I:それとなく気づかせる(笑)。
井田:その作戦です(笑)。我が家では、「家事は生き物として必須」という考え方ですから、ときどき息子に「あなた、生き物として弱体化していない?」と言うと、ヤバイなって顔して動き出します。家事は家族みんなで早くすませて、早く楽しい時間を過ごしたほうがいい。娘夫婦を見ていると特にそう思います。
I:娘さんは、カナダ人の方と結婚されたそうですね。
井田:はい、今年から二世帯住宅での同居を始め、人生の第2幕のスタートといった感じです。で、若い2人を近くで見ていると、「家事は手の空いた人がやる」というのが共通認識。娘が子どもと遊んでいたら、手が空いている夫が食器を洗う。そういうことが普通なんです。いいなあと思います。
I:まさに文化の違い、そこに到達するには長い道のりのような気がします。
井田:そうですね。でも、何事も始めないことには変わりません。手始めに、部屋やスペース、家事ごとに管理責任者を決めてみてはどうでしょう。このとき、「あなたはどこ(どれ)がいい?」と、自分で担当を選んでもらうことが大事。自分で決めたことは、投げ出さずにやりますから。
I:家族で分担し、それぞれが責任を持つ。
井田:はい、自分の役割がはっきりするのでやりやすいんです。そして、眠る前にはその場所を整えて寝ることを約束する。リビング担当なら、リビングに散乱したものを片付けてから寝る、玄関担当なら玄関の靴を片づけ、整えてから寝る。そうすると本当に気持ちのいい朝が迎えられます。