お気づきの方も多いかもしれませんが、私は絵が上手くありません。
子どもの頃から絵を見るのも描くのも好きだし、「ああこれが描きたい!」と思う気持ちは湧いてくるのですが、いかんせん技術がなさすぎて、まず何からやればいいのかがわからない。
当時通わせてもらった絵画教室のやり方が微妙に自分とは合わず、好きな美術作品を模写したり、漫画の原稿用紙を買って、好きな漫画のコマ割りからポーズまで緻密に書き写したりして、そこから方法を模索していました。
絵が上手くない私がイラストレーターになれた「たったひとつの理由」
下手でも時間をかけて数をこなせばそれっぽいものは描けるようになるもの。とはいえ、ちょっと自信がついたからといってサボってしまうと、もともと下手な人はびっくりするほど技術が落ちるので、私はひたすら休まずに何かしら描いていました。
家族は、私には才能があったと言います。昔から私の描く線には迷いがなかったと。その実、こんなにみっともない迷いと悩みにまみれながらの迷走を経ての今、なのです。それでも毎日自分の絵には納得のいかないことばかり。
そんな私がイラストを描くことで食べていけるようになるなんて正直、思いもしなかった。まさにこの連載のタイトルにもなった「へたのよこずき」ですが、へたのよこずきだろうがなんだろうが、辞めずに続けていればなんとかなるんだな。これは私が自信を持ってわが子に教えられる唯一の体験談なので、常に強めに伝えています。