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「延命治療する?」親が元気なうちに聞くべき介護の希望

コミュニケーション

2021.09.19

知らないうちに親が弱っていた

コロナの影響によって、実家に住む親と長く会えていない人が増えています。30代、40代にとって、親はまだまだ元気なので、会えなくてもそれほど心配することはないかもしれません。

 

でも、その状態に甘んじて連絡を怠っていると、ある日突然、介護が必要な状態になって慌ててしまうことも…。

 

「親と会えないこと」が当たり前になっている今だからこそ、コミュニケーションはこれまで以上に大事です。親が元気なうちに、私たちはどんなことをしておけばいいのでしょうか。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんに聞きました。

知らないうちに親が弱っていた

コロナ禍であるかどうかにかかわらず、実家に帰るのは一年のうちお盆と年末年始の数日間のみだった、という人にとっては、親の心身の微妙な変化を知ることは難しいでしょう。

 

親というのは、子どもに余計な心配をかけまいと気をつかうもの。「便りがないのは良い便り」といいますが、これは年老いた親には通用しない言葉です。

 

実際、親が大病を患い入院、手術していたことを、お正月に帰省して初めて知ったという話は珍しくありません。

 

また、父親の入院をきっかけに介護が始まってから初めて、母親に「実は(父親が)3年ほど前から夜にオムツを使用していた」と聞かされて、びっくりしたという話もあります。子どもの前ではオムツをしている事実を隠していたのです。

 

入院するころには父親の認知症も進んでいて、離れて住むお子さんは、「オムツをつけ始めた時点で相談してくれていれば、ここまで認知症が進まなかったのでは…」と話されていました。

異変に気づくきっかけはコミュニケーション

親子が別居している場合、親が元気な間は、こまめに連絡をとらないという人もいます。

 

子どもは、「何かあれば、親から連絡をしてくるはず」と思っているのです。でも、実際は違います。

 

先にも紹介したように、父親と母親の二人暮らしの場合、どちらか一方の具合が悪くなっても、もう片方の親が元気であれば、子どもには連絡しないことが多いのです。

 

日頃から親子間で用事がなくても連絡しあうような関係ができていれば、子どもは異変に気づけるかもしれません。

 

異変に気づければ、直接訪ねて様子を見たり、専門家に相談するように後押ししたりすることもできます。

 

介護は、症状が進んでからでないと専門家に相談したり、介護認定を申請したりすることができないと思われがちです。でも、何か異変があるだけでも、自治体の地域包括支援センターなどに相談していいのです。むしろ早めに相談することで、症状が進む前に対処できるかもしれません。

親が子どもに連絡してこない理由

30代、40代は仕事や子育てに忙しい世代ですから、親から連絡が来ると、つい「忙しいオーラ」を出して、電話をすぐに切ってしまったり、メールの返事をそっけなくしてしまう人もいるかもしれません。子どもが忙しそうにしていると、親は何かあっても遠慮して、連絡しづらくなってしまいます。

 

ぜひ「気軽に連絡してくれていいんだよ」オーラを出してほしいものです。そうすれば、何かあったときに親から連絡しやすいでしょう。親との何げない会話を無視せず向き合っておけば、結果としてその後直面する介護も楽になるのです。

親の人生を満足なものにするために

親が元気なうちだからこそ、聞けることがあります。それは、介護が必要になった場合の親の希望です。

 

元気な親に介護のことを聞くなんて縁起でもない、とためらう声も聞きますが、親の具合が悪くなってからでは、余計に聞きづらくなってしまいます。

親に聞いておきたい介護の希望

  • 身体の自由がきかなくなったら、どこでどのように暮らしたいか。住み慣れた家なのか、子どものそばに引っ越すのか、施設に入居する意思はあるのか
  • 施設に入居する場合は、実家の近くがいいか、子どもの近くがいいか
  • 介護は誰から受けたいか
  • 最期の治療方法

親を看取った人に、「親に聞いておけばよかったこと」を聞くと、多くの人が最期の治療方法、つまり、延命措置をしたいかどうかだったと言います。

 

いざそのときが来て、親の意思がわからないと、判断は子どもにゆだねられます。これは非常に苦しい選択でもあり、きょうだいがいる場合は、きょうだい間で意見が割れる場合もあります。

 

元気な親に最期の治療方法など聞きづらいという人は、自分自身に何か起きたときに延命措置を望むかどうかを伝え、その上で「お父さん(お母さん)はどうしたい?」と聞いてみるのがいいでしょう。

 

一緒に「エンディングノート」を記入したという親子もいます。

 

親が70代以上の場合、とくに母親がエンディングノートを持っていることが多いようです。保険会社など企業から無料配布されることもあります。ところがほとんどの場合、中身を何も書いていないといいます。

 

帰省したときにもしノートを見つけたら、「書いた方がいいよ。一緒に書こうか?」とすすめてみましょう。

 

直接親の意思を聞きづらい人でも、ノートを介せば聞けるかもしれません。全部記入する必要はないので、親の意思を知りたい部分や、大事な部分だけでも書けるといいですね。

 

PROFILE
太田差惠子(おおた・さえこ)さん

太田差惠子さん

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。「遠距離介護」「高齢者住宅」「仕事と介護の両立」などの情報を発信。AFP(日本FP協会認定)の資格も持ち、「介護とお金」にも詳しい。一方、1996年遠距離介護の情報交換の場、NPO法人パオッコを立ち上げ、2005年法人化した。現理事長。主な著書に「親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと」(翔泳社)、「親の介護で自滅しない選択」(日本経済新聞出版社)「親の介護には親のお金を使おう!」(集英社)など多数。

取材・文/樋口由夏 イラスト/福田玲子

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