歯周病は、歯の周囲にある歯肉などの組織が炎症を起こす病気の総称です。炎症が歯肉だけの場合は歯肉炎、歯槽骨や歯根膜にまで広がっている状態を歯周炎といいます。以前は歯槽膿漏と言われていましたが、これはかなり症状がひどくなって膿が出ている状態です。 歯周病はある程度年齢を重ねた方の病気と思われていましたが、現在は30代でも8割の人が歯周病と言われています。初期段階だと自覚症状がなく、知らないうちに進行していくのが歯周病の怖い所です。
■歯周病はこんな病気
歯周病はsilent diseaseと言われるように、痛みなどの自覚症状はほとんどなく静かに進行するので、歯茎の腫れや出血などで気が付いた時には、かなり進行してしまっている場合が多いです。 末期になると歯槽骨を溶かすまで悪化して、歯がぐらついて物が噛めなくなり、歯が抜けてしまうのが最悪のパターン。高齢者に入れ歯が多いのも、虫歯によるものではなく、歯周病によるものがほとんどです。 歯周病の本当の怖さはこれだけではありません。口は物を食べる際に食べ物の入り口であるように、体内への細菌の入り口にもなります。 歯周病を放置することは、糖尿病や脳の疾患、また心臓病や動脈硬化など全身の様々な病気と関係しているということが判明しました。糖尿病は膵臓でつくられるインスリンの量が少なくなると起こる病気ですが、歯周病がインスリンの働きを妨げてしまい、糖尿病を悪化させる原因となっているのです。
■歯周病の原因
歯周病の一番の原因は歯石です。歯の磨き残しがあると、それが徐々に歯石になっていくのですが、歯石になってしまうと通常の歯磨きでは落とすことができません。 その歯石が細菌の栄養になり、細菌の塊であるプラークへと変化します。善玉菌もいれば悪玉菌もいるのですが、悪玉菌の一種である歯周病菌が毒素を出して歯茎を腫らし出血させ、歯槽骨を溶かしてしまうのです。 その磨き残しが出やすい原因としては、歯並びがあります。歯並びが悪いと磨きにくい場所ができてしまい、磨き残しができてしまいます。虫歯の治療で詰め物やかぶせ物をすることがありますが、この修復物が歯とうまく合っていないとその周辺にプラークが溜まりやすくなってしまいます。 また、口呼吸や歯ぎしりも原因のひとつとなります。口呼吸は口の中が乾燥し、プラークが付きやすくなります。歯ぎしりは歯に縦ではなく横の力が加わるため、歯周病を悪化させる原因となってしまうのです。 口以外の原因としては、喫煙やストレスがあります。喫煙は他の様々な病気の原因となるように歯周病にも影響があります。ニコチンによる血行不良は歯肉でも同じです。 また、成分は一酸化炭素もふくまれているため、歯周組織が酸欠となってしまいます。酸欠になると栄養が不足してしまい免疫力が落ちてしまうので歯周病を悪化させてしまうのです。
■歯周病を予防するには
歯周病を予防するには、正しく歯を磨くということが大切です。歯磨きはただすればよいというものではなく、磨き残しがないように一本ずつ丁寧に磨くよう意識しましょう。 鏡を見ながら丁寧に磨くようにすると、磨き残しはかなり少なくなります。この時に力の入れすぎは歯肉を痛めてしまうので、力を入れすぎないように気をつけてください。 歯と歯のすきま、歯と歯茎の境目を意識して磨くようにするのが大切です。歯周病の目安というのが、歯と歯茎の間である歯周ポケットの深さで測れます。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシや糸ようじなどを使用するのも有効です。 歯周病菌に対する抵抗力をつけるという点では、食生活も大切になります。栄養バランスのよい規則正しい食生活を心がけましょう。糖分の多い食事はプラークの元になりやすいので注意が必要です。 現在の日本人は、1回の食事での咀嚼回数が600回程度ですが、過去に比べてあまり噛まずに食べる傾向があるようです。しっかり噛んで食べることを心がけましょう。 喫煙は歯周病を悪化させる原因となるため、喫煙者であれば禁煙をしたほうがよさそうです。また、ストレスは適度に解消しためないことが大切です。後はしっかりと睡眠で疲れをいやし、体の抵抗力を落とさないようにすることですね。
■歯周病の予防改善方法まとめ
近年は様々なデンタルケアの製品が市販されています。まずは自分に合った歯ブラシや歯磨き粉等を探して見ましょう。いろいろな種類があるので、選んでいる時間も楽しいかもしれませんよ。 また、歯周病をしっかりと予防するには、定期的に歯科医で検診をうけることがおすすめです。特に初期状態は自分ではわかりませんし、磨き残しでできてしまった歯石も除去してくれます。