に優先的に仕事を発注するような働きかけも始まっているようです。

 

極端な話をしてしまえば、遺品整理は誰でもできます。だからこそ、きちんとした知識を学び“こころ”をもって遺品整理に向き合えるということを「遺品整理士」という資格で証明できるのです。

 

「遺品整理士」のなり方は?

遺品整理士は「一般社団法人 遺品整理士認定協会」が認定を行う民間資格です。取得するためにはまず講座に申し込む必要があります。

申し込みをすると、教材である教本や資料集、問題集、DVDが送られてきます。それに従って勉強を進めていきます。

 

教本に書かれている内容は、遺品整理とは何かという事や、業務を行っていくうえで必要なことと法規制について、また事例研究など、遺品整理に臨むにあたって必要な知識と心構えが主な内容となっています。

最終的に問題集にしたがってレポートを作成して提出し、合格通知が届けば遺品整理士の認定手続きを行うことができます。

 

合格率は65パーセント程度で、比較的合格率の高い資格であるといえます。

自宅で勉強をし、受験もできるという点では比較的簡単に取得しやすい資格ではないでしょうか。

遺品整理士として働くには

資格を取得することができればすぐにでも遺品整理士として働くことができます。その働き方は大きく分けて2種類あります。


①業者などに所属して働く

遺品整理士が活躍できる職場として遺品整理の専門業者のほかに「不良品回収業者」「宅配業者」などが考えられます。

 

これまで遺品を家族だけでは片づけられない場合、不良品回収業者などに依頼することが多くありました。

こういった業者が法規制に則った営業をしていくために、正しい知識を持った遺品整理士を募集するケースが増えてきているのです。

 

また、遺品整理サービスを始めた宅急便業者もあります。今後、宅急便業界でも遺品整理を行う会社が増えることも考えられます。

 

気をつけておきたいのは、不正を行っている業者も少なからずあるということ。

そういった業者に間違って就職してしまわないか心配な場合は、遺品整理士認定協会が運営している「遺品整理不正防止情報センターに」求職登録するという手段もあります。

 

登録しておけば求人をしている業者を紹介してくれるシステムになっているので安心といえるでしょう。


②開業する

遺品整理士として開業するなら、他の業種と同じように税務署に行って開業届を出す必要があります。もちろん確定申告などもすべて自分で行わなくてはなりません。

婆によっては助成金などがもらえることもあるので、各市町村にある社労士事務所などにまず相談した方がよいでしょう。

 

ただ、開業するのであればまずは業者などで経験を積んでからのほうがよさそうです。

様々な現場があるため、ノウハウもわからないまま始めるより、ある程度経験を積んでからのほうがスムーズに仕事に取り組めるでしょう。

人の終活に関わる仕事はこれから増えていく

これからさらに高齢化社会が進んでいくとされるなか、「生前整理」や「遺品整理に」まつわる仕事は増えていくと予想されます。

「生前整理士」と「遺品整理士」は、キャリアアップや転職を考えている人はもちろん、遺品整理に対して正しい知識を身につけておきたいという方にもおすすめの資格です。

 

人の生死に関わる仕事は、法律的な手続きや事務的な手続きをサポートするだけでなく、人の心を支えるということでもあります。

仕事を通して、誰かを支えたいと思っている人は、ぜひ資格取得を考えてみてください。

 

【参照サイト】

一般社団法人 生前整理普及協会 https://seizenseiri.net/

一般社団法人 遺品整理士認定協会 https://www.is-mind.org/about.html

 

文/佐藤仁美

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