主婦であるこだまさんが、夫との性生活の悩みをはじめとし、生きる上でのさまざまな葛藤を綴ったエッセイ『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)。タイトルのインパクトからも、2017年に発刊された当時より大きな話題となりました。そのエッセイを原作とした連続ドラマが、この春FOD・Netflixにて配信スタート!今回は、作者の夫役“研一”を演じる中村蒼さんにインタビュー。夫婦のあり方や普通とは?について、語っていただきました。
“夫婦とは?” “普通とは?”いろいろと考えさせられる作品です
夫婦に大切なのは、相手への“リスペクト”
まずはドラマのあらすじを簡単に教えてください。
中村蒼さん:
なかなか衝撃的なタイトルなんですけど……あらすじとしてはもちろん「入らない」という話もありつつも、寄り添いながらすれ違いながらと日々絆を育んでいく、ごく普通の夫婦の生きざまが描かれています。 夫婦二人だけの小さいコミュニティの中での話が淡々と進んでいくので、すごくドラマチックな愛の物語っていうわけでもないんですが、だからこそ、僕自身も共感できる部分がたくさんありました。
人生において当たり前と言われることができない…「入らない」ことから派生する夫婦のすれ違いに日々悩む“久美子”。その夫・“研一”を演じて、中村さんご自身が共感した部分はありましたか?
中村蒼さん:
世の中的には、どうしても多くの人がやっていることと違うことをしたりとか、多くの人ができていることができなかったりとかすると、批判されたり悪くいわれたりすることが多かったりします。それは傷つくことでもありますけど、でも一番大切なのは、「夫婦二人が信じた道を、誠実に進んでいくこと」というところに、研一さんと久美ちゃんは行き着くんです。そういうところは共感というか、自分にもこう、すごく学ぶ部分がありました。 周りがどうあれ、二人なりの考えで進み方を一緒に考えられて幸せに生きていくことができた。そんな二人の姿に、僕も生きる力をもらえましたね。
夫婦二人の生活ですれ違い始める……そんな局面に立ったらどう振る舞い、どう考えたらいいですかね?
中村蒼さん:
劇中では「入らない」という問題が問題だけに……夫婦といえど、というか、夫婦だからこそ聞けない部分もあったりするんです。相手のことを思っているんだけど、想像で行動して、それがだんだんとずれてきてしまって。 そんななかでも、根本には二人ともやっぱりお互いを尊敬していて、お互いを好きであるから、夫婦としてやっていけたんだと思います。そこが自分自身にも響きましたね。もちろん夫婦をやっていると、相手に対して憤りを感じることもあるのでしょうけれど、“相手へのリスペクト”がしっかりしてればいいのかな、と。
子育て、仕事、家のこと……いろいろある中で旦那さんとの関係性が崩れた場合も、やっぱり“リスペクト”が必要?
中村蒼さん:
劇中で、研一さんが久美ちゃんに「共働きだからゴハンつくらなくてもいいよ。できあいのものでもいいよ」というシーンがあって。僕は研一に愛着があるんで(笑)、“研一はやさしいな〜”と思いながら演じてたんですけど……。 あるとき、男性スタッフさんが「自分だったら、奥さんにあれ言わないな」と。例えば、仕事が8時くらいに終わったとしたら、どこかでゴハンを済ませて帰ってくるほうが奥さんにとっては負担がないのでは?ということで。「できあいのものでも」ということは、結局、「ゴハンを用意して」ってことじゃないですか。その意見を聞いたとき、確かに、と思いましたね。 そうやって、自分が良かれと思ってした言動でも、相手に対して負担になることもあるんだな……と。どんな局面でも“相手に対してのリスペクト”は忘れずにいることが大事なんだと思います。
気持ちが離れても、結局別れずに一緒にいた。そんな研一と久美子の結びつきを完全に離さなかったものって、なんだと思いますか?
中村蒼さん:
すごいですよね!そこは、純粋に二人が愛し合い好きだったのかなと思いますね。