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42歳で別居、離婚。「今なら人生をやり直せた」

ライフスタイル

2020.12.12

コロナ禍で、生き方や暮らし方を見直す人が増えています。突然起こる仕事の変化や、先行きが不透明な未来について、意識するようになった人もいるかもしれません。

 

前回記事「50歳 人生、後半戦『女も旅立つ季節』かもしれない」では、別居という形をとり、適度な夫婦の距離を保ちながらのひとり暮らしスタイルを取り上げました。

 

今回取材したのは、いま注目の『58歳から日々を大切に小さく暮らす』の著者であり、60代シニアブロガーのショコラさん。42歳で別居、離婚して以降、月12万円の予算で小さな暮らしを充実させてきました。普通の主婦だった彼女が、自立して自分らしく生活するまでの道のりと、生き方のヒントを伺います。 

 

60歳で始めたブログ。こんな未来が待っていたとは…

──本を出版されたのは1年前ですが、コロナ禍になって再び反響があるそうですね。その等身大の暮らしが、共感を呼んでいるようです。

 

ショコラさん:

私はいま64歳で、パートで働くただの一般人です。記録のつもりで始めたブログをきっかけに、年配者のシングルライフを特集したムック本に掲載していただいたのが始まりでした。

 

その本の中に登場するのは、お店のオーナーや料理家さんなど著名な方ばかり。私の肩書きは「パート」です。完成した本を見たときは、私だけちょっとみじめだわ、なんて思いました(笑)。でも、別の出版社の方がその記事を目にとめてくださり、まさかの本を出版する運びに。特別な人ではない、身近な例のひとつとして共感してもらったのかもしれません。

 

──読者はやはり、同年代の方が多いのでしょうか?

 

ショコラさん:

私と同年代より、やや下の世代ですね。40代から50代、もうすぐ還暦を迎えるくらいの方も多いようです。著書の読者アンケートでは、特に40代の女性からの感想をたくさんいただきました。42歳で別居、離婚したことや、限られた収入でやりくりしていること、ひとりで買ったマンションのローンの返済の話などについて、「将来、こういうこともあるんだ」と感じてくださるようです。

 

離婚を経験していることもあり、シングル女性の人生のモデルケースの一例として、見られることが多いのかもしれませんね。

 

42歳で別居、離婚。「今なら人生をやり直せる」という思いで…

──別居を機にひとり暮らしを始めたと伺いました。ひとり暮らしをするまでの経緯を教えてください。

 

ショコラさん:

24歳で結婚して、25歳で長男、翌年に次男を出産。パートをしながら子育て中心の生活を送っていました。30代半ば頃から、夫との間にわだかまりができてきて…。40代に突入したあたりは「いまからでも、自分の人生やり直せるかなぁ…」とぼんやり思うようになりました。

 

その後、訳あって夫との別れを決断しましたが、当時は義父と同居していたんです。なので、私が家を出るしか方法がありませんでした。息子2人は高校生。「どうする?」と聞いてみると、住み慣れている家に残りたいとのこと。私と家を出たら、貧乏暮らしになるのが見えていたんでしょうね(笑)。

 

そんな経緯で、生まれて初めてのひとり暮らしをすることに。結婚前は実家で暮らしていたので、友人が不動産屋さんに付き添ってくれ、見つけた1Kの小さな部屋を借りて住むことにしたんです。

 

ひとり暮らしの初日、最小限の荷物を持って、アパートに向かったときのことははっきり覚えています。それはもうすごい開放感で!あぁ私は、本当はこうしたかったんだ…と実感しましたね。

 

インテリアは慎ましい生活のなかでのささやかな楽しみ。気に入ったものを少しだけ飾る。

 

──当時、2人の息子さんはまだ高校生。まだ成人していないお子さんたちとの関係はどのような感じだったのでしょう?

 

ショコラさん:

実は、引越してからも毎日、仕事帰りは元の家に通っていたんです。夕飯のしたくと洗濯をして、子どもの翌日のお弁当を用意して冷蔵庫に入れて…。夫の帰宅は毎晩遅かったので、夕飯だけは息子たちと3人で食べると決めていました。そのまま23時頃まで一緒に過ごして、それからひとりでアパートに寝に帰るような生活でしたね。

 

子どもに朝ご飯を用意できず、「行ってらっしゃい」と見送ってあげられない後悔はありました。それでも、両親が離れて暮らす事情を理解してくれていたので、2人には感謝しています。

 

最初の頃はその二重生活が忙しくて、別居という形のまま、あまり他のことを考える余裕はありませんでした。身近に離婚した友人がおらず、家に戻る気はないけれど離婚することが怖かったのかもしれません。けれども、いつまでもこんな状況はよくないと思って。子どもたちが成人した後、正式に離婚しました。

 

窓際には、今も定期的に訪れる息子さんたちと寛ぐのにちょうどいい2人がけソファを。

 

──現在もお子さんたちと良好な関係が築けているのは、このときの思い出があるからかもしれませんね。別居から半年後、パートを辞めて別の会社の契約社員として働き始め、マンションを購入されたとか。

 

ショコラさん:

離婚後、ときどき息子たちが夕飯を食べに来たり、食べ物を買って来てくれたりするようになって。一緒に食事をするには当時のアパートは狭く、もう少し広い部屋を探しはじめたんです。でも、家を買うなんて、最初は考えてもみませんでした。

 

友人に相談すると、マンションの広告を見せられて「このままひとりでいるなら買った方がいい」と強く勧められました。はじめは貯金もないし無理だと断っていたのですが…。生活がだんだん落ち着いてくると、「一生このアパートに住み続けるのかな」「老後、部屋を貸してもらえないかも」。そんな将来への不安も感じるようになりました。

 

当時、ひとりでマンションを購入する女性はまだ少なかったと思います。ひとり暮らし向けの物件もあまりなく、エリア的にもファミリータイプが一般的。「こういうサイズは珍しいよ」と友人に説得されて、1LDK・42平米の部屋を購入することにしました。

 

35年ローンの月々の支払いが、ひと月のアパートの家賃とたいして変わらないことも決め手でした。いま思えば正社員のときに購入してよかったと思うのですが、ローン審査も無事に通って。貯金を全額崩すわけにはいかず、頭金100万円で購入。利息も高い時代だったので、必死に繰上げ返済して、その後10年で完済しました。

 

家具はコンパクトなものを最低限だけ。42平米とは思えない、広々とした空間。

 

──10年でローンを完済したのはすごいですね!購入された当時、どんな気持ちで過ごしていたか覚えていますか?

 

ショコラさん:

よく覚えてます。息子がトラックで手伝ってくれて。お金もなかったし近所なので引越し屋は頼まず、台車で運びました。すごく嬉しい反面、不安も入り混じった複雑な感情でした。

 

でも、42歳で家を出てアパートに引っ越したときの方が、将来への不安は強かった。絶対に仕事は辞められないという恐怖というか、これからはひとりで生きていかなきゃいけないというプレッシャーのようなものがあって。マンションを買ったときの方が、意外と心に落ち着きがありました。慎ましいながらも自分の力で稼ぎ、ひとりで暮らせていたことが、小さな自信に繋がっていたのかもしれません。

 

 

自分の住居を構えたことで始まった、ショコラさんのマンション暮らし。次回は、正社員からパートという働き方を選んだことや、節約をしながら月12万円で暮らす生活についてお聞きします。

 

 

Profile ショコラさん

パートで働きながら、節約&シンプルな生活を綴ったブログ「60代一人暮らし 大切にしたいこと」が好評で、人気ブロガーに。著書の『58歳から日々を大切に小さく暮らす』(すばる舎) は10万部を超えるベストセラーに。韓国語版も翻訳され、日本以外でも共感を呼んでいる。2021年1月には2冊目の著書を発売予定。

 

 

取材・文/大野麻里 撮影/松村隆史

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