一般食パンも、高級食パンも。そのときどきでセレクトを

さわったらわかる、劇的なもちもち感!

こうしていろいろと実験はしたものの、「やっぱり一番は抽象的にはなりますが、嵜本の食パンは『触れたらやわらかさが分かる』『食べたらおいしさや分かる』ので、ぜひ食べてみてほしいです!」と広報の吉浦さん。

 

実際にどのくらいのリピート率が聞いてみたところ、半数以上だそう。お客様の声として、子どもに食べさせたら一般的な食パンを食べなくなってしまった…というお声もあるとか。そうですよね、子どもの味覚って、正直ですものね…。

 

とはいえ、2斤950円、1100円という値段…。毎日食卓に並べるのは無理だなあ、という人も多いでしょう。とはいえ、やっぱり素材も製法も、高いだけあって納得のいくもの。「明日の朝食は、ちょっと贅沢したいなあ」というときに、取り入れてみると毎日の生活にちょっとスペシャル感を味わうことができそうです。

嵜本の差別化は「買い物体験」

早く家に帰って、その封を開けたい!わくわくしながら家路につきます

高級食パンが数多く存在するなかで、嵜本は、より内装や買い物体験にこだわりをもっているのだとか。オーナー嵜本さんのポリシーとして、店内の雰囲気や気持ちのよい接客を通じて「高級食パンを買いにきた」という、贅沢な気分をさらに高めてもらいたい、という思いがあります。

 

簡易的なつくりのお店で、ささっと買った食パン。それもいいけれど、贅沢な空間で「ちょっといいもの」を買う贅沢な雰囲気を味わいながら、選びぬいて買った食パン。そこには、確実に違うおいしさがあるでしょう。そんな考えのもと、お店の内装や雰囲気にもこだわりをもって作られています。

 

これは嵜本の場合ですが、他の高級食パンにも、こういった「推しポイント」があります。そこが値段に反映されている、ということもあるのでしょう。簡易化して削ぎ落とすことができる要素も、大切だと考える。そこにこそ体験の価値が生まれ、高級食パンが一般的な食パンと一線を画しているゆえんがあるのかもしれません。

 

取材協力・高級食パン専門店 嵜本

「極美“ナチュラル” 食パン(2斤950円)」と「極生“北海道ミルクバター”食パン(2斤1100円)」を二大看板とする高級食パン専門店。他にも限定食パンやオリジナルジャムなど数多く取り揃える。

取材・文/松崎愛香 写真/田尻陽子