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モラハラ・DV・カサンドラ…被害者意識に振り回される夫婦たちに必要な「線引き」

コミュニケーション

2020.11.23

2020.11.24

「いい夫婦ってなんだろう」をテーマに、さまざまな角度から夫婦のあり方を切り取る今回のオピニオン特集。

 

一緒にいればいるほど「あたりまえ」が増えていき、多少嫌なことがあってもやり過ごしてしまいがちなのが、「夫婦」という関係性。その陰で、「モラハラ」「DV」といった深刻なケースも増えていると言われています。自身の加害体験から、夫婦問題の当事者支援に取り組むカウンセラーの中村カズノリさんに、夫婦問題の現状や打開策についてインタビューしました。

 

「モラハラ」「DV」他人事ではない夫婦の問題

——近年「モラハラ」や「DV」という言葉がよく聞かれるようになってきましたが、実際増えているのでしょうか。

 

中村さん:

絶対数が増えたというよりも、これまで影に隠れていたものが表に出てくるようになった印象があります。芸能人のニュースでもよく見かけるようになりましたよね。DVで捕まったとか、モラハラが原因で離婚したとか。

 

現在、ぼくのところに来るご相談の半分程度は、DVや家庭不和に関するものです。加害側からも被害側からもご相談があります。一般的にDVというと男性が加害者、女性が被害者というイメージがあるかもしれませんが、男性が被害者、女性が加害者という場合も多いです。あとは、双方が「自分こそが被害者だ」と主張する場合も。

 

もちろん、明らかな暴力行為のご相談もありますが、「一緒にいることが息苦しい」といった内容で来られる場合もあります。家で安心して過ごせないとか、外出していたパートナーが帰ってきたドアの音でびくっとしてしまうとか。一見ささいなことに見えますが、家庭が安心できない状態である、というのは辛いことですよね。

 

——中村さんご自身も、かつてDVやモラハラの加害体験をされたと伺いましたが、実際にはどのようなものだったのでしょうか。その背景についても教えてください。

 

中村さん:

ぼくの場合は、結婚生活に対して「こうあるべき」という価値観をいっぱい持っていて、それを前の妻に押しつけていたんですよね。相手は当然別の価値観をもっているので、自分の価値観を押し通すために大声で萎縮させたり、理詰めで責めたり。そうやって、相手の言うことを頭から否定していたんです。

 

DVもモラハラも、根底にあるのは自分の価値観を相手に押しつけようとするパワーコントロールです。そのパワーの使い方が物理的な暴力である場合が「DV」、論理や言葉である場合が「モラハラ」だと言えます。

 

「家族は一緒に生活するチームだと考えるようになった」と語る現在の中村さん。

 

中村さん:

「モラハラ」が単なる口げんかと異なるのは、「社会規範」とか「常識」を武器にしているところです。モラハラする人は自分の意見を言いません。「こうしてほしいんだ」ではなく、「こうするのが常識でしょう?」「これをしないなんて普通じゃない」という責め方をしてしまう。被害を受けた人が「おかしいのはわたしのほうなんだ」と思い込んで自己肯定感を下げてしまうことがよくあります。

 

さらに、被害を周囲の人に訴えても、信じてもらえない場合も多いんですよね。それは相当に辛いことです。そこから心身の不調をきたす人もいて、「カサンドラ症候群」として認知されるようにもなってきました。

 

──私も調べてみたんですが、加害者側に発達障害的な特性があるケースを指す、と書いてあるものもありました。そこまで限定しないほうがいいのでしょうか。

 

中村さん:

そうですね、本来の意味ではアスペルガー症候群のパートナーとの関係性に悩む人のことですが、いろんな人がいますから。普通に健康な人でもコミュニケーションの癖でしんどい思いをしたりさせたりすることはあります。こういった名前づけは「これはDV」「これはモラハラ」と同様、あくまで参考程度にとらえたほうがいい。「根っこは何か」ということにフォーカスしたほうがわかりやすいと思うんです。カサンドラ症候群の根っこにある問題は、家庭内で外からは見えない状態で受けた暴力などの被害を、誰にもわかってもらえずに孤立してしまったことなんですよね。

 

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