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「普通の結婚」って何?子どもたちに令和の親が伝えたいこと

子育て

2020.10.07

あなたは、「普通の結婚」といわれたら、どんなイメージが浮かびますか?

 

たとえば昭和の時代、「普通の結婚」や「普通の家庭」と聞けば、一戸建てや団地に住み、背広を着たサラリーマンのお父さんは会社へ、エプロンをつけたお母さんは洗濯、お兄ちゃんは広場で野球、スカートをはいた妹は人形を並べておままごと…そんな姿を思いうかべる人が多かったかもしれません。

 

しかし、令和のいま、ライフスタイルや価値観が多様化するなかで、上のような結婚を「普通」と言い切れる人はどのくらいいるのでしょうか?

 

2020年(令和2年)10月、思わずそんなことを考えさせられるニュースがありました。

 

「普通の結婚」発言に疑問…

ことの発端は、ある区の議会で、性的マイノリティの人々の権利保障に対して述べられた意見でした。

 

「そんなことはありえませんが」と前置きしたものの、少子化や人口減を危惧して「日本人全員が同性愛者になってしまったら、次の世代をになう人が生まれない」といった趣旨の発言が問題に。

 

「LGBTは、流行ってるから自分もなろうかな…みたいなものじゃなく、いつ自分の特性に気付くかというだけの話」

 

「人は子どもを産んで人口を増やすためだけに生きているんじゃない」

 

「少子化とLGBTの人たちの人数とは関係ない。解決するべき原因がもっと他にたくさんある」

 

など、多くの反論が街頭インタビューやSNSなどで寄せられました。

 

さらに、

 

「異性と結婚して子どもを産むことが普通の価値観」

 

「普通の結婚をして子供を産んで育てることがいかに人間にとって大切なことか。このことを子供たちに教えなくてはいけない」

 

といった発言に対しても、

 

「結婚していない私は、子どもを産まないから普通ではないの?」

 

「不妊治療を続けているけれど、費用や仕事を休む負担や精神的ダメージが大きく、あきらめようとしています。私たちも普通の結婚とはいえないんでしょうか」

 

と多くの人が「普通ってなに?」と疑問を呈する結果となりました。

 

多数派であれば「普通」なの?

いまどき、そんな古い感覚の人なんて一握りだ…と思うかもしれませんが、この発言をした議員は現在70代後半で、いわゆる「団塊の世代」。私たちの親世代とそう変わらない年齢です。

 

この世代の人たちが結婚した時代は高度成長期にあたり、1970年代には40歳までに男女とも9割以上の人が結婚していました。

 

つまり、「異性と結婚して子どもを複数持つ」という人が圧倒的多数派だったため、それが普通の結婚だという認識の人も多いのでしょう。

 

しかし、2015年には、40歳時点で男性の3人に1人・女性の4人に1人が未婚と、大きく割合が変化しました。

 

それにしたがい世の中の「普通」の基準も変わっていてもおかしくないのですが、TVアニメやCMでは相変わらず昭和風のファミリーが「普通」として描かれ続けていることも多く、過去の価値観の影響というのはすぐには消えないことが分かります。

 

「普通」に苦しむ性的マイノリティの子どもたち

多数派=普通という古い価値観の中では、マイノリティ(少数派)の人はさまざまな場面で苦しむことになります。

 

2018年の調査では、恋愛感情を抱く相手(性的指向)や、自分で自分の性をどう認識しているか(性自認)が、多数派と異なる人は11人に1人という結果が出ています。

 

子どもの学校でも、そのことを知られないようにしている子が多いためもっと少なく感じますが、単純計算してもクラスに数人の性的マイノリティの子がいるはず。

 

友だちや先生を信用して打ち明けても、勝手に言いふらされてしまう「アウティング」で傷つく子もいます。

 

関連記事:他人事じゃない!学校でのSOGIハラ(ソジハラ)ってなに?

 

これらが起こる原因の1つが、社会や家庭の中で、性的マイノリティの人たちに対する見方が「普通ではない」と見られ、固定されていることではないでしょうか。

 

この子たちが「異性を好きになって結婚し、子どもを産むのが普通」という1つの価値観だけに囲まれて成長するのと、自分と違う価値観を笑ったり否定したりしない環境で成長するのとでは、将来のビジョンにも大きな差が出てくるはずです。

 

自分の基準で「普通」を決めつけないで

2019年にも、ある地方議員がパートナーシップ制度(戸籍上同性のカップルに、婚姻相当の権利を保障する制度)について「自然の摂理に合った男女の性の考えを強調すべき」などと述べ、批判が集まりました。

 

しかし「自然の摂理」といっても、自然や人体についてはまだ現代の科学や医学で分かっていない事柄もたくさんあります。

 

人類の発展を振り返ってみても、集団の中に引っ込み思案で慎重なタイプの人がいたから、皆が猛獣に襲われず生き延びたのかもしれません。

 

また、無鉄砲で積極的なタイプの人がいたおかげで、現代の私たちがフグなどそのままでは食べられない魚を安心しておいしく食べられているのかもしれません。

 

全人類のうち、いろいろな性自認の人が一定の割合生まれてくるのであれば、そこには私たちが想像もつかない「自然の摂理」があるかもしれないのです。

 

結婚やLGBTの話題に限らず、自分の周りの環境や経験だけを基準に「これが普通」と決めつけていないか…私たち全員が、発言する前に一度立ち止まって考えていきたいもの。

 

親のそういった姿勢はきっと子どもたちに伝わり、多様な価値観を持つ子どもたちがより生きやすい未来へとつながるのではないでしょうか。

 

文/高谷みえこ

参考/内閣府子ども・子育て本部「少子化対策の現状」 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2018/30webhonpen/html/b1_s1-1-3.html

東京弁護士会「あなたのまちにパートナーシップ制度はありますか」 https://www.toben.or.jp/know/iinkai/seibyoudou/column/post_43.html

渋谷区公式サイト「渋谷区パートナーシップ証明書」https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/shisaku/lgbt/partnership.html

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