子どもを本好きにするには、どうしたらいい?
水上颯さんが語る‶本が好きになったきっかけ″
本好きな子を育てるには、読書を習慣にしてしまうのが一番です。「小学生の頃から、たくさん本を読んできた」という、現役東大医学部生にしてクイズ選手の水上颯さんに、本が好きになったきっかけを聞きました。
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|『ファーブル昆虫記』で読書の楽しさを知った
小学1年生のころから、1日2冊の本を読むのが習慣になりました。親に言われたからではなく、「放課後がひまだから、本を読もう」という感じでしたね。学校から帰ってきて、宿題をしてゲームを少しやると、だいたい夕方の5時くらい。そのあとはひたすら本を読んで過ごしていました。当時の僕にとっては外で遊ぶより、本を読んでいろんな世界にふれることのほうがずっと魅力的だったんです。
ジャンルに偏りなく、いろんな本を読みました。最初に読んだ本は『ファーブル昆虫記』です。好奇心旺盛なファーブルが昆虫を観察するようすがイキイキと描かれていて、夢中でページをめくりました。いちばんよく読んだのは物語で、特にハマったのが推理小説。ひとつひとつの手がかりをパズルのように組み合わせて、最後に謎が解決される瞬間が爽快でした。「長編シリーズなら、しばらくは読む本に困らないぞ」という目論見もあり、江戸川乱歩全集やシャーロックホームズシリーズなどを読みあさっていました。1日2冊のペースだと、その日読む本を探すのもひと苦労だったんです。 読書家の父と一緒に中古書店に行き、一気に100冊くらい本を買ってもらうこともありました。堀辰雄さんの『風立ちぬ』は、父にすすめられて読んだ本です。実は僕の「颯」という名前は、この作品のタイトルからとったらしいのですが、僕は「そんなのあとづけでしょ」と疑っています(笑)。
|速読力と読解力が受験勉強でも役立った
クイズのために、雑学の本を読むこともありますよ。でも意外と小説から得た知識が役に立つ場面も多いです。たとえばキュレーターでもある原田マハさんの小説は、物語としておもしろいのはもちろん、読んでいると自然に芸術の知識もつきます。「この問題の答え、
あの小説に書かれていたな」と気づいたときは、ちょっと得した気分になりますね。
読書のおかげで、速読力や読解力も身につきました。僕は理系ですが、いちばんの得意教科は国語です。受験英語では要約力や読解力が求められますから、自然と英語も得意教科になりました。
今でも読書は大好きです。僕にとっての読書の魅力は、物語を通して、さまざまな人の人生をのぞけることです。人それぞれ、置かれた境遇や考え方が異なるからこそ、相手の立場に立って、ものを考えることが大切なのだと、多くの物語から学びました。
水上颯
(みずかみ・そう)
発売中の『CHANTO』10月号では、水上さんのインタビューを含めた、「子どもを本好きにするにはどうしたらいい?」という特集を掲載中です。興味がある方は、ぜひこちらもご覧ください。