突然ですが、日本一運賃が安い鉄道路線(ケーブルカーを除く)はどこでしょうか。2018年11月現在での答えは若桜鉄道(鳥取県)、岡山電気軌道(岡山県)、北大阪急行(大阪府)になります。今回はその中のひとつ、北大阪急行を取り上げます。どうしても、北大阪急行電鉄は運賃だけが注目されますが、それ以外の魅力もお伝えします! 

そもそも、北大阪急行電鉄とは

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北大阪急行電鉄は大阪府豊中市の千里中央駅と吹田市の江坂駅を結ぶ全長5.9kmの路線です。江坂駅から大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)御堂筋線に乗り入れています。 さっそく、北大阪急行電鉄の運賃をチェックしてみましょう。2018年11月現在の運賃は以下のとおりです。

 

千里中央~桃山台:100円 千里中央~緑地公園:120円 千里中央~江坂:140円

 

何と初乗りはワンコインの100円!100円だといつでも気軽に電車を利用できますね。なお、2017年3月31日までは初乗り90円でした。千里中央駅から5.9km先の江坂駅までも140円となっています。東京で当てはめると山手線の東京~日暮里間の営業距離が5.8kmで運賃は154円(ICカード利用)。

 

値上げされたとはいえ、北大阪急行電鉄の運賃の安さがよくわかりますね。 なお、大阪市内の駅は大阪メトロに属するので、運賃があがります。千里中央駅~梅田駅間は370円、千里中央駅~なんば間は420円です。

大阪国際空港や万博記念公園へのアクセスに便利な北大阪急行電鉄

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単に運賃が安い鉄道会社でとどめておくのはもったいない!北大阪急行電鉄の活用法を考えてみましょう。北大阪急行電鉄のポイントは千里中央駅で大阪モノレールに接続していること。大阪モノレールを使うと大阪国際空港(伊丹空港)や万博記念公園駅にアクセスできます。

 

また、北大阪急行電鉄が乗り入れる大阪メトロ御堂筋線は新大阪駅で東海道・山陽新幹線に接続します。したがって、新幹線から千里方面へのバイパス役も担っているのも北大阪急行電鉄の特徴といえましょう。参考までに新大阪駅からの運賃、所要時間を比較してみました。

 

新大阪駅→万博記念公園駅

新大阪駅→千里中央駅→万博記念公園駅(大阪メトロ→北大阪急行→大阪モノレール) 28分、570円 新大阪駅→西中島南方駅→南方駅→南茨木駅→万博記念公園駅(大阪メトロ→阪急京都線→大阪メトロ) 33分、650円

※所要時間は昼間時間帯です※列車により所要時間が異なる場合があります

 

新大阪駅から万博記念公園駅まで、北大阪急行電鉄と阪急電鉄経由で比較してみました。所要時間はあまり変わりませんが、運賃は北大阪急行電鉄経由のほうが安いです。実はこの安さの秘密は北大阪急行電鉄の安価な運賃にあります。

北大阪急行電鉄にはユニークなところがたくさん

さて、北大阪急行のホームに立つと自社だけでなく大阪メトロの車両も見かけると思います。しかし、北大阪急行と大阪メトロの車両は、車内外に渡って全く異なります。

 

関西在住の方で北大阪急行電鉄の車両に足を踏み入れると、どこか阪急電鉄のレイアウトと似ていると感じるはず。実は北大阪急行電鉄は阪急阪神ホールディングスのグループ会社です。もともとは阪急電鉄の子会社として設立されました。このような経緯があるので、大阪メトロよりも阪急電鉄を思わせる箇所がいくつもあるのでしょう。

 

次は千里中央駅の駅発車メロディーに耳を傾けてみましょう。もしかすると、何の変哲もない発車メロディーに聞こえるかもしれません。実は千里中央駅の発車メロディーは春・夏・秋・冬で異なる曲を使っています。発車メロディーを採用する鉄道会社は多いですが、このように器用に使い分けるところは少ないと思います。

夢、広がる北大阪急行電鉄

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北大阪急行電鉄が開業したのは1970年のこと。もともと、大阪万博へのアクセス鉄道として整備された経緯があります。万博終了後は千里中央駅から大阪市内を結ぶ貴重なパイプとして機能し続けてきました。そのような北大阪急行電鉄ですが、延伸が計画されています。

 

2020年度の開業を目指し、千里中央駅~箕面萱野駅間にて工事が進められています。また、途中駅として箕面船場阪大前駅が開業します。箕面萱野駅が設置される大阪府箕面市西宿は鉄道不毛地帯。現在、箕面萱野駅周辺へは阪急千里線の北千里駅から出発するバスしかありません。北大阪急行電鉄が開業すると、大阪市内へダイレクトに行けるようになり、沿線開発が促進されるのは必然。「日本一安い運賃」が新線にも適用されるか注目したいところです。

 

このように、運賃の安さに目が行きがちな北大阪急行電鉄ですが、それだけではもったいない! 安いだけでなく個性抜群な北大阪急行電鉄の発展に期待しましょう。

 

文・撮影/新田浩之