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【FPの提案】「老後2000万円」にテンパらない〝老後資金を長生き〟させる考え方

マネー

2019.06.26

「高齢社会における資産形成・管理」という金融庁の報告書に端を発した、いわゆる「老後2000万円問題」が連日メディアで大きく取り上げられ、大きな社会問題になっています。

もうすぐ定年を迎える50代後半のみならず、3040代の「働き盛り世代」にも、老後の不安が広がったのではないでしょうか。

今回はこの「老後2000万円問題」をどう捉え、どう向き合えばいいのか、FPの視点で考えてみたいと思います。

iStock.com/adrian825

「経済は回復した」はず…なのに老後の暮らしは厳しいという現実

 世間をざわつかせている、いわゆる「老後2000万円問題」ですが、実は、総務庁統計局による「家計調査年報」などの資料では、定年退職後は「年金だけでは毎月赤字になる」という現状が、10年以上前から指摘されていました。

安倍政権以降、アベノミクスで経済が回復したといわれているにもかかわらず、老後の暮らしはやはり厳しいという現実が、皮肉なことに今回の「金融庁の報告書」で明らかになったというわけです。 

このような現実を突きつけられると確かに不安になりますが、FPとしては「まずは冷静になること」、そして家計状況と老後の暮らし方をイメージして「わが家に合った対策を考えること」が重要だと、お伝えしたいと思います。

本当に「老後には2000万円」が必要なのか?

 

iStock.com/Milatas

特に「2000万円必要」は、数字のインパクトだけが独り歩きしている印象です。というのも、老後のために必要な資金は「暮らし方」で大きく変わってくるからです。

例えばですが「老後資金2000万円」があったとしても、退職後の海外旅行で100万円、家のリフォームで500万円、子どもの結婚資金を200万円援助、毎月の赤字が月10万円(年間120万円)という暮らしをしていくと、わずか10年でなくなってしまいます。

いっぽう「老後資金1000万円」でも、年金の範囲内に支出を抑える生活ができれば、虎の子の1000万円を〝長生き〟させることもできるのです。

では、肝心の年金はいくらくらいもらえるのでしょうか。厚生労働省によると、2017年度の夫婦二人の平均年金受給額は、月額約22万円。ただし、この額のモデルは「会社員の夫と専業主婦の妻」です。

共働き夫婦の場合は、働いた年数や報酬にもよりますが、月額2530万円ほどは期待できることになります。年金生活ではボーナスに当たる収入がないので、毎月の支出をこの収入の範囲内に抑えられるかどうかがカギになるといえます。 

一般的な共働き世帯において、いまの家計状況からは「月額2530万円での暮らし」を想像するのは簡単ではないかもしれません。

でも、いまのうちから「毎月の支出を収入内に収める」家計を作り、定年まであと35年になった頃から「暮らしのダウンサイジング」に取り組んでいけば、年金の範囲内で生活するめども立ってきます。

ちなみに、2017年度「家計調査年報」によると、年金夫婦の毎月の支出平均は「約26.6万」円とのことです。

 

老後資金は赤字補填用ではなく「まとまった支出用」と考えて

 

iStock.com/Hana-Photo

こうして毎月の家計を整える一方で、旅行資金、リフォーム資金、子どもの援助資金、医療費、介護費用など、老後特有の「まとまった支出」に備える「老後資金」を準備しましょう。「老後資金」は貯めた貯金のほか、退職金と住宅ローンなどの借金の額で大きく変わってきます。

退職金については、共働きでふたりとも出れば安心ですが、最近では退職金がない会社、退職金はすべて「企業型確定拠出年金」という会社も増えています。退職金は必ずもらえるものではない、退職金の額は自分の運用しだい、という時代になっているのです。

同じ会社でも差が出ることがあるので、「一般的に」と考えるのではなく、あくまで自分の場合はどうなのかを知っておきましょう。 

また住宅ローンは近年「3035年の長期ローン」を組む人が増えており、完済のために退職金を使ってしまったり、定年後も支払いが残る場合もあります。老後資金の確保という視点で見ると、できれば定年前に完済しておきたいところです。

「定年までの貯金」+「退職金」−「住宅ローンなどの借金」=老後資金

となるわけですが、「働き盛り世代」にとっては、貯金は子どもの教育費やマイホーム資金などに優先的に使うため、老後のための貯金まではなかなか手が回らないという現状もあります。ですが結論として「老後資金は専用の口座を作り、教育費やマイホーム資金とは区別して貯める」のがおすすめです。

その際には「つみたてNISA」や「iDeCo」などの税制優遇のある制度を使って長期的に積み立てていくと、比較的小さなリスクで定期預金より有利に増やすことができます。

 

iStock.com/eternalcreative

 

このほかにも老後資金を〝長生きさせる〟方法として…

①できるだけ長く働いて収入を増やす
②年金を繰り下げ受給する
③老後資金の一部を60歳以降も長期で運用し、80代以上に備える

など、できることはたくさんあります。

いたずらに不安がるばかりでなく、いまのうちから「できること」を考え、実行することで、「老後は不安ばかりではない」と、気づいていただければと思います。

 

ライター:小中島 浩昭
出版社の編集者を経て、フリーのマネーライターに。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。手間をかけずにお金を貯める方法を模索中。妻、高3、高2の年子の4人家族。

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