育児と介護が同時に行われることを意味する「ダブルケア」。

「うちはまだ親が元気だし大丈夫!」と他人事のように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、最近では晩婚化・晩産化が進み、ダブルケア人口が増えてきているそう。CHANTO12月号では、ダブルケアを経験したママ2人の体験談と、本誌「ワーママニュース」でおなじみの日テレ岸田雪子解説委員の体験談を交えながら、ダブルケアになったときどうすればいいかをみなさんと一緒に考える特集を組んでいます。今回はその一部をご紹介します。


 

ダブルケアのQ&A

 

いきなり「ダブルケア」と言われても、「なにから調べればいいのかわからない…」というあなた。利用できる制度必要となるお金は、親の病状やライフスタイルによって個人差があります!まずは基本的なことを押さえて、いざというときのための土台作りをしておきましょう。専門家への取材をもとに、ちゃんと編集部がまとめてみました。

 

 

◆もしものときにまず頼れるもの

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Q:ダブルケアの専門窓口や制度はあるの?

 

A:全国的には、まだ介護と育児の包括的なサービスはない。

多くの自治体では介護と子育ては別扱いだが、大阪・堺市が「ダブルケア相談窓口」を設置するなど、今後の取り組みが期待されている。

 

 

Q:では、まずどこを頼ればいいの?

 

A:ソーシャルワーカーや地域包括支援センターを調べておく。

大きな病院であれば、専任のソーシャルワーカー(社会福祉士)が入院から退院までサポートしてくれる。自治体が運営する「地域包括支援センター」(地域によって名称は異なる)は高齢者だけでなく、生活全般に関する相談もできる。

 

 

◆正直なところ、お金のことが心配…

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Q:どれくらいお金があると安心なの?

 

A:施設の入居一時金が払える程度の備えがあると安心。

施設の入居一時金は10万円台~数千万円かかることも。また、ダブルケアは介護費と教育費が同時にかかるので、年数百万円が必要となってくる可能性がある。

 

 

 

Q:介護保険制度もあるし安心してもいい?

 

A:介護保険だけでカバーは難しいことも。教育費確保の対策を。

現状、介護費用すべてを介護保険でカバーするのは難しく、ダブルケアを抱える家庭では、子ども
の教育費を介護費に回してしまうケースも…。子どもの教育機会を奪うことがないよう、貯蓄や学資保険などで備えることが大切。

 

 

◆子どものこと、仕事のこと

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Q:介護しながらの子育て。気を付けることは?

 

A:介護が優先されがちで、ふれあい不足の傾向も。メンタル面のケアを!

介護は急を要することも多く、どうしても時間を取られがち。そのぶん子どもに我慢を強いたり、親のストレスから八つ当たりしてしまうことも。意識して子どもと向き合う時間を作り、しっかりとコミュニケーションをとって。

 

 

Q:この状況では、仕事は辞めるしかない?

 

A:時短制度や介護休暇を利用し、辞めずに乗り切る道を探して。

今後の出費を考えると、仕事を辞めて収入を絶つという選択肢は避けたいところ。周囲にダブルケアをしていることを伝え、自分の担当業務を引き継げるようにしておけば、仕事を休む際もトラブルになりにくい。

 

 

◆自分自身がつぶれないために

 

Q:精神的につらいときは、どうすればいい?

 

A:周りに自分の状況を伝えること。ひとりで抱え込まないで。

ダブルケアはけっして恥ずかしいことではなく、誰にも起こりうる現実。まわりに自分の置かれている状況を話すことで、気持ちがラクになる場合も。地域で集まりをやっている場合もあるので、参加してみては。

 

 

Q:近くに交流の場がなく孤独を感じる…。

 

A:日記などで言語化してみると、自分の考えが整理できる。

人と話す場所がない、抵抗があるという場合は、まずは日記に自分の状況や気持ちを綴ってみて。書くと状況が整理できるほか、気分が晴れて前向きになれることも。仲間が集うインターネット掲示板も、大きな味方になってくれる。

 

 

こんな活動をしている地域も ダブルケアサポートの取り組み

 

「ダブルケアサポート」(http://wcaresupport.com/)は悩みを相談できる場(座談会や掲示板サイト)の提供や、ダブルケアサポーターの養成講座の構築、セミナー開催、ハンドブックの作成など、ダブルケア経験者たちのリアルな声をもとに、さまざまなサポートを行っています。

 

『ハッピーケアノート』

ハッピーケアノート表紙2

 

 

 

スペシャルインタビュー

 

「できることを、できる範囲で精いっぱいやればいいんです」

本誌でワーママニュースを連載中の岸田雪子さんも、ダブルケア経験者。CHANTO12月号では、自身の体験について、思い出の写真とともに語ってくれました。

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――ダブルケア生活が始まった経緯を教えてください。

 父ががんの手術を終えて自宅に戻ったあと、思うように動けず、そこから認知症も進行していきました。当初は主に母が父の介護にあたり、私はそのサポートをしていたのですが、母も高齢だったので、同じマンションに空きが出たタイミングで2人を呼び寄せ、ダブルケアすることにしたんです。

 

――仕事や子育てに支障はなかったのですか?

 介護を始めてから2年ほどたったころ、夜の生放送の報道番組のキャスターに、と打診をいただきました。夫も同業で忙しいので頼れず、夜、両親と6歳の息子だけを残すのは不安でしたが、息子がひと言「大丈夫、僕がおじいちゃんをお世話するよ」と。息子なりに、家族の役に立ちたいと考えていたのだと胸が熱くなりました。

 

――つらいとき、乗り越える秘訣はありますか?

 家族の負担を減らすための福祉サービスは、実はたくさんあるので"一人で抱えこまない"ことが大切。できないことはできなくていい、とわりきり、"家族にしかできないこと"…たとえば一緒に食事をしながら笑いあう時間を大切にしてもらえたら、と思います。

(本誌より一部抜粋)

 

 


 

 

 

ダブルケアを経験した方が必ず口にするのは、「ひとりで抱えこむ必要はない」という言葉。

まだ関係ないと思っていても、いつかダブルケアをすることになるかもしれません。

そのときにひとりで抱えこんで、つらい思いをすることにならないように、CHANTO12月号がダブルケアについて知り、考えるきっかけとなれば幸いです。

 

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12目次01
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