一部のベビーカーユーザーの行動がしばしば問題になる「電車やバスでのマナー」。みんなが気持ちよく公共交通機関を利用できるマナーとは? 専門家と考えました。

nishimoto
教えてくれたのは…

神戸女子大学 家政学部家政学科 助手 西本由紀子さん


「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」メンバー。現在、14歳・12歳の男児のママ。2度目の育休明けから、自身の体験も踏まえ、公共交通機関におけるベビーカー利用を研究している。「子どもとの外出が楽しい、子育てしやすい国に少しずつでも変わっていくといいなと考えて研究を続けています」。

かつては「ベビーカーを開いて乗車NG」の時代もあった

いまでこそ専用のスペースもあるし、ベビーカーに赤ちゃんを乗せたまま電車に乗る人も多いですが、少し前まではベビーカーを開いて電車に乗せてはいけなかった気がするのですが…?


西本さんに聞くと、「そうなんです。東京メトロでは1998年まではベビーカーを開いたまま電車に乗せることを禁止していました。でも翌年から、利用者の責任の範囲で認められるようになったんです」。時代や時流によって、常識やマナーもずいぶん変わるんですね。


だとすると、世代によってマナーに対する意識に差があって、いまでも「ベビーカーを開いたまま電車に乗るのは周囲のじゃまだ」と思っている人もいることでしょう。


決して過剰な気遣いや委縮をする必要はないけれど、とはいえ、ベビーカーのマナーに厳しい目が注がれているのも事実。「車輪に足を踏まれた」「ドアが閉まりかけているのに突っ込んできた」「母親がスマホを見ていてベビーカーに注意を払っていない」 など、さまざまな苦言を呈する人も少なくありません。


「そうした状況を踏まえたうえで、ベビーカーをたためない・たたまない時は『場所をとってしまって恐縮です』という気持ちを持つことで、周囲の目も温かくなるように感じます」と西本さんは言います。〝周囲の目が温かくなるマナー〟とはどんなものでしょうか?