2019.06.28

負けず嫌いは長所?短所?子供の性格を生かして伸ばすコツ

「うちの子は負けず嫌いで…」というママは多いのではないでしょうか。

トップアスリートや、各分野の一流の人に子どもの頃の話を聞くと、「超がつくほど負けず嫌いだった」ということもよくありますが、実際に育てるママはちょっと大変とも感じているよう。

今回は、将来に向けて、負けず嫌いな性格の子をじょうずに伸ばすため、親はどう接したらいいのかを考えてみました。

 

負けず嫌いな性格は生まれつき?それとも環境や育て方?


園や学校のクラス、きょうだい間でも、勝負ごとで張り切る子とあまり勝敗にこだわらない子がいます。

ママやパパから見ると、「そこまでこだわらなくても…」と思ったり、反対に「少しは闘争心を持ってくれたらいいのに」ともどかしい思いを抱えているかもしれません。

これらの性格の違いは生まれ持ったもの?それとも環境や育て方の問題なのでしょうか?

 

負けず嫌いな子の「気質」「性格」「人格」とは

「気質」とは、心理学用語で、「個人の性格の基礎にある遺伝的・体質的な感情の持ちよう」とされます。

 

生まれつきちょっとした物音でよく泣く敏感な赤ちゃんや、のんびりおっとりしてあまり動かない赤ちゃんなどがいます。

きょうだいでも正反対なこともあり、これはしつけや育て方の問題ではないですよね。

 

「性格」とは、その人が事に当たりどのような行動を取るかを表すものですが、こちらは、生まれつきの気質をベースにしているものの、環境や経験から影響を受けて少しずつ変化していきます。

 

そして、心理学で「パーソナリティー」と呼ばれる「人格」は、気質や性格に加え、教育や人との関わりによって後天的に形成されるもの。

 

「負けず嫌い」は、生まれつきの要素に周囲からの影響が加わった「性格」に当たるといえます。

 

生まれつきの「負けず嫌い」とは

多かれ少なかれ、幼児期はほとんどの子に「負けず嫌い」の傾向が見られます。

 

2~3歳から入学前のお子さんが、ゲームや遊びで負けると泣いたり怒ったりするので、手加減して勝たせてあげた…という経験は、ほとんどのママやパパに1度や2度はあるのではないでしょうか。

 

小さい子には、自分には周りの大人や年上の子がやっていることはなんでもできる、空想上の出来事も実現する…と信じ込む「幼児的万能感」が備わっており、できる(勝てる)と思ったことが叶わないと、かんしゃくを起こしたり泣いたりします。

 

この「幼児的万能感」は早ければ5歳頃、遅くとも小学校低学年頃には消えるといわれています。

小さい子がいつでも勝ちたがり、負けると怒るのは、程度の差こそあれ当たり前のことと考えてよいでしょう。

 

大切なのは、この時に頭ごなしに叱らず、気持ちを認めて「くやしかったね」と受け入れてあげることだと言われています。

 

後天的に「負けず嫌い」になった可能性も

いっぽう、生まれつきの性格以外に、家族構成や周囲の影響で、後天的に負けず嫌いの度合いが強くなることもあります。要因は次のようなもの。

 

きょうだいとの関係

長男長女には比較的マイペースな子が多く、真ん中や下の子は比較的負けず嫌いな子が多いといわれます。

一人っ子は、「闘争心がない」というママと、「家で負ける経験が少ないのでたまに負けるとがまんできない」というママ両方がいますが、最近はよく「王様になってしまわないよう、あえて厳しくしている」という声も耳にします。

 

いつも勝たせてあげている

トランプなどで負けると大泣きして大変だからと常に手加減して勝たせていると、園や小学校などでとつぜん「いつでも勝てるわけではない」という現実に向き合った時、それが受け入れがたく怒り出すこともあります。

 

結果だけをほめる、条件付きでかわいがる

小さい子が「親に愛されたい」「自分を見てほしい」という欲求は切実なもの。失敗した時やいい結果が出ない時は振り向いてもらえず、1番を取った時だけほめられたり可愛がられたりが続くと、どんな手を使っても勝ちたいと考えるようになる場合があります。

 

負けず嫌いな子、ここがちょっと困る


負けず嫌いな性格は言い換えれば「向上心がある」「がんばり屋」「意欲がある」など、本来はとても良いことなのですが、ときどきママやパパを困らせることもあるようです。

 

「トランプやすごろくなどで負けると、地団太を踏んでわめいたり、30分でも1時間でも機嫌が悪いまま。友だち親子が集まった時でもそうなので、みんな気を使って雰囲気が悪くなってしまいます。叱るとよけいに荒れるのでなだめたり見守ったりするしかないのですが、私がビシッとしつけないからだと思われてるんだろうな」(Iさん・31歳・4歳の男の子のママ)

 

「ボードゲームで負けそうになると、ゲーム盤をひっくりかえすという定番の行動をします…」(Mさん・37歳・1年生の男の子のママ)

 

「スポ少で野球をしています。レギュラーに選ばれたいのは誰でも当然でしょうが、先日の選抜テストの前に、ポロっとあいつエラーしないかな、みたいなことを言っていて。他の子の成功を喜べない人間にはなってほしくないです」(Tさん・40歳・5年生の男の子と2年生の女の子のママ)

 

「園で、お片付けが早くできた人から隣のお部屋で遊べる時があるのですが、一番に行きたくて、ちゃんと片付けられていないみたい。何が一番大事なのか、言い聞かせてはいるのですが…」(Eさん・30歳・5歳の女の子のママ)

 

「じゃんけんですら絶対に負けたくなくて、きょうだいでじゃんけんする時はよく後出しをしたりしますね(笑)」(Fさん・39歳・5歳と4歳の男の子と1歳の女の子のママ)

 

「負けるのがイヤなあまり、最近では勝負ごとを拒否するので、みんなで円満に遊べないときがあります」(Hさん・37歳・6歳の男の子のママ)

 

「逆上がりがなかなかできなくて、毎日毎日公園で練習に付き合いました。下の子は退屈しだすし、晩ごはんの支度もできず、早く帰ろうと言うのですが、できるまで絶対帰らないと…できるようになるまで、2週間ほど毎日大変でしたね」(Gさん・42歳・3年生の男の子と4歳の女の子のママ)

 

負けず嫌いな性格を生かして大きく伸びる子に!


負けず嫌いの子が、「人を蹴落としてでも勝ちたい」「結果が勝ちなら他はどうでもいい」という方向に向かわず、性格を生かして大きく成長できるためには、親としてどう接したらいいのでしょうか。

 

子どもが勝負や競争でうまく行ったとき・そうでなかったときの状況ごとに、おすすめの声掛けを紹介します。

 

「負けず嫌い」の子、うまく行ったときにはこう声をかけよう

負けず嫌いな子は、向上心が強く、「ライバルに勝ちたい」「自分で決めた目標を達成したい」というモチベーションから、努力を惜しまず物事に取り組みます。

 

結果、試合に勝った・何かで1番になった…という時は、そのことを一緒に喜んであげるのはもちろんですが、同時に「がんばった過程」も忘れずにほめてあげたいですね。

 

子ども自身が「俺の方がすごい」「私は1番、〇〇ちゃんは2番」と、他人と比べて優位に立つことを意識しすぎている…と感じるときは、いきなり注意する前に、まずは「1番になってうれしいね」「がんばってきてよかったね」と、勝った子どもの気持ちにじゅうぶん共感してあげて下さい。

 

その後であれば、「誰でも勝つときと負けるときがあるんだよ」「負けてもがんばったことはすごいと思うんだ」「負けた人がイヤな気持ちにならないような言い方ってどんなのがあるかな?」などの意見も、比較的素直に子どもの耳に入るでしょう。

 

ママやパパの方が、日頃から「お兄ちゃんに勝ったね!すごい」「1番じゃなければ意味がない」「〇〇君はできるのに、できないなんて恥ずかしいよ!」といった言い方をしないのも大切です。

 

「負けず嫌い」の子、うまく行かなかったときには

残念ながら負けてしまった、1番になれなかった…という時は、同じく、「くやしいね」「残念だったね」とじゅうぶん子どもに共感してあげましょう。

 

加えて、がんばった過程を思い出し、「毎日〇〇回も練習していたこと、ママは本当にすごいと思うよ」などとほめてあげて下さい。

 

それを繰り返しているうち、子ども自身が過程の大切さに気付くのを待つイメージですね。

 

試合や勝負に負けた時、感情がコントロールできず泣いたりかんしゃくを起こしてしまう子は、できるだけその場を離れるのがベター。

 

小さいうちは親子で、少し大きくなったら、ふだんの落ち着いている時に「どうしても涙が止まらなかったらトイレとか離れた場所に行ってもいいんだよ」とアドバイスしておけば、スポ少や部活などでも応用が効くでしょう。

 

子ども自身も精神的に成長する

親が適切な働きかけをしていれば、子ども自身が精神的に成長することも十分期待できます。

 

スポーツ心理学では、負けず嫌いのことを「勝利意欲」と言うそう。

これに対し、「自己実現意欲」というものもあります。

 

前者が結果を重視するのに対し、後者は、自分の能力を十分に発揮したい・勝つための方法をしっかり考えて実行したいという「途中経過」や「プロセス」を重視するもの。

 

通常は、年齢が上がるにつれ「勝利意欲」より「自己実現意欲」が強まってくると言われています。

 

負けたとき・うまく行かなかった時に、自分と向き合い「イメージ通りにできたか」「課題を克服できたか」「前回と比べて何ができるようになったか」を検証、次はこうしてみようと考えて、もう1回チャレンジできるようになれば、負けず嫌いな性格を良い成長サイクルに生かせるはず。

 

まとめ


トップアスリートを見れば分かるように、将来に大きな可能性を秘めている「負けず嫌い」な性格の子。

小さいうちは、日常生活や遊びの途中でもしょっちゅうかんしゃくを起こしたりしてママやパパは何かと大変ですが、「他人を落とすのではなく、自分が伸びることで勝つ」のがうれしいと感じられるよう、うまく導いてあげたいですね。

 

文/高谷みえこ

参考:川崎医療福祉学会誌「乳児期における「気質」研究の動向」 http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2003-j13-2/02_takei.pdf

鹿児島大学リポジトリ「スポーツにおける目標志向性と競技意欲の構造の関係」

https://ir.kagoshima-u.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=11509&item_no=1&attribute_id=16&file_no=1

 

高谷 みえこ

ライター歴15年。大手企業サイトなどで執筆を行う。得意分野は女性・主婦向けの記事。育児ポータルサイトでは新米ママのお悩み相談コーナーで回答者を務めた実績を持つ。