世間のイメージほど、手取り収入は高くない

また、年収1,000万円と聞くと、生活に余裕があるように思えますが、日本では所得が多いほど税率が上がる「累進課税制度」を採用しているので、収入が高くなればなるほど、税金の負担は重くなります。

 

ですから年収1,000万円と言っても、手取りに直すと700万円前後になります。ちなみに、年収800万円の場合は手取りに直すと600万円程度。年収ベースだと200万円も違いがあるのに、手取りだと100万円程度の違いになるわけです。いかに税金の影響が大きいかがわかりますね。

 

また、ファミリー世帯の場合は年収が高いと、「児童手当」などの各種手当も所得制限に引っかかります。「配偶者手当」の額も半減したり、もらえなくなるケースもあり、その点を考慮すると、世間のイメージほど手取り収入は多くないのが実情です。

 

ちなみに、2018年度の税制改正で年収850万円以上の人は増税になることが決まり、2020年1月より実施されています。会社員の場合は、所得税も住民税も給与天引で源泉徴収されているので、納税額を意識していない人も多いかもしれません。

 

毎月の増税額は数千円程度でも、チリも積もればまとまった金額になります。高収入の人ほど、ついあれもこれもと望んでしまいがちですが、上記でお話したように、これからは給与が伸びにくい時代です。

 

一方で、税金や社会保険料などの支出も多くなる傾向にあります。高収入とはいえ、お金の使いどころと貯めどころを考え、メリハリをつけたマネープランを考えることが大切なのです。

 

文/高山一恵