JR各社が販売している「青春18きっぷ」と聞くと、長期旅行をイメージする方が多いでしょう。実は「青春18きっぷ」は1日旅行でも十分に使える切符です。今回は青春18きっぷを使った1日旅行を考えます。
どこまで行けば元が取れる?
青春18きっぷの価格は5日間で1万1850円です。1日ですと2370円になります。つまり、以下の条件ですと、青春18きっぷの元が取れます。なお、青春18きっぷに子供価格はありません。
片道:2370円区間 往復:1185円区間
つまり、上記の区間を超えた場合に青春18きっぷのほうが特になる計算です。
それでは、具体的にどこまで足を伸ばせば元が取れるのでしょうか。ここでは首都圏発、関西圏発から主要駅を例に挙げ説明します。なお、ここでは往復で元が取れる大人単独の場合と子供単独の場合をそれぞれ計算してみました。カッコつきは子供の場合です。
首都圏から
東京駅から東海道本線方面 東京駅~小田原駅(東京駅~富士駅) 新宿駅から中央本線方面 新宿駅~大月駅(新宿駅~小淵沢駅) 上野駅から東北本線方面 上野駅~小山駅(上野駅~那須塩原)
関西圏から
大阪駅から東海道本線上り 大阪駅~近江八幡駅(大阪駅~岐阜駅) 大阪駅から東海道・山陽本線下り 大阪駅~姫路駅(大阪駅~岡山駅) 大阪駅から紀勢本線方面 大阪駅~和歌山駅(大阪駅~紀伊田辺駅)
いかがでしょうか。大人1人子供1人の組み合わせでしたら、大人値段と子供値段の間を取るといいでしょう。なお、青春18きっぷの行動範囲は快速列車の有無で大きく左右されます。
鉄道をメインにした旅行プラン
せっかく青春18きっぷを使うわけですから、鉄道メインの旅を考えてみます。まずは東京駅から東海道本線方面の旅を取り上げます。
東京発ミニ私鉄、岳南電車を訪れる旅
東京駅から静岡県を走るミニ私鉄、岳南電車を訪れる旅はどうでしょうか。まずは岳南電車の起点駅、吉原駅を目指しましょう。なお、東京駅から吉原駅までの普通運賃は大人2590円です。吉原駅までのダイヤ(土曜日・日曜日ダイヤ)は以下のとおりです。
東京9:09(快速アクティー)熱海10:47 熱海10:59(普通)沼津11:20 沼津11:35(普通)吉原11:50
岳南電車は吉原駅から岳南江尾駅までの9.2kmのミニ路線。吉原駅から岳南江尾駅までの所要時間は約20分です。岳南電車の見どころは工場地帯を縫うように走るカラフルな元京王井の頭線3000系の車両。また、一部の車両は京王井の頭線時代を再現しています。吉原駅を起点とする富士市は富士山が美しく見えるところで知られています。きっと、岳南電車沿線から富士山が見えることでしょう。ミニ路線ですが、途中下車をしながら観光スポットを楽しむのもいいですね。
なお、東京~熱海間を走るほとんどの列車にはグリーン車自由席を連結しています。青春18きっぷを持っているとグリーン料金を払うだけでグリーン車に乗れます。普通車とグリーン車の快適度は全然違うので、ぜひお試しください。
大阪発日本で2番目のミニ私鉄、紀州鉄道を訪れる旅
次は大阪駅からの旅を考えてみましょう。関西圏にあるミニ私鉄といえば紀州鉄道が挙げられます。千葉県にある芝山鉄道の開業(2002年)までは全国で最も短い路線を持つ鉄道事業者で知られていました。まずは紀州鉄道の起点駅である御坊駅を目指します。なお、大阪駅から御坊駅までの普通運賃は大人2270円です。ダイヤ(土曜日、日曜日)は以下の通りになります。
大阪9:09(紀州路快速)和歌山10:44 和歌山10:48(普通)御坊11:48
紀州路快速は日根野駅まで関空快速と一緒に走ります。関空快速の車両に乗ると関西空港に行くので間違えないようにご注意ください。仮に乗り間違えた場合は日根野駅で紀州路快速の車両に移れます。なお、和歌山駅では4分しか乗換時間はありませんが、和歌山~御坊間の普通列車は30分~40分間隔(昼間)で来るので、乗り逃しても何とかなります。
紀州鉄道は御坊駅~西御坊駅までの全長2.7キロのローカル線です。御坊駅から西御坊駅までの所要時間はわずか8分!時速30キロの速度でのんびりと走ります。紀州鉄道の見どころはユニークな駅名です。途中には学門駅があり、受験生には人気のある駅だとか。学門駅の駅名標と一緒に写真を撮ると何かいいことがあるかもしれません。時間に余裕があれば和歌山駅を起点とするネコ駅長で有名な和歌山電鐵貴志川線を訪れてみましょう。
青春18きっぷを使っての旅行計画のコツ
青春18きっぷを使う場合は事前に計画を立てることをおすすめします。計画を立てることで、乗り換えの際に無駄な時間が少なくなります。ここでは旅行計画を立てる上でのちょっとしたコツをお伝えします。
まず、快速列車を軸に考えます。快速列車を使うと速く移動できることはもちろんのこと、クロスシート車両を使用することが多いので、快適に過ごせます。もし、本数が極端に少ない路線(1日10往復以下)を使う場合は、その路線からダイヤを決めていきます。そうすると、スムーズに旅行計画を立てられることが多いです。また、紙の時刻表を使って計画を立てる際は欄外にある駅弁情報を忘れずに。意外と役立ちますよ!
取材・文・撮影/新田浩之