2018.11.13
『家族のレシピ』舞台挨拶に登壇した斎藤工さん、エリック・クー監督
2019年3月9日より公開となる斎藤工主演『家族のレシピ』が、第31回東京国際映画祭にてワールド・フォーカス部門正式招待作品として11月1日に東京・TOHO六本木ヒルズにて上映されました。
上映後の舞台挨拶には主人公を演じた斎藤工さん、メガホンをとったエリック・クー監督が登壇し、「美味しい」お話をたっぷりと聞かせてくれました!
映画『家族のレシピ』舞台挨拶
ラーメンとバクテー(肉骨茶)の“美味しい”が家族をつなぐ
家族の絆を取り戻すため奔走する主人公を演じた斎藤さん
2016年の日本とシンガポールの外交関係樹立50周年をきかっけに製作された本作。日本のラーメン、シンガポールのバクテーという両国のソウルフードの「美味しい」がつなぐ家族愛が描かれています。
斎藤さん演じる主人公が、父親の死をきっかけに幼い時に亡くした母の地元・シンガポールに旅立ち、一度はバラバラになってしまった家族の絆を取り戻すために奔走するという物語です。
主人公に現地の名物グルメを案内し、家族探しの手助けをするシンガポールのフードブロガー役で登場する松田聖子さんは、監督が10代の頃から大ファンだったそうです。
斎藤さん「撮影は魔法にかかったような時間」
監督の大ファンだから「通行人役でも出たかった」と話す斎藤さん
クー監督のアニメ『TATSUMI マンガに革命を起こした男』に魅了され、ずっと大ファンだったと話す斎藤さん。クー監督が日本人キャストを探しているという情報を耳にして「通行人でもいいから出演したい!」と思い、スカイプオーディションを受けて見事、主人公の青年役に抜擢されたそうです。日本の文化を丁寧に描き、その素晴らしさ、大切さを改めて気づかせてくれたという監督の作品に、主人公役で出演することになった斎藤さん。このうえないよろこびを感じている様子が、その笑顔から手に取るように伝わってきました。
監督の魔法にかかった気がしたと振り返る斎藤さん
「撮影中は、演じたという記憶や感覚が残っていません。クー監督の魔法にかかり、俳優として表現の真髄、新しい扉を開いてくれた気がします」と振り返る斎藤さん。続けて「フィルムメイカーとしての自分の未来も導いてくれた、壮大な出会いでした」と俳優そして監督としても影響を受けたことを明かしていました。
それぞれの家族のレシピは?
斎藤家の”味”は舌が麻痺する麻婆豆腐
イベント後半には、一足早く作品を鑑賞した来場者からの質問タイムが。タイトルの『家族のレシピ』にちなみ、斎藤さんそしてクー監督の家族のレシピについて質問が飛びます。斎藤さんは「いい質問ですね」とニッコリ。「レシピではないのですが…」と前置きし、「父が作る麻婆豆腐が激辛なんです。山椒が日に日に増えていくというか…。麻酔銃に撃たれたくらい舌が麻痺したこともあります」と辛党一家のエピソードを披露。噛む感覚がなくなり、痺れすら感じないほどの辛い麻婆豆腐だったことを明かし、会場の笑いを誘います。
監督の手作りチキンスープに大感動!
日本食もシンガポールの食事も愛していることから、今回の作品のテーマを“食”にしたというクー監督。家族のレシピは映画のラストシーンにも登場する、母親の作ったチキンカレーだそうです。実は、このチキンカレーを監督のご自宅に招待されて、監督のご家族と一緒に食べたという斎藤さん。さらに、撮影最終日にはクー監督自らチキンスープを作って振舞ってくれたとのこと。
「美味しいのはもちろんだけど、撮影で忙しい中、こんなに手の込んだものを作ってくれたんだ…と想像するだけでグッときて涙が出てきました」と振り返った斎藤さん。心温まるエピソードは作品の外でもたくさんあったようです。イベント中も、会場にいるスタッフをねぎらう姿が度々見られ、クー監督の人柄がにじみ出ていました。
映画『家族のレシピ』は2019年3月9日よりシネマート新宿ほかにて全国順次ロードショー。公開日が近づいてきたら、“美味しい”作品紹介もお届けします! 乞うご期待。
[作品情報]
『家族のレシピ』
◉出演:斎藤工、マーク・リー、ジネット・アウ、伊原剛志、別所哲也、ビートリス・チャン、松田聖子
◉監督:エリック・クー
◉料理監修:竹田敬介
◉スチール:レスリー・キー
◉公式サイト:ramenteh.com
◉©Zhao Wei Films/Wild Orange Artists
取材・文/タナカシノブ