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通勤や通学など、交通手段の一つとして利用される自転車ですが、近年は歩行者との接触事故が増加傾向にあり、自転車保険の必要性について問われています。 自転車は自動車との事故で被害者になる可能性がある一方、歩行者と事故を起こして加害者になる可能性も秘めています。 昨今では自転車保険の義務化も進んでいることから、今後自転車での通勤や通学を考えている人は、もしものときに備えて自転車保険への加入を検討したほうが良いかもしれませんね。

■これからは自転車保険の義務化が当たり前になる!?

自転車と歩行者の事故が増えていることから、最近では自転車保険の義務化の条例を定める自治体が増えています。 2019年2月現在では、兵庫県と埼玉県、大阪府と京都府、滋賀県と鹿児島県が自転車保険を義務化しています。他にも市町村単位で相模原市と金沢市、名古屋市が義務化を開始しています。 努力義務としているのは北海道と東京都、千葉県と群馬県、鳥取県と香川県、徳島県と愛媛県、福岡県と熊本県といったように、次々と義務化を実行している自治体が増えています。 全国で義務化されているわけではありませんが、徐々に義務化している知識が増えており、努力義務としている地域も増加傾向にあります。 努力義務となっている自治体は、その後義務化していることが多いため、今後は自転車保険を義務化する地域はますます増えてきそうです。

■義務化のきっかけ

自転車保険が義務化されるようになったきっかけは、兵庫県で歩行者との接触事故による高額賠償請求が起きたことからです。 2008年に神戸市で自転車に乗っていた小学生の男の子が女性に衝突し、頭蓋骨骨折による意識不明の重体となる大きな事故を引き起こしました。 被害者家族が男の子の保護者に対し賠償請求を起こし、2013年に9,500万円を支払うよう裁判所から命ぜられました。 被害者にも加害者にも大きな損害を与える結果となってしまった事故ですが、兵庫県はこの結果を重く受け止め、自転車の義務化の導入を検討し、2015年に日本初の自転車保険の義務化条例を制定しました。

■罰則はないけれど…

自転車保険に加入していない自転車に乗っていると、義務化されている地域では罰せられるのでは?と不安に感じるかもしれませんが、現在の段階では全地域とも特に罰則はありません。 しかし、罰則がないからといって加入しなくても良いということではありません。前述した兵庫県のケースだけでなく、他にも障害が残る事故を起こした加害者に対して、およそ7,900万円もの賠償を命ぜられたケースもあります。 罰則以前の問題で、もし事故を起こして歩行者に大きな障害や命に関わるケガをさせてしまった場合、何千万円もの賠償金を支払わなくてはなりません。 もしものことが起きたとき、自分が資産家でもない限り、相手に何千万もの賠償金を支払うことは不可能です。万が一に備えて自転車保険には加入しておくようにしましょう。