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マミートラックに乗るのは悪い決断なのか?

仕事

2018.07.23

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「マミートラック」というコトバを聞いたことがありますか?メディアなどでもよく登場するようになってきたのでなんとなく知っている人も多いと思いますが、特に正社員で働くワーママにとっては、今後の人生がかかっていると言っても過言ではない「マミートラック」問題。

今回は、乗りたい人・乗りたくない人、それぞれの立場から見た「マミートラック」の実態と、今、私たちにできることを考えてみました。

 

マミートラックとは


初めて「マミートラック」という単語が生まれたのは、1988年のアメリカでのこと。当時、アメリカでは働くママが増えたにもかかわらず、企業の労働環境整備が追いついておらず、残業などで育児に支障が出たり、急な休みで周囲の社員の負担が増えたりといった問題が急増しました。

 

そのため、女性のキャリア支援NPO代表のフェリス・シュワルツ氏が、女性の働き方を「キャリア優先」と「キャリア+家族」に分け、後者を望む女性には、育児休業・ワークシェアリング等の制度を用意することを企業に提案。これをメディアが「マミートラック」と呼ぶようになりました。

 

このすみ分けにより、仕事と育児の両立が図りやすくなったり、働き方の多様化につながったりと良い面がある一方で、女性だけがキャリアを犠牲にして育児をしなければならないという社会的役割の固定化や、「いつ休むか分からない」「残業させられない」という理由で、能力があるにも関わらず補助的な仕事やわずかな仕事しか割り振られず、結果的に昇進が望めなくなったり、やりがいをなくして退職するなどの悪影響も表れてきました。

 

「マミー」はもちろん「母」を意味しますが、「トラック」は荷物を運ぶ車ではなく、陸上競技で走る周回コースのことを指しています。

 

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上記のような、新しい業務や責任ある業務を担当することなく、陸上競技で何周も何周も同じコースを回り続けるような働き方を「マミートラック」と呼ぶのに対し、昇進を前提とした従来の働き方を「ファスト(速い)トラック」と呼びます。

 

車を連想してしまうことから「乗る」「乗らない」という言い方が一般化していますが、実際は「走る」に近いイメージなのですね。

 

女性の中でも、この「マミートラック」に対する考え方は人それぞれ。次に、マミートラックを望む女性、望まない女性が、出産前にはどのように思っていたのか、また実際はどうだったのかをインタビューしていきます。

 

乗りたくないのにマミートラックに乗せられたママ


Rさん(34歳・1歳9か月の男の子のママ)は、留学経験を生かし、中堅の商社で海外貿易部門のプロジェクトに携わっていました。

 

第一子の出産後、1年の産休を取得し、まずは時短勤務で職場復帰。徐々に元のフルタイムに戻ろうと考えていましたが、自分のポストには2年後輩の男性がすでに着任しており、担当したのは、文書のファイリングや備品管理、フルタイム社員の補助作業など、Rさんの経験と能力があれば2~3時間もかからないものばかりでした。

 

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たしかに、復帰当初は、保育園に通い出したばかりの子どもが熱を出して急きょ早退したり、翌日も休んだりすることが続いたため、助かると実感する面もありました。

 

しかし、日常的に手持ち無沙汰が続き、「何か手伝うことはありますか?」と、以前の後輩にたずねて回る日が半年以上続くうち、しだいに職場に行くのがゆううつになってきたそうです。

 

「夫は、急な休みなどに配慮してもらえてお給料ももらえるのだから十分じゃないかと言うのですが、仕事をする気も能力もそれなりにあるのに、いつまでもこの状態でいることの辛さはなかなか分かってもらえません」と嘆くRさん。

 

さらに、女性からも「自分は子どもに寂しい思いをさせてフルタイムで働いてきた。子ども優先にしたいなら、仕事も充実したいなんてワガママ」という無言の圧力を感じることもあるそうです。

 

「このまま耐えていれば、また子どもが成長したら元のように働けるのか…と自信を失っています」と悩んでいます。

 

積極的にマミートラックに乗りたいママ


Yさん(29歳・6か月の男の子のママ)は、産休が終わったら、積極的に「マミートラック」に入りたいと考えています。

 

Yさんには持病があり、夫も帰りが遅いため、出産後ワンオペで家事育児をしながらの残業を含めた長時間勤務は難しいと感じていました。

 

会社にはすでに何人か、昇進しないことを前提に、残業なし・転勤なしの勤務体系についている女性がいたので、Yさんは産休に入る前に話を聞きに行きました。

 

「周囲の理解があるので、皆さん居心地の悪さや疎外感は感じていないとのことでした。私はもともと事務職のため、仕事内容にやりがいがなくなるという事は少なく、おもに収入面だけがデメリットでしたね」

 

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Yさんは、子ども時代、自分のお母さんが何度も保育園や学童保育へ迎えに来てくれたり、職場へ電話をかけたり、持ち帰った仕事を深夜までやっている姿をよく覚えていました。

 

「無理をしてフルタイム勤務を選び、体調を崩してしまっては、結局、職場にも家族にも迷惑をかけてしまうと思ったんです」

 

今はマミートラックに乗ることに迷いのないYさんですが、時間に余裕ができる分、資格の取得も考えているといいます。

 

「この資格があるだけで月々手当もつきますし、将来的にも働ける職種が広がるんですよ」とのことでした。

 

 マミートラックに乗るのを拒否したママ


Hさん(36歳・4歳と3歳の女の子のママ)は、一人目の産休中に二人目を出産、1年3か月休んだ後、子ども二人が同時に保育園に入園。そのままフルタイムで復帰しました。

 

延長保育や病児保育の充実した保育園を選ぶことで残業もこなし、1年後にはみごと中間管理職に昇進。大きな案件を動かしたり、部下を育てたり、日々やりがいを感じているそうです。

 

ただ、出費は相当なものだったと言います。

 

「保育園代は、0歳児と1歳児のいた1年目で150万円超えでした。私も夫も迎えに行けない時は、民間のサポートを頼んだりで数万円が出ていく時もありました。子どもたちが小学校に入るまでは、収支はほぼ赤字ですね」

 

しかし、仕事のやりがいは大きなものがあり、給与額も同期の男性と同等なため、いずれは収入も上がることを見込んで頑張っているとのこと。

 

「実家が近所でサポートが受けられる人などを見ていると正直うらやましいですし、子どもたちにも寂しい思いをさせている面はあると思います。でも、これが私の決めた道なので、このまま進みます!」

 

マミートラックに乗らないと決めたら、それ相当の覚悟もまた必要なようです。

 

まとめ


少子化への懸念と、人口減で働き手不足が同時に叫ばれる今日、もはや「思い切り働きたければ子どもを産まなければいい」「出産育児をしたい女性・せざるを得ない女性には、重要な仕事はさせられないから外そう」「いい仕事してくれていた女性がやめてしまったけど、自己責任だから仕方ないね」などと言っていては、日本社会の未来も、企業の未来も真っ暗ではないでしょうか?

 

個人や会社だけの問題ではなく、社会全体が協力して、男女ともに安心して育児と仕事ができる方向を目指していくのが理想ですが、まだしばらくは時間がかかるかもしれません。

 

働くママとして、それぞれが望む働き方をしっかり自覚し、できる限りの準備だけはしておく必要がありそうです。

 

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文/高谷みえこ

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