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大学のAO入試や推薦枠が拡大…泣く子・笑う子、わが子はどっち?

子育て

2020.02.18

CHANTO世代のファミリーにはまだ少し先のことかもしれませんが、大学入試での「AO入試」の先行きが最近話題になっています。

 

今回は、いま小さいお子さんを育てているママ・パパのため、AO入試をはじめとした推薦入試が今後どう変わっていくのか、見通しを解説します。

「AO入試(総合型選抜)」とは?これからどう変わる?

「AO入試」は、現在多くの私立大学をメインに実施されている入試制度の1つで、もともとはアメリカの「Admissions Office(アドミッションズオフィス/入学管理局)による入試」を略したもの。

 

ただし日本では、統一された管理局があるわけではなく、各大学が独自基準で選抜しています。

 

例年1月に行われる大学入学共通テスト(旧大学入試センター試験)や大学別の試験では合格点に及ばないものの、特定の分野に秀でた高校生や将来有望と思われる高校生を、大学独自の評価基準で合格させることができます。

 

試験内容は大学ごとにさまざまで、小論文や面接・実技などが行われます。大学によっては複数回のAO入試日程が用意され、高校2年生で早くも合格が決まる子もいます。

 

そのほか「推薦入試」では、高校側から成績や将来性に秀でた生徒を推薦する「学校推薦」や、一定の条件を満たせば入試科目が減らされたり合格点のラインが下がったりする「一般推薦」があります。

 

私立大学の中には、合格者の半分以上がAO入試+推薦入試という大学も少なくありません。

 

国公立大学でも以前は学力試験1本のところがほとんどでしたが、近年、私大と比べると人数は少ないもののAO入試を取り入れる大学が増えてきました。

 

しかし実は、2021年度からの新しい入試制度ではAOをはじめ各入試制度も名称が変わることになっています。

 

  • AO入試→総合型選抜
  • 推薦入試→学校推薦型選抜
  • 一般入試→一般選抜

 

過去、「共通一次」から「センター試験」へと名称が変わったときも、しばらくは前の呼び名を使う人が多かったことからも、これからしばらくは「AO入試」という呼び名を耳にするかもしれません。

 

おそらく皆さんのお子さんが受験する時期、AO入試に相当するのは「総合型選抜」となるので覚えておきましょう。

AO入試枠の拡大…なにが問題?

近年、この「AO入試」の枠を拡大する大学はますます増える傾向にありますが、それにより有利になる子と不利になる子がいる・格差が生まれる…としてSNSを中心に議論が起こっています。

 

AO入試での経歴PRにはお金がかかる

AO入試では、従来のペーパーテストだけでは測れない生徒の能力やアピールポイントにスポットを当てて合否を判定します。

 

学力試験以外にアピールできるような実績というと、次のようなものが考えられます。

 

  • 海外留学
  • 音楽やバレエなどの芸術
  • スポーツ
  • 部活動
  • 生徒会活動

 

しかし、留学や芸術などの華やかな体験をするには家庭に経済的余裕がなければ難しいため、「これでは富裕層の子が有利になるばかり」「地方には芸術的拠点がなく、地域格差が広がる」と批判の声も出ています。

 

ボランティアや生徒会活動などの活動ならお金がかからないように思えますが、経済的に苦しい家庭では、アルバイトや、夜遅くまで働く親のかわりに家事や下の子の世話などがあるため、その時間が取れないというのが実情です。

 

最後の砦ともいえる「学力」さえ、最近はインターネットで無料で学べるサイトなども増えてきたとはいえ、やはり受験前後は塾に通う子が大多数で、家庭の経済状況が学力に与える影響はゼロではありません。

 

もちろん、格差がある状況の中でも、努力して学力を伸ばすことは可能です。

 

関連記事:教育格差に負けるな!親が低所得でも学力が高い子

 

しかし、家庭環境ですでにハンデが存在する中、これ以上お金持ち優遇の枠を増やしてどうするのか…というのが、AO入試枠拡大の問題点といえるでしょう。

 

「e-Portfolio(イー・ポートフォリオ)」とは?

大学入試にからんでもう一つ話題になっているのが、高校生が3年間に行った活動を民間業者に委託して「ポートフォリオ」(自己紹介書のようなもの)を作成し、入試での人物判定に利用しようというもの。

 

しかし、例えばいじめ・不登校などで学業成績・部活ともに良い結果を残せなかった子は、ポートフォリオで判断されると非常に不利になる可能性があります。

 

それでも、これまでは「勉強をがんばって大学で活躍する」という道が残されていましたが、AO入試枠がこれ以上拡大すると、本来なら入学できていた大学の一般入試定員が減って狭き門になり、第一志望校をあきらめることになってしまいかねません。

 

AO入試で入学した学生の学力が低い?

さらにAO入試で合格した子も、喜んでばかりはいられません。

 

2017年に文部科学省より発表された「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」では、AO入試で学力をまったく問わない大学が見られるとして注意を促しています。

一部のAO入試や推薦入試について、「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」

を問わない性格のものとして受け取られ、本来の趣旨・目的に沿ったものとなってい

ない面があり、入学後の大学教育に円滑につなげられていない。

あくまでも噂ですが、一部の企業では、AO入試で合格した学生は、同じ大学でも一般入試で合格した学生と同等の学力を持つと見なさない…などとささやかれているとも言われます。

 

そこで、ここ数年は国公立大学を中心に、AO入試といえどもセンター試験の点数を提出するなど「学力」つまり「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」が求められるよう変わってきました。

 

そして、2021年からの大学入試制度では、今までのAO入試および推薦入試の形式でも、相応の基礎学力が問われるようになり、同時に一般選抜でも「活動記録」や「学びの計画書」など、現在のAO入試と近い内容の資料提出が求められるようになります。

 

このことで、家庭の経済力で不利になる子や、人間力はあるのに学力偏重の入試制度のせいで可能性が生かせない子が生まれない仕組みになってほしいですね。

 

おわりに

現在の入試制度にせよ、変更後にせよ、現状ではどうしても家庭の経済状況や居住地・その子の性格や学力など、さまざまな要素で進学先が左右されてしまいます。

 

本来ならば、学校の授業について行けなくなった時のフォローや習いごと・留学などが、経済的に苦しい家庭の子でも安心して行えるような制度があれば一番なのですが…。

 

若い世代が選挙に行ったり、地元の政治家に要望を出すだけでも、子どもや教育に予算が回ってくる可能性がありますので、ぜひ子どもたちの可能性のために動いていきたいですね。

 

文/高谷みえこ

参考:文部科学省「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」

文部科学省「高大接続ポータルサイト JAPAN e-Portfolio」

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