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パートナーに「助けて」が伝わらない…産後危機から夫婦関係を再構築するまで

コミュニケーション

2020.12.04

11月オピニオン特集の「『もういいよ』のひと言からの『夫婦会議』…産後うつと離婚の危機に直面した夫婦が見つけた新しい答え」で、産後の夫婦の危機について語ってくださったLogista株式会社の長廣百合子さんと遥さん。

 

いまや『夫婦会議』を通じて、結婚・妊娠・産後・育児期にかけての“夫婦のパートナーシップづくり”を応援する日々ですが、ここに至るまでにはお二人自身、信頼関係が揺らぐほどのコミュニケーションのズレや見て見ぬ振りをしてきた自分の本当の気持ちとの葛藤がありました。お互いの心の奥底にある本音との向き合い方について、お話をうかがいました。

 

産後の苦しい気持ちが夫に全く伝わっていなかった

──お二人が開発された『夫婦会議』が話題を呼んでいますね。対話ができる夫婦関係を育んでいくという考え方がとてもわかりやすいです。

 

百合子さん:

ありがとうございます。『夫婦会議』は私たち自身が「対話」を通じて産後の様々な危機を乗り越えてきた経験をもとに、同じように葛藤するご夫婦の力になりたい一心でで体系化し、創り上げてきました。

 

遥さん: 

「対話」は、価値観の違いを尊重し、互いに納得のいく結論を導き出していくコミュニケーションのことです。たわいもないお喋りによる「会話」や、お互いの意見を出し合う「議論」も大切ですが、『夫婦会議』では、“わたしたちとしての答え”に向けて納得できるまで話し合う「対話」を重視しています。でも当時の僕たち夫婦には、この「対話」が不足していたんです。

 

──どういう状況だったのでしょうか。

 

百合子さん:

たとえば「今日はできるだけ早く帰ってきてほしい」とか「少しでも寝られるように夜泣き対応を協力してほしい」といった、日々の細々とした相談はできていたんです。でも、その言葉の奥にある「一日中電気をつける気力もなく、暗い部屋で過ごしていた」とか「実はご飯をまったく食べていない」とか「虐待のニュースを見て『自分も加害者になってしまうかもしれない』と涙が止まらなかった」とか…一番しんどいと感じている具体的なことまで切り出せていなかった。

 

特に産後23か月頃などは産後うつの症状が出ていて「言うのもキツイ」状況で…。物理的に言葉数が減っていたのもありますが、夫に心配をかけてはいけないというバイアスもかかっていたんですよね。

 

遥さん:

妻はいつも子どもの写真を携帯に送ってくれていました。僕はそれを見て、素直に「楽しんでいるんだな」と安心して仕事をしていたんですよね。でも振り返ってみると、出社前や帰宅後に妻からはいろいろと悩みや相談を持ちかけられていて…。仕事でいっぱいいっぱいで、妻のリアルな日常を想像する余裕もなく、その場しのぎの対応をするばかり。妻の発するSOSにちゃんと向き合えていませんでした。

 

百合子さん:

毎日のように悩みや相談を持ちかけているのに、一時的な対応で終わってしまう。心のどこかに、ここから先は「察してほしい」「気づいてほしい」という気持ちもあり、根本的に働き方や暮らし方を見直すような「対話」に発展しませんでした。「助けて」という産後の辛さが夫に全く伝わらず、苦しんでいた記憶がまざまざと蘇ります。

 

何も変わらない夫に繰り返した問い 

──そんな状況が変わるきっかけは何だったのでしょうか。

 

百合子さん:

互いの仕事を尊重し合いながら「一家団らん」という家庭像を実現していくことが、結婚当初からの私たち夫婦のビジョンだったんです。でも、産後10か月が経っても家事・育児を中心となって担っているのは妻の私で、満足に仕事復帰に向けた準備も進められない。夫は私の思いに気づかないし働き方も変わらない…どうしてなのかと考えたときに、ただ漫然と問いかけるだけではダメなんだとハッとしたんです。

 

「一家だんらん」というビジョン…新しい夫婦の協力体制づくりに向けた“本質的な問い”を重ねて話し合う必要があるんだな、と。

 

だから、「あなた自身が最も一家団らんを望んでいたはずなのに、子どもが生まれた後も仕事中心の生活を変えないのはなぜなの?」という問いにはじまり、「今の働き方で一家団らんは実現する?」「そもそも家事・育児は誰の仕事?」と、それはもうしつこく(笑)問いを重ねていきました。

 

 

遥さん:

一家団らんを実現するためには、自分の働き方を見直す必要があると薄々感じていながら、当たり障りのない返事で逃げてばかりで、きちんと向き合うのには時間がかかりました。妻の仕事復帰に向けた家事・育児の協力体制づくりについても主体的に捉えてなかったんだと思います。自分事と認識していれば、僕から妻に対する問いも生まれるはずなのに、当時僕の主体性は“外で働いて稼ぐこと”にしかなかったから…。

 

──それでも百合子さんは問うことを諦めなかったんですね?

 

百合子さん:

何度も諦めそうになりましたよ(笑)。でも「あなた自身は、本当はどうしたいの?」と問い続けました。夫の答えは心の底から出た言葉なのか。勤め先の体制や抱えている仕事の状況など「働き方を変えられない事情」がその都度出てきましたが、どれも本心が語られてないと感じていたんです。夫は複雑な暗号のカギを付けた鎧を着ているように見えて。本当に大切なことを大切にできずに苦しんでいるようにも感じられました。

 

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