ずいぶんと軽いタイトルですが、地下鉄・地下駅で鬼ごっこをしてはいけません。とは言っても、子供にとって景色が見えない地下鉄・地下駅は退屈するのではないでしょうか。今回は誰にも迷惑をかけない地下鉄・地下駅の遊び方を考えます。大人も目からウロコかもしれませんよ。

まずは線路にご注目

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東京ですと東京メトロ銀座線、丸ノ内線、大阪ですと大阪メトロ御堂筋線、谷町線のホームに立ったら線路に注目してみましょう。ただし、必ず黄色い線の内側から見るようにしてください。

 

線路をよく見ると、線路と並行して太い棒のようなものがあります。JRの線路にはこのような棒はありません。また、列車が駅に到着したら、屋根にもご注目。電車では当たり前のように見られるパンタグラフはなく、屋根がツルツルであることがわかります。

 

実はこれらの地下鉄車両は線路の横にある棒から電気を取っています。そのかわり、パンタグラフだけでなく、架線もありません。単純に書くならば、架線が線路の横にある、と思ってください。このような方式を専門用語で「第三軌条方式」といいます。線路横の棒には高圧電流が流れているため、感電する可能性があります。万が一、線路に落ちても線路横の棒には絶対に触れないようにしましょう。

 

第三軌条方式を採用している国内の地下鉄路線は以下のとおりです。なお、第三軌条方式を採用している路線は一般の架線式の路線との相互直通運転は行っていません。

第三軌条方式を採用している地下鉄路線

  • 札幌市交通局南北線
  • 東京メトロ銀座線、丸ノ内線
  • 横浜市交通局ブルーライン
  • 名古屋市交通局東山線、名城線、名港線
  • 大阪メトロ御堂筋線、谷町線、四つ橋線、中央線、千日前線
  • 近鉄けいはんな線
  • 北大阪急行南北線

駅や車内放送に耳を傾けてみよう

地下鉄に乗ったら駅や車内放送に耳を傾けてみましょう。各社とも利用者が聞き取りやすいように放送を工夫しています。「車内では聞き取りにくかった」という場合はYouTubeで聞くといいかもしれません。

 

数ある車内放送の中で、特に興味深いのが大阪メトロです。大阪メトロの車内放送では関西特有のイントネーションが聞けます。たとえば、谷町線の谷町四丁目駅や谷町六丁目駅では「たにまち」の「た」が強く読まれます。おそらく、関東ではこのような読まれ方はしないと思います。また、駅名のアナウンスの合間に流れる広告放送にも注目したいところ。思わずクスッと笑ってしまうユニークなCMもありますよ。

 

英語を習い始めた中学生の人は簡単な英語のリスニング教材にも使えます。地下鉄では日本語放送の後に英語放送が流れます。訪日観光客が聞き取りやすいように、シンプルでゆっくりとした速度で英語が流れるため、中学生でも聞き取れるはず。もし、訪日観光客が困っていたら地下鉄で流れている車内放送を応用するといいかもしれません。

タイムスリップができる地下駅?

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最近、どの地下駅もリニューアルされ、気持ちよく使える空間になっています。しかし、昭和にタイムスリップできるようなレトロな駅も残っています。リニューアル工事がはじまらないうちに、そのような「タイムスリップ駅」に出かけてみましょう。

 

個人的におすすめしたいのは阪急神戸高速線の花隈駅です。花隈駅が開業したのは1968年のこと。開業以来、大きなリニューアルもなく今日に至っています。

 

注目して欲しいのは赤茶色のレンガ模様の壁。これだけ見ても、昭和レトロが漂います。また、ホームが静かなため、トンネルに反響する列車の音がよく聞こえます。迫力満点の列車音は文字には起こせません。どうぞ、花隈駅に足を伸ばしてください。

 

なお、2018年11月現在、花隈駅にはエレベーター、エスカレーターの設備はないのでご注意を。現在、エレベーター設置工事が行われています。開業時の花隈駅の運営は神戸高速鉄道でしたが、現在は阪急電鉄に移行しています。今後、花隈駅に対して何らかのテコ入れをすることは十分に考えられます。

地下駅で通過列車の風圧を体験する

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今度は優等列車が通過する地下駅に注目してみましょう。地下鉄で優等列車を走らせている路線は少しずつ増えています。羽田空港と成田空港を結ぶ「アクセス特急(エアポート快特)」や埼玉県と神奈川県を結ぶ「Fライナー」が代表的ですね。一方、JRや大手私鉄では優等列車が通過する地下駅は昔から存在します。

 

さて、地下駅のホームに立ち、通過列車の通り過ぎる様子を観察してみましょう。通過列車が入線すると同時に風圧を感じるはず。夏ですと、この風圧がとても気持ちよく感じられるものです。ただし、時には想像以上に風が強い場合も。小さな子どもと体験する際は、念のため、子どもと手をつなぐことをお忘れなく。

 

今回は、子どもの頃から「おもしろい」と思う地下鉄の魅力を紹介しました。目だけでなく五感で味わうのが地下鉄を楽しむコツかもしれません。

 

取材・文・撮影/新田浩之