突然ですが、あなたの近くを走っている列車は何両編成ですか?おそらく、住んでいる地域で大きく異なると思います。今回は子どもが真っ先に思いつきそうな疑問「列車は何両つないでいるの」この答えを見ていきましょう。

短い列車は1両編成

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まずは短いほうから。最も短いのは1両編成です。1両ですと、前方と後方、両方に運転台がある車両を使わないといけません。両方に運転台がある車両を専門用語で「両運転台車両」といいます。なお、一方しか運転台がない車両「片運転台車両」といいます。

 

1両編成は地方のローカル線でよく見られます。その多くは車掌がいないワンマン列車。ワンマン列車の場合は後ろの扉から乗り、切符やお金を料金箱に入れ、前の扉から降ります。

 

ちなみに、2015年頃まで「レールバス」と呼ばれる全長12m級の車両が旧国鉄・JRのローカル線を引き継いだ第三セクターで活躍していました。車体はバスそのもの。外から走っている姿を見ると本当にユーモラスでした。残念ながら、輸送力不足を理由に全長12m級の「レールバス」は引退しました。

やっぱり、新幹線は最強

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一方、最も長い編成の車両はずばり、東北新幹線を走る「はやぶさ」+「こまち」、「やまびこ」+「つばさ」です。何と車両数は17両!しかも、1両あたりの新幹線の車両の長さは在来線よりも長いです。そのため、よけいに長く感じられます。なお、「はやぶさ」+「こまち」は盛岡駅で、「やまびこ」+「つばさ」は福島駅で切り離され、別々の目的地を目指して走ることになります。

 

2位は東海道・山陽新幹線の「のぞみ」、東海道新幹線の「ひかり」「こだま」です。車両数は16両になります(「やまびこ」や「MAXとき」などの一部も16両編成です。)。新大阪駅のホームに立っていると、次々と16両編成の新幹線が入ってきます。大人でも心躍るので、子どもならなおさらですね。ところで、新大阪駅には短い8両編成の新幹線が入ってきますが、それは山陽新幹線・九州新幹線の車両になります。

 

在来線で最も長い編成の列車が走る路線は都心と郊外を結ぶ東北本線(宇都宮線)、東海道本線や常磐線などです。車両数は堂々の15両。中間には2階建てのグリーン車が連結されているため、より迫力を感じられるかもしれません。 関西では東海道・山陽本線を走る新快速が12両編成です。12両編成であっても、京都駅~明石駅間では常に混雑しています。

私鉄で最も長い編成の列車は?

それでは私鉄ではどうでしょうか。ここでも、関東圏の鉄道が強く、横浜と東京を結ぶ京浜急行電鉄は12両編成の快特を運行しています。ところが、京急の1両あたりの長さはJRが20mに対し18m。東北本線や東海道本線で15両編成の車両を見慣れている人にとっては短く感じられるかもしれません。関西ですと近鉄電車が10両編成の車両を運行しています。近鉄は1両あたり21mなので、思ったよりも長く感じられます。

海外の鉄道はどうだろうか?

次は海外に目を向けてみましょう。便宜上、海外だけ貨物列車も含めます。世界で一番長い編成の列車を走らせている国はアフリカのモーリタニアだと言われています。モーリタニアでは貨物列車しか運行されていませんが、両数がわからないほど長いです。情報によると、すべての貨車が通り過ぎるのに10分もかかるとか。

 

モーリタニアの貨車は人も乗れます。最後尾に客車が連結されていることもあるらしいですが、一般的には貨車によじ登って荷台に乗るようです。モーリタニアの貨車に乗った日本人もいるようです。ぜひ、YouTubeで「モーリタニア 貨車」で検索して、子どもに見せてあげましょう。

やはり、シベリア鉄道は迫力があり長かった

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私が見た中で最も長く迫力がある列車はロシアのシベリア鉄道です。シベリア鉄道はウラジオストク駅からモスクワまで約9,300kmを誇る世界最長の鉄道路線。もちろん、数千キロを疾走する長距離列車がいくつも運行されています。私が長距離列車の両数を数えたところ、20両でした。しかも、ロシアの線路の幅は日本よりも広い1,520mmなので、迫力満点です。シベリア鉄道の起点駅があるウラジオストクへは日本から飛行機で2時間30分~3時間。子どもが新幹線に飽きたら、シベリア鉄道の列車旅はいかがでしょうか。

幻の440両の貨車

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これは伝説となっていますが、世界で最も重い列車を目指して旧ソビエト連邦がチャレンジしました。1986年、当時のカザフ共和国で約440両の貨車が試験運行されました。実験は見事に成功!総重量が約43,000トン、長さは約6,500メートルに及んだそうです。ところが、これだけ列車が長いと低速で走らないといけません。また、線路にも大ダメージを与えたとか。

 

文・撮影/新田浩之