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「子どもの発達障害」進路や就業は?

子育て

2020.08.25

2020.08.26

多動性やこだわり行動など、さまざまな形で現れる「子どもの発達障害」について一緒に考えていくオピニオン特集。

 

1回目の「子どもの発達障害」診断名はただの「名札」大事なのは…で、実践女子大学の塩川宏郷教授は、次のような言葉で発達障害を説明しました。

 

「発達障害は病気ではなく、その子のものの見方や感じ方といった基本的な特性。その特性によって生じる困難をどう解決していくかは、社会全体で一緒に考えていきましょう」

 

では、わが子の発達に不安を感じたとき、発達障害かもしれないと感じたときは、まずどこに相談すればよいのでしょう?発達障害の子どもの支援について、医師として発達障害の子どもの診察に約20年携わってきた塩川先生に引き続きお聞きします。

 

PROFILE 塩川宏郷さん

実践女子大学 生活科学部教授。1962年、福島県生まれ。87年、自治医科大学卒。福島県内のへきち医療に従事後、自治医科大学附属病院小児科、とちぎ子ども医療センター心の診療科、東ティモール大使館、東京少年鑑別所、筑波大学を経て2018年から現職。専門領域は発達行動小児科学、小児精神医学。『もしかして発達障害? 子どものサインに気づく本』の監修を務める。

不安を感じたら、乳幼児健で相談を

——こだわりや偏食など、子どもの発達で気になることがあった場合、どこへ相談するとよいでしょうか。

 

塩川さん:

子どもの発達についての相談は、乳幼児健診を利用するとよいでしょう。

 

発達特性に気づくための最初の鍵になるのは1歳半健診。ここで意味のある単語がまだ出ない子、いわゆる「言葉の遅れ」がある子は、何らかの発達特性の偏りの可能性を踏まえて、経過観察がなされます。

 

それ以外にも、視線のあいにくさ、名前に反応しないといったサインや感覚の過敏性といった特性は、1歳半や2歳などの早い段階で認められることもあります。

 

保育園・幼稚園に通っているのであれば、担任の先生に相談してみましょう。発達特性に偏りのある子どもは、集団に入ると困り感が強くなる場合が多いんです。

 

——なぜ集団に入ると困ることが増えるのでしょう?

 

塩川さん:

集団生活では、非常にたくさんの行動オプションが求められますよね。この場面ではこのように行動する、ここではこれをしてはいけないという多くの行動オプションです。これは発達障害のある子どもに限りませんが、子どもは経験が足りませんから、行動オプションの数が制限されています。

 

通常は、集団生活の中で、他の子どもの行動を真似したり先生の指示にしたがったりして学習しながらそのオプションを増やしていきますが、発達特性に偏りのある子どもはそれが難しい。

 

結果、どう行動すればいいか、何をすればいいかわからずに不安になってしまう。それが落ち着きのなさやこだわり行動のような形で現れて来ます。集団生活の中で行動面でのサインが浮かび上がる、というケースはとても多いのです。

園と家庭で情報共有と連携を


——具体的に、園側にはどんな風に相談するとよいでしょうか。

 

塩川さん:

まずは、保育士さんや幼稚園の先生と「情報共有」していきましょう。

 

連絡帳などを使って、「こういうことが不得手かも」「こういう場面は苦手なようです」「こんな風に声をかけるとうまくいくようです」というお子さんの日常の様子を、家庭と園で情報としてしっかり共有していきましょう。

 

幼稚園・保育園と家庭では環境が異なりますので、子どもの振る舞いが変わってきますし、先生と親ではそれぞれ見る視点も違うはず。さまざまな視点から子どもの行動を観察し、どのように関わることで、子どもがどのように行動するかというような情報を共有することが大切です。

 

今は幼稚園・保育園と他の専門機関との連携体制も整備されてきていますので、必要に応じて、地域の保健センターや発達障害支援センターなどに繋げてもらうこともできます。

 

また、「情報共有」と「役割分担を決める」ことは「連携」のスタート地点でもあります。情報を共有して、家庭、園(学校)、専門機関が連携しながらサポート体制を作っていく、ということになります。

療育は「発達特性に応じた丁寧な育児」の練習場

——発達の遅れやその心配のある子どもは、療育センター(発達の遅れや心身の障害がある子どもが、通いながら訓練や支援を受ける施設)に通う場合も多いそうですが、療育では具体的にどんなことをするのでしょう。

 

塩川さん:

その子の発達特性を知り、その特徴・発達レベルに応じてサポート方法を考える、サポートを受けて上手に生活できることを経験する、それが療育の場で行なわれていることです。

 

たとえば言葉が遅れている、あるいは意味のある単語を発することができない自閉スペクトラム症のお子さんには、一緒に遊びながら「言葉を使わない」コミュニケーション(表情や身振り手振り、声かけなど)を用いたやり取りを重ねることで、心が通じ合ったという体験、相手の感情や意図が理解できたという体験を積んでいきます。

 

実際には、子どもと支援者が一対一で「楽しく遊ぶ」ということが、療育の最も基本的で重要なことになります。

 

自閉スペクトラム症の子どもに限らず、コミュニケーションの発達経過は、まず言葉を使わないコミュニケーションの土台を作り、その上に言葉を使うコミュニケーションが乗っかってより高度なやりとりができるようになるという経過をとると考えられています。

 

「うちの子は言葉が遅れていているので言葉訓練で話せるようにしてほしい」と言語訓練を最初から希望する保護者もおられますが、コミュニケーションの土台がまだできていない子どもに最初から言葉を覚えさせる訓練をすることはあまり意味がないんです。

 

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