2019.02.05
多くの家庭では、子どもが巣立ち、夫が定年を迎えるタイミングで、夫婦のみの生活がスタートします。
この時、夫に趣味や友人付き合いがあまりない場合、妻の買い物やちょっとした散歩にまでついてくる状態になってしまうかもしれません。この様子を、靴底にまとわりつく濡れた落ち葉に例え「濡れ落ち葉症候群」(主人在宅ストレス症候群)と呼び、女性が抱える大きな問題となっています。
また、老後だけではなく、若い夫婦であっても、病気や長期休暇などで長時間夫と過ごすのが苦痛なケースも見られ、深刻化すると“夫の帰宅の時間帯や休日前になると体調がすぐれない”という例も少なくありません。
このような状態になった夫婦は、年齢に関係なくストレスを抱え、しまいには離婚を選んでしまうこともあります。夫と二人の時間にモヤモヤを感じはじめたら、我慢したまま定年を待つのではなく、早めに対処を行うようにしましょう。
「濡れ落ち葉症候群」に陥りやすい夫の特徴
将来「濡れ落ち葉症候群」になりやすい男性には、特徴があります。今の夫婦関係や夫の性格などを元に、「濡れ落ち葉症候群」になりやすいか、そうでないかをチェックしてみましょう。
1.家の仕事をほとんどしない
家族のためとはいえ、仕事に打ち込むあまり家事や育児を妻に任せっぱなしの夫は、将来「濡れ落ち葉症候群」になる可能性が高いでしょう。多忙を極めてきた仕事の反動から「老後はのんびりしたい」と考えるケースが多いようですが、妻にとっては家庭での労働が増えることになり、大きな負担となってしまうからです。
2.外へ出かけるタイプの趣味を持っている
「濡れ落ち葉症候群」になりがちな男性の特徴に、“スポーツやアウトドア系の趣味を持っている”“飲み会や接待で忙しい”といった傾向が見られます。「趣味があるなら、お互いの時間が確保できるのでは?」と考えがちですが、年々気力体力が低下していくため、定年に近づくにつれ自分時間を楽しめなくなっていく可能性もあります。その結果、妻についていくことが新たな趣味となり、女性が精神的に参ってしまうのです。
3.妻の外出を嫌がる・不機嫌になる
日ごろから、妻が食事へ行ったり、ちょっと外出したりするだけで夫がイライラしているようなら、「濡れ落ち葉症候群」になる可能性が高いでしょう。いつもの友人との飲み会や趣味の習い事なども、夫婦が働いている場合はお互い様でいられますが、定年後は外出している時間ずっと夫を待たせることになります。家事ができない夫の場合、自分がいない間の食事を妻が準備した上で、さらに時計を気にしながら外出することになるため、息抜きの時間すら落ち着いて過ごせなくなってしまうのです。
4.日ごろから妻にべったり
普段から夫が妻にべったりな場合、定年を機にそれがさらにひどくなる場合があります。甘えられるのが好きなタイプの女性なら良いのですが、24時間一緒にいる生活になると、息苦しくなってしまう場合もあるでしょう。
夫は良かれと思って仲良くしているので、無下に断ることもできず、その間にストレスが積み重なっていきます。一見仲良し夫婦に見えるのですが、実は「濡れ落ち葉症候群」の可能性を秘めているケースです。
「濡れ落ち葉症候群」の対処法
それでは、将来「濡れ落ち葉症候群」で悩まないために、どうしたら良いのでしょうか?今すぐに始められる対処法で、将来のストレスを軽減してあげましょう。
1.自宅でできる趣味を持ってもらう
24時間一緒にいたとしても、夫が自分の世界に没頭しているのであれば、それほど大きなストレスにはなりません。普段出かけるのが好きな夫の場合も老後に備え、映画や音楽鑑賞、工芸、読書、ゲーム、SNSなど何でも良いので、自宅で楽しめる趣味の範囲を広げてあげましょう。夫婦で楽しめる趣味を見つけることができれば、よりストレスの少ない老後が送れます。
2.少しずつ家事を分担していく
「濡れ落ち葉症候群」で悩む女性のほとんどが、家事をまったくしない夫にイライラを感じています。しかしながら、仕事が忙しい男性に、定年後いきなり家事の半分に分けるのは難しいでしょう。
そうならないためにも、若いうちから率先して家事を任せることが大切です。家事経験が乏しい男性なら、初めは期待通りの働きは難しいかもしれません。「これぐらい当然できるでしょ」と思い込まず、作業手順を細かく説明してあげましょう。
3.外出を当たり前にしておく
妻の外出に文句を言いがちな男性の多くが、自分が家にいるのに妻が出かけるという状況に慣れていません。そのため、定年前の休日を利用して、自分だけの用事で出かけてみるようにしておきます。
友人と食事などへ出かけられる環境を整えておくことで、夫と二人の時間で行き詰った時などに、サッと気分転換を図れるようになるでしょう。
4.手抜きできる部分は手を抜く
共働きなのに、妻が家事も育児も頑張り過ぎてしまっている場合、定年後もその状態を当たり前に求められてしまうケースが多く見られます。こうなってしまうと、定年後は1日3食の食事作りすら手抜きができなくなり、毎日が苦痛になってしまうかもしれません。
食事だけではなく、家事の仕事は一生続きます。たとえ夫婦で分担していても、上手に手を抜くテクニックを磨いておき、負担を少なくできるようにしましょう。
さいごに
「濡れ落ち葉症候群」は、多くの夫婦が悩まされている問題です。定年後20年、30年も生きる男女が少なくない現代だからこそ、老後を楽しく過ごすための対策を練っておくことが大切です。
早い段階での対処は、濡れ落ち葉症候群を防ぐことにもつながります。できるだけ我慢の少ない夫婦関係を築き、家庭がもっとも落ち着ける場所にしておくことで、穏やかな毎日を過ごせるようになると良いですね。
文/久木田みすづ