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命に関わる頭痛、そうでない頭痛。その差は何だと思いますか?

女性の健康

2021.05.15

頭が痛いくらいで病院に行くなんてと思っていませんか?適切な診断・治療でラクになるところを、我慢して何年も過ごしている人も多いそう。どんな状況ならば受診をするべきか、頭痛専門医の五十嵐久佳先生にうかがいました。

市販薬を10日以上飲む人は要注意

どのような状況なら病院に行くといい?それを知るためには、まず頭痛の種類を知っておきましょう。頭痛には、命にかかわるわけではないけれど慢性的に繰り返す「一次性頭痛」と、病気の症状として現れる「二次性頭痛」があります。

 

「二次性頭痛には、突然、今まで経験したことのない激しい頭痛に襲われる、日増しに痛みがひどくなる、手足の麻痺を伴うなどの特徴があります。くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍といった命にかかわる病気の可能性もあるので、早急に受診しましょう」

 

明らかに異常とわかる二次性頭痛の一方で、受診すべきかの判断が難しいのが一次性頭痛。命にかかわる病気ではありませんが、片頭痛や緊張型頭痛といった女性が日常的に悩まされる頭痛はこちらに含まれます。

取材に応じる五十嵐先生

「月に数回程度の頭痛で、市販の鎮痛剤を飲んで2時間後にはスッキリする程度ならば受診の必要はありません。頭痛のたびに寝込んだり、仕事や家事などの日常生活に支障をきたすような状況なら、ぜひ受診してください」

 

また、市販薬を月10日以上飲んでいる場合も要注意だそうです。

 

「習慣的な薬の飲み過ぎで脳が痛みを感じやすくなり、かえって頭痛をひどくする可能性もあるので、治療をおすすめします。また、市販の鎮痛剤の効果が少ない人も受診を検討してください」

 

頭痛で受診する際は、脳神経内科か脳神経外科になります。なかでも一次性頭痛で受診する際は、脳神経内科、または開業している脳神経外科を受診するのが一般的、と五十嵐先生は言います。

 

「病院によっては、頭痛に特化した『頭痛外来』が設けられているところもあります。また、日本頭痛学会のホームページでは、認定頭痛専門医の一覧も公開しています。通えそうなところがあるか探してみてください」

片頭痛を予防する新しいクスリが今年4月に登場

病院ではどのような治療を行うのでしょうか。一次性頭痛には残念ながら完治させる治療法はなく、診察をした上で、頭痛の予防や和らげる薬を処方するのがメイン。生活習慣やセルフケアの指導も行います。

 

「患者さんの症状やライフスタイルにあわせて処方します。例えば、片頭痛に処方することの多いトリプタン製剤は、痛みの原因に直接働きかけるので、鎮痛剤が効かない人にも効果が期待できます」

 

頭痛が多い人には予防薬で回数を減らす方法も。吐き気を伴う頭痛には吐き気止めを処方することもあります。

 

「さらに、今年4月には片頭痛の発作を予防する『抗CGRP抗体』と呼ばれる注射薬も発売されています。この薬は、片頭痛の時に放出されるCGRP(片頭痛の痛みの原因となる神経伝達物質)をブロックして、片頭痛自体を起こさないようにするものです。月1回、受診時に注射をしていきます。これまでの治療薬が効きにくい重症の患者さんにとって大きなメリットになるのではないかと期待しています」

 

頭痛で受診というと、CTMRIなどの検査をイメージする方も多いと思いますが、一次性頭痛ではすべての方に必要というわけではありません、と五十嵐先生は言います。

 

「そもそもCTは、突然の激しい頭痛や意識を失ったなど緊急性の高い頭痛のときの検査。脳出血やくも膜下出血などの有無を短時間で調べるもので、日常的な頭痛の異常を見つけるものではありません。MRIでは、未破裂の脳動脈瘤や無症候性脳梗塞などが見つかるケースもあります。片頭痛のなかでも閃輝暗点などの前兆を伴う方、頭痛の頻度が増えていたり、以前より痛みが強くなった方など、患者さんの状態を診察した上で検査するかを判断します。また、患者さんが脳に病気があるのではないかと心配なときには検査をおすすめすることもあります」

 

しかし、病院によっては、CTMRIでの検査結果で異常なしと診断されると、命の危険性はないと判断されて、治療を終えてしまう場合も。

 

「大きな病気に対する不安が消えただけで、頭痛の痛みそのものは解決していません。実は検査で異常がなかったところが、一次性頭痛の治療のスタートでもあります。ぜひ頭痛外来などで専門医に相談してみてください」 

「頭痛ダイアリー」で頭痛の傾向を見える化!

適切な治療を受けるには、医師にしっかりと頭痛の症状を伝えることが大切です。しかし、1か月前の痛みや様子を正確に思い出して伝えるのは難しいものです。

 

「そのためにぜひ活用してほしいのが『頭痛ダイアリー』です。頭痛のあった日付や痛みの程度、そのときの様子などをご本人に書いてもらうことで、診断に大いに役立ちます」 

   

出典:日本頭痛学会「頭痛ダイアリー」
監修:埼玉精神神経センター/埼玉国際頭痛センター長 坂井文彦

頭痛ダイアリーは、日本頭痛学会のホームページからダウンロードできます。

https://www.jhsnet.net/dr_medical_diary.html

 

数か月間を通して振り返ることで、例えば、自分は空腹時に痛くなる月経中は痛みが強くなるといった、自分自身の頭痛の傾向が見えるように。

 

「患者さん本人も普段の生活で頭痛が来るタイミングを知れば、予防や対策を立てやすくなります。病院を受診しない方も、頭痛と上手に付き合っていけるように、一度付けてみてはいかがでしょうか」

 

次回は日常的に起こる一次性頭痛のタイプについて紹介していきます。

※医師の取材監修をもとに記事を制作していますが、症状などには個人差があります。ご自身の体で不安な点があれば、最寄りの病院にご相談ください。 

5人に2人が頭痛に悩む

PROFILE 五十嵐久佳先生

1979年北里大学医学部卒業。北里大学客員教授。富士通クリニック、東京クリニックで頭痛外来を担当。日本頭痛学会認定指導医・専門医として、頭痛に悩む患者の話を丁寧に聞き、症状にあった治療、服薬指導を行う。監修に「頭痛女子バイブル」(世界文化社刊)など。

取材・構成/大浦綾子 イラスト/いしかわひろこ

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