毎日やるべきことを最速で終わらせられたら、とても気分がいいですよね。しかし、現実はやるべきことが山積み。仕事の処理能力を高めて最速最短で終わらせる方法について、時間管理の専門家であり『Outlook 最強の仕事術 仕事が速い人は「5秒」で決める!』(SBクリエイティブ)の著者でもある石川和男さんに伺いました。
毎日メールチェックの時間を決める
メールに振り回されて、タスクをこなせない人がたくさんいます。仕事においてメールは業務の効率化を手助けするツールです。
「メールは受け取ったらできるだけ早く返信すべき」と考えている社会人の人も多いでしょう。それだとメールを受け取るたびに作業が中断し、集中力も途切れます。
メールは気軽に送れる分、膨大な量を受け取ることになります。それによってメールの処理に追われ、メインの業務が終わらなくなってしまうのです。
メールに関しては「マイルール」を決めておくといいでしょう。
たとえば
・メールを確認する時間を「朝出社してすぐ、13時、15時、17時」にする
・頻繁にメールをやり取りする場合は、緊急のもの以外は開かずタイトルだけ確認する
・仕事に集中できる午前中は、メールを開かない
・メールは原則その日のうちに返信するために、定時前に時間をあらかじめ確保する
・自分が回答しないと全体の業務が進行しないような重要事項のみ、その場で返信する
メール処理において「マイルール」を決めるだけで、不用意に何度も確認することが減り、本業の仕事に集中することができるようになります。
仕事の期限を自分で設定する
仕事には必ず期限を設定しましょう。期限がない仕事は終わりません。
たとえば、私は本業である税理士の仕事以外に本の執筆をすることがよくあります。この執筆に関して編集者から「いつでもいいですよ」といわれたら、私は一生書けないままで終わるでしょう。なので、必ず期限を設定します。
仮に仕事を依頼された上司から「いつでもいいよ。手が空いたときにやっといて」といわれたら、必ず自分で期限を設定し、それを上司にも伝えること。
そうしないと「自分との約束」は、つい先延ばししてしまいます。依頼相手とも巻き込んだ約束をすることで、その日までに終わらせることができるのです。
完成度は低くても一旦作ってみる
「企画書が書けない」と悩む人に共通していえることは、完璧を求めすぎてしまうこと。最初から完成度の高いものを作ろうとするのではなく、6割くらいの完成度でいいのでとりあえず一通りやってしまうこと。半日か、もしくは1日たったあとに、できたものにもう一度目を通します。
たとえるならば、映画監督と評論家のようなもので、時間を置くことで作品を作る人、それをチェックする人に分けるのです。そうすると、より客観的な視点でみられるようになります。一旦、全体が完成したら、あとは細かいところを修正していけば大丈夫。
「仕事がなかなか終わらない」という人は、一度1日の時間の使い方ややり方などを見直してみてはいかがでしょうか。仕事が最速で回るサイクルに入れば、これまで以上に成果が上がり、それによって残業が減り自由な時間が増えるはずです。
PROFILE 石川和男さん
時間管理の専門家。建設会社役員として週5日フルタイムで働きながら、ビジネス書著者、講演家、税理士、出版コンサルタント、ブランディング講師税理士、大学講師など7つの仕事を掛け持ちしている。『24時間の使い方』(祥伝社)など計23冊出版
取材・文/間野由利子