二番手じゃ満足できない?

恋愛するなら一番好きな人と、結婚するなら二番目に好きな人と。と言われているように、この作品にも二番手が登場します。イイやつなんです、とても。でも、ヨシカの好きは絶対で、イチを超えることはできません。でも、ヨシカの愛するイチってヨシカが妄想の中で理想化しちゃってるイチ。本当のイチの姿ではありません。ここが困ったところなんです。
「冷静になって!」とアドバイスしたいところですが、イチへの想いを再確認したヨシカにこの声は届きません。また、二番手の男・ニの愛情がリアルでグッと来ます。いくつかの恋愛を経験して来た人なら、「選ぶならニ」とすぐにわかるのですが…。ヨシカのようなイタさはないものの、「好きだ!」とグイグイ攻めてくるニのウザさにも注目してください。
脳内恋愛脱出!現実恋愛へ目を向ける?!

妄想恋愛の世界にどっぷりとはまっているヨシカが、いつまでも王子様を追い続ける物語…で終わらないのが、この作品の面白さです。ヨシカは王子様・イチとの再会をきっかけに、脳内恋愛の限界を知ることとなります。
“WELCOME TO 現実世界!”
脳内恋愛の魔法がとけ、現実の恋愛へと目を向けるようになります。王子様、ツンデレ、ちょっと寂しげなど、女心をくすぐりまくるキャラクターのイチは有無を言わさぬ魅力に溢れています。こんなキラキラ男子を前にして「興味ない」というのはなかなか難しいものです。一方のニは、最初はちょっとウザめなのですが、徐々にイイ男に見えて来ます。「あれ?実はかなりイイ男?」って思わせるシーンがたくさん登場します。
脳内恋愛を脱出し、現実の世界でイチとニ、二人の男に向き合うことを決めたヨシカは、いったいどちらの男を選ぶのでしょうか。王子様も所詮人間ということに気付いたとき、「好き」の魔法も消えてしまうのでしょうか。ヨシカ演じる松岡茉優のハマりっぷりを楽しみながら、ときには共感しながらヨシカの恋愛の行方を見届けてください。
「あー、わかる」と感じるポイントがひとつでもあれば、ヨシカの妄想ワールドを思いっきり堪能できるはず。ヨシカに負けない!という妄想恋愛経験アリの方は、ご自身の妄想恋愛と比べながら観てもおもしろいかもしれません。
文/タナカシノブ