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「健康以下、介護未満」の親とどう関わる?経験者の結論は…

コミュニケーション

2020.11.13

着実に老いていく親とどう向き合い、いざという時に慌てないためにどんな準備をしておけばいいのでしょうか。前回記事「後悔しないための“老いる親のトリセツ”『30代で意識するべき』」に続き、人気ブロガーのカータンさんにお話を伺いました。

 

ひとりで介護の苦労を抱えないための工夫とは

——「介護はひとりで抱えないことが大事」と、よく言われますが、カータンさんが介護の体制を整えたのは、いつ頃だったのでしょうか?

 

カータンさん:

まず、母が情緒不安定になって攻撃的になった時期に、父の介護から解放する時間が必要だと考えました。そこで、父をデイサービスに通わせようと介護認定を受けることにしたんです。その結果、父が要介護3でいろいろなサービスを受けられるようになりました(その後、母も要介護1と認定)。ケアマネージャーさんやヘルパーさんが、「一人で抱え込まないで大丈夫ですよ、ご家族がニコニコと笑って会話できることが大事。大変な部分は私たちに任せて下さいね」と力強く言ってくださり、本当に救われましたし、有り難かったですね。

 

ですから、親に何かあった時は、できるだけ早く介護認定を受けて、プロの手を借りた方がいいです。ひとりで悩んで考えるのは何もいい結果を生みません。

 

——ご自身の経験を踏まえ、「健康以下、介護未満」の親を持つ人たちが、今から準備しておくべきことは何だと思われますか?

 

カータンさん:

お金の問題を含め、親の老後について、あらかじめ話をしておくことをおすすめします。うちは、昔からなんでもオープンに話してきた家庭だったけれど、それでも切羽詰まった段階でお金の話はしづらかったです。親もリアルに死が迫っていることを感じてしまい、感情的になってしまう。

 

親がまだ元気でみんなの気持ちに余裕があるうちに、「いざという時にどうしたいか」「延命治療は望むか」「お金の管理はどうなっているのか」「現在の資産はどれくらいあって、介護に使えるお金はどの程度か」「お墓はどうするか」など、老後にまつわる大事なことは聞いておいた方がいいと思いますね。

 

 

切り出しにくい金銭問題…さりげなく話題に出すコツ 

——確かに、急に親が倒れて意思疎通ができなくなるというケースもあり得ますよね。とはいえ、なかなかお金の話は切り出しにくいものです…。なにか良い方法はあるでしょうか?

 

カータンさん:

唐突にお金の話をするのではなく、時間をかけて段階を踏みながら話すことがポイントではないでしょうか。嘘も方便。「友達のお母さんが突然倒れてすごく大変だったらしいから、うちも聞いておこうと思って」と切り出したり、“老い”をテーマにした比較的ライトな映画や本などを一緒に見るのもアリだと思いますよ。親が元気なうちからオープンに話せる環境を作っておくことが大事です。

 

私自身、ある程度の年齢を過ぎたら、自分から「ママは将来老人ホームに入るつもりだから」と子どもに伝えようと思っているんです。

 

——そうなのですね。それはどうしてでしょう?

 

カータンさん:

例えば、どうしても親の面倒を見きれなくなって施設に入れなくてはいけなくなった時に、やっぱり子どもはすごく悩むと思うんです。みんなが幸せでいられるようにと一生懸命悩みぬいて決断をしても、やっぱりどこかで「親を見捨ててしまった」という罪悪感がつきまとったり、「もっとできることはなかったのかな」と後悔してしまったり。そういう思いをさせないためにも、自分の意思を明確しておこうと決めています。

 

——頑張り屋で真面目な人ほど、自分の介護を責めてしまう傾向がありますよね。

 

親が元気なうちに実家の片付けを少しずつ 

カータンさん:

あとは、実家の断捨離にも少しずつ取り組んでおいたほうがいいと思います。ゴチャゴチャしていると、いざという時に大事なモノも探せませんから…。うちの場合は、母が情緒不安になってゴミが散乱し始めたこともあり、姉と一緒に実家の断捨離をすることにしたのですが、ちょうど攻撃的な時期だったので抵抗されて大変でした。なんとかなだめて断捨離に着手したものの、ある時、大バトルが発生して…。

 

——大バトル!?いったい何が原因だったのですか?

 

カータンさん:

フルーツ搾り器なんですけどね(笑)。最初は、なんでそんなものに執着するのかわからなかったんです。母に「二度と来ないで!」と追い出され、腹が立つわ、やるせないわで姉と2人で泣きましたね。でも、なぜあんなに怒ったのかをよくよく考えてみたら、昔、フルーツ搾り器で家族のためにいつもグレープフルーツジュースを作ってくれていた母の姿を思い出しました。私たちにとっては、単なる不要品に見えても、きっと母には思い出がたくさんつまった宝物だったのかもしれません。

 

——なんだか切ないですね。でも、お母さまの気持ちもわかるような気がします。

 

カータンさん:

自分に置き換えてみると確かにそうですよね。ですから、親にとって抵抗感のないものから徐々に片づけていくのがいいと思います。うちもまだ終わったわけではなく、いまだに断捨離している最中です。

 

著書のなかで対談させていただいた松川春代さんという認定介護福祉士の方に教えていただいて、いいなと思ったのが、「親へのインタビュー」です。好きな食べ物や行きたい場所、好きな歌、好きなタレント、仲のいい友達、会いたい友達、やってみたいこと…。いろいろと親にインタビューをして書きとめておくというもの。それによって親のことを知ることもできますし、そうしたコミュニケーションがきっかけになって介護のことやお金のことも話しやすくなる気がします。

 

「今、親にインタビューするのが流行ってるらしいから、ちょっと私もお母さんのこと聞いていい?」くらいのノリでやってみるといいですよね。

 

——確かに、親のことって知っているようで意外と知らないものですよね。インタビューで「親の好きなモノリスト」を作っておけば、幸せな老後の環境づくりも手助けしやすくなりますね。

 

カータンさん:

それと、日ごろから親の変化を見ておくことも大切です。同じ話を何度も繰り返す、普段と違って異臭がする、急にお金の使い方が荒くなったり、ゴミが溜まりだしたりと、なにかしらの兆候があるものです。

 

親が発するSOSを見逃さず、早めに対処できれば、解決法もみつけやすくなります。親も自分も、お互いが幸せに生きられるように、元気なうちからできる準備をしておくことがカギになると思います。

 

 

「親の介護に対する心構えや準備に、早すぎるということはない」というカータンさんの言葉が印象的でした。親がまだ若く元気だとつい他人事と考えてしまいがちですが、いつ何があるかなんて誰にもわからないのです——。悔いなく親を見送るために、できることから始めてみましょう。

 

 

Profile カータンさん

1967年4月生まれ。元客室乗務員で現在は2007年よりスタートしたブログ『あたし・主婦の頭の中』が1日30万アクセスを誇る人気ブロガー。家族は夫と2人の娘。著書に『健康以下、介護未満 親のトリセツ』(KADOKAWA刊)ほか。
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取材・文/西尾英子 撮影/河内 彩
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