赤ちゃんの「絶壁」は両親からの遺伝?


1992年、アメリカ小児科学会が、「うつ伏せ寝の乳児は乳幼児突然死症候群(SIDS)で死亡する可能性が有意に高い」という報告が多数寄せられたことを受け、「すべての健康な乳児は仰向けで寝かせるべきである」という声明書を発表しました。

 

日本でもこれにならい、2019年現在も、赤ちゃんは特別な理由がない限りあお向けで寝かせるよう周知されています。

 

このため、現在は、基本的に赤ちゃんが「絶壁」になりやすい環境だといえますね。

 

パパやママが赤ちゃんだった頃も、今よりうつぶせ寝の割合は多かったかもしれませんが、もともと日本ではあおむけに寝かせる文化があることに加え、「抱き癖がつくからむやみに抱っこしない方がいい」という指導がされていた時期でもあります。

 

特に、第一子と比べ、第二子以降はママも忙しく抱っこする時間が少なかったと考えられます。

 

上記のような理由から、「親がゼッペキだから遺伝した」というよりは、「たまたま親子とも乳児期にあおむけで寝ている時間が長かった」というのが真相ではないでしょうか。

 

赤ちゃんの絶壁「自然に治る」説は正しい?


祖父母世代や年上のお子さんがいるママに、「ウチの子、後頭部がゼッペキで心配…」と相談すると、多くの場合「寝てるだけの時期が過ぎたら、自然に治るから大丈夫よ!」と言われるのではないでしょうか。

 

最初に述べたとおり、2歳頃までは頭蓋骨が完全に結合していないので、おすわりやハイハイを始めて、あおむけでいる時間が減ってくれば、少しずつ丸い形に変わっていくというのは想像できますよね。

 

さまざまな医療機関や学会の公式サイトにも、次のようなコメントが掲載されています。

 

子宮内や産道を通るときの圧迫あるいは寝ぐせ(片側だけを向いて寝ている)による頭の変形は、頸が座るようになると自然に軽快することがほとんどです。(一般社団法人 日本頭蓋顎顔面外科学会)

 

赤ちゃんの頭蓋骨は、子宮内での圧迫、産道を通る際の圧迫、また寝癖などの外力で容易に変形します。こうした外力による変形は自然に改善することが多いので心配ありません(一般社団法人日本形成外科学会)

 

ただ、あおむけに寝ていた時間の長さは一人ひとり違いますし、頭蓋骨や頭皮の柔らかさ・動きやすさ・完全につながる時期などには個人差があるため、比較的早く丸い形に変わっていく子と、なかなか戻りにくい子がいることは事実のようです。