2019.10.04
自分が選ばれた存在であると思い込み、他人を見下したり排除しようとする考え方のことを「選民意識」と呼びます。この意識が高すぎると人間関係に悪影響が及びますが、こと「横並び」をよしとするママ友づきあいにおいては顕著です。自らの「選民意識」に苦しむママにお話を聞きました。
■怠慢な体型に意識の低さを感じる(歩さん/34歳/受付)
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若いときにモデルをやっていたので、いまでも体型には気をつけています。月に2回のエステ通いは欠かさないし、ストレッチや筋トレも継続しています。実は私、学生時代はとても太っていました。自分を変えたくて努力を重ね、ついにはモデルという職業まで手に入れたんです。
なのでどうしても怠慢な体型の人が許せないんです。生まれつきの体質もあるにはありますが、体型は自分次第でいくらでもコントロールできると思います。それなのにママ友たちは意識が低く、だらしない体型に言い訳をしている気がするんです。
「私は自分を甘やかしている人たちとは違う」という思いから、いつもまわりを見下していたんでしょうね。そんな選民意識のせいで、保育園でも住んでいる地域でもママ友ができず、すっかり孤立してしまいました。自分が悪いのはわかっているのですが。
■話を合わせるのはプライドが許さない(裕子さん/33歳/会社員)
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もともと貧乏な家庭で育った私は、子どものときから必死に勉強しました。その甲斐あって有名国立大学を卒業し、憧れの一流企業に就職することができたんです。結婚後は短い産休を経て復職し、いまでは責任あるポジションを任されています。
女性だからといって、職場で特別扱いされたくないし仕事にも妥協したくない。そういう人のために保育園はあるものだと思っていました。でも実際に保育園のママたちと話をすると、仕事への責任もやりがいも感じていないようで。
何度かママ友との集まりに出席したことがありましたが、苦痛でしかありませんでした。話の内容は幼稚だし、盛りあがるのは他人の愚痴や悪口ばかり。建設的な話なんて一切ありません。つきあう意味を感じなくなって疎遠にすると、今度は私の悪口を言い出す始末。
そんな感じだから、私にはママ友がひとりもいないんです。子どものためにママ友は必要なのはわかっているのですが、迎合するのはプライドが許さないんですよね。
■〝イケてる私〟はあなたたちとは違うの(玲子さん/30歳/事務員)
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幼少期にひどいいじめを受けていた私は、昔から「長い物には巻かれろ」精神で生きてきました。それはいまも変わらず、常に目立つママや強いママとばかりつるんでいます。嫌われているママや目立たないママのグループと関わるのを極端に避けていたんです。
きっと、心のどこかで「私はあなたたちとは違う」と思っていたのでしょう。その人たちと同じだと思われるのが怖かったんだと思います。しかし、そんな〝イケてるママ風〟の仮面はすぐに剥がれてしまうもの。いつしかつるんでいたママ友グループからのけ者にされるようになってしまいました。
かといって、いままで目すら合わさなかったママたちが受け入れてくれるはずもなく、完全に孤立してしまったんです。それでも「落ちこぼれグループに属するくらいならひとりでいい」と強がっている自分もいて、どうしていいかわからないでいます。
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高すぎる「選民意識」を持つ人には、心の奥に劣等感があったり、承認欲求が高いケースが多いのだとか。この感情を払しょくするのはなかなか難しいものですが、方法としては人間関係を〝割り切る〟ことがあります。ママ友づきあいは「子どものために必要」と割り切ると同時に、「自分は自分、人は人」と考えることで、ある程度抑えることができますよ。
ライター:葛西 明
人材派遣及び、人材紹介を行う会社に勤めるサラリーマン。求人募集の文章を書くのが楽しいと感じて以来、ライターとしても活動中。家事が苦手な妻と結婚後、気付けば兼業主夫になっていることが悩み。