以前、「列車種別クイズ!快速と急行はどっちが速い!?」という記事で、列車の種別に関するお話をしました。今回は少し変わった、乗るときには注意が必要な列車種別を紹介します。 取り上げるのは同じ種別でありながら、停車駅が異なるパターンです。これだけ書いても何のことかよくわかりませんよね。それでは、さっそく見ていきましょう。

赤色の直通特急と黄色の直通特急にご注意 

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最初に紹介するのは大阪の中心地、阪神梅田駅から兵庫県の姫路駅を結ぶ直通特急です。直通特急は阪神、神戸高速鉄道(阪神神戸高速線)、山陽を走り、走行距離は91.8kmにも及びます。 さて、直通特急には赤色方向幕の直通特急と黄色方向幕の直通特急があり、停車駅が異なります。下の表をご覧ください。

 

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表のとおり、黄色方向幕の直通特急は阪神神戸三宮駅~板宿駅間は各駅に止まります。それに対し、赤色方向幕の直通特急は西元町駅、大開駅、西代駅には止まりません。しかも、赤色方向幕の直通特急と黄色方向幕の直通特急は交互にやってくるので、本当に注意が必要です。

 

それでは、なぜわざわざ赤色方向幕と黄色方向幕の直通特急が設定されているのでしょうか。背景には阪神と山陽の運転間隔のズレがあげられます。阪神は10分間隔(昼間時間帯)、山陽は15分間隔(昼間時間帯)で運行されます。つまり、5分のズレを調整するために、より多く止まる直通特急を設定しているわけです。なお、山陽電鉄線内では直通特急の停車駅が時間帯によって微妙に異なるため、同列車の停車駅は多くのパターンにわかれます。

外側線と内側線で異なる快速の停車駅

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山陽電鉄線と並行して走るJR神戸線(東海道・山陽本線)も乗車の際は注意がいります。基本的にJR神戸線には普通、快速、新快速という3つの種別が存在します。ここで取り上げたいのは平日朝ラッシュ時間帯の快速列車です。下の表をご覧ください。

 

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朝ラッシュ時間帯を走る一部の快速列車は舞子駅、垂水駅、須磨駅には止まりません。つまり、明石駅を出ると兵庫駅までノンストップ。停車駅だけ見ると新快速に劣らない「スーパー快速」になります。なぜ同じ快速なのに、そんな事が起きるのか。この快速にはちょっとしたカラクリがあります。 JR神戸線は新長田駅から西明石駅まで新快速が走る線路と快速・普通が走る線路が別々になっています。

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(水色:新快速の線路、灰色:快速、普通の線路)

 

つまり、新快速が止まらない場合は同列車が走る線路にホームはありません。朝ラッシュ時間帯ですと、快速・普通が走る線路はいっぱいになるため、どうしても新快速が走る線路に快速を走らせないといけないのでしょう。そのため、舞子駅、垂水駅、須磨駅を通過する快速列車があるわけです。2013年3月まで平日夕ラッシュ時にも舞子駅、垂水駅、須磨駅通過の快速がありました。もしかすると、今後のダイヤ改正によっては朝ラッシュ時も廃止されるかもしれません。

平日と休日で停車駅が異なる?

次は東京に目を向けてみましょう。都心を東西に突っ切るように走る中央線の快速列車は平日と休日で停車駅が異なります。下の表をご覧ください。

 

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このように平日の快速列車は高円寺駅、阿佐ヶ谷駅、西荻窪駅に止まりますが、休日は通過します。休日に高円寺駅、阿佐ヶ谷駅、西荻窪駅を利用する場合は中野駅、荻窪駅、三鷹駅から併走する中央・総武線緩行列車(各駅停車)に乗車しましょう。

 

高円寺駅、阿佐ヶ谷駅、西荻窪駅は東京都杉並区にあり、俗に「杉並三駅」と呼ばれています。この「杉並三駅」に快速列車を止めるか、止めないかで住民とJR東日本(国鉄)といろいろな意見交換があったようです。

 

1960年代に中央線を複々線化するにあたり、国鉄は「杉並三駅」を通過する方針でした。しかし、国鉄のやり方に対し地元住民が大反対。国鉄は住民側に譲歩し、「杉並三駅」に快速列車を停車させました。ただし、停車は平日に限り、日曜日は通過。JR化後は土曜日も通過しています。休日に「杉並三駅」を訪れると、中央線ホームは閉鎖され、平日の賑わいが嘘のようにひっそりとしています。終日にわたって、「杉並三駅」に快速列車が停車する日は来るのでしょうか。

特別停車、特別通過のオンパレード、名古屋鉄道

同じ種別なのに停車駅が異なる代表例は名古屋鉄道(名鉄)かもしれません。たとえば、名古屋本線の一宮・名古屋方面の平日朝ラッシュ時間帯において、一部の特急列車は新木曽川駅、笠松駅には止まりません。

 

一方、犬山線の平日朝ラッシュ時間帯では一部の急行列車が下小田井駅、中小田井駅に停車します。以前はもっと特別停車、特別通過が多かったようですが、種別が増えたことで少しずつ数を減らしています。路線数が多く、需要にきめ細かく対応する名鉄らしさが特別停車、特別通過だといえます。

初めて乗る路線は要チェック

同じ種別でありながら停車駅が異なる路線は決して多くありません。それでも、初めて乗車する通勤路線の停車駅は事前にチェックしておきたいところ。特に朝ラッシュ時は要注意ですよ。

 

文・撮影/新田浩之